2022.11.10 19:00
描いていた爽やかさに深さが加わった
──そして3ヵ月連続リリースの第2弾が「made my day feat. Takuya Kuroda / Marcus D」ですが、これもまたいい曲で。豪華ゲストも参加していますけど、この曲はどういうふうにできたんですか?
この曲も些細な日常を切り取るっていうテーマで作っていて。「あいたいわ」がすごく大げさに切り取るんだったら、こっちは丁寧に、額縁に飾るみたいに切り取れたらいいなと思って作りました。この曲は初めて行った一人旅で書いたんですよ。今年の夏に、もう当日の深夜2時とかに思い立って「明日行こう」って思ってすぐに宿を取って。
──そういうタイプなんですか?
わりとそういう、ギリギリで生きてるタイプなんです(笑)。それでどこ行こうかなってなったとき秩父なら1時間半ぐらいで着けるからそこにしようって。それで行った、初めてのひとり制作合宿みたいのでできた曲です。宿にこもって曲を作って。
──ああ、曲作りに行ったんですか?
一応その名目で行きました。でも蓋開けてみると、ほとんどお風呂に入るか、ご飯食べるか、かき氷食べるかっていう感じでめちゃくちゃエンジョイした末に「そういえば曲作りに来たんだったわ」っていうのでできたのがこれですね(笑)。すごく自然がたくさんある場所だったので、そこで見えた景色とか、そこで嗅いだ香りとかが感じられる曲になればいいなと思って作っていました。行った日はすごい大雨で、雷とか鳴っていたんですけど(笑)。
──最初からこういうサウンドのイメージもあったんですか?
いや、最初はすごく爽やかなものになったらいいなと思っていたんですよ。でもアレンジを詰めていく中で管楽器欲しいよねって。トランペットと一緒にスキャットとかできたらめっちゃいいよねみたいなっていうところで、黒田さんのお名前が挙がったので、もう絶対黒田さんがいいですっていうのでお願いしました。
──黒田さんのことはもともとご存知でした?
曲を聴かせていただいていたんです。最初に知ったのがホセ・ジェイムズと一緒にやっていた曲なんですけど、このトランペットすごい、かっこいいってシンプルに思って。そこからいろいろ聴いていくなかで、一聴しただけで黒田さんのトランペットだってわかるサウンド感がすごいなって思っていました。それでお願いしたらたまたま日本にいらっしゃるタイミングだったので、レコーディング現場も立ち会えたし、ライブも観に行かせていただいたりして。めちゃくちゃ贅沢なレコーディングになりました。
──イントロからトランペットが効いていますよね。
うん。一気にそこで景色が広がる感じがします。そのイントロのトランペットも黒田さんがアイディアをくださって。吹いてくださっているときに「これをイントロに付けたらおもしろいんじゃない?」って。やっぱりあれがいきなり来たらすごくドキッとするし、ラジオとかで聴いたら私でも耳を傾けちゃうと思うんで。そういうアイディアをいただけたのはありがたかったし、勉強になりました。
──どうして今回、管楽器の音が欲しいと思ったんですか?
その時参考にしていたのがジャスティン・ビーバーの「Love Yourself」だったんです。あれもアウトロでトランペットが鳴っていてジャスティンがスキャットでそれをなぞるみたいな感じになっているんですけど、それがすごくいいなと思っていたんです。この曲にもきっと合うから取り入れたいよねって思って。で、黒田さんが吹いてくださるってのが決まった後に、だったらビートももっと深いとこんです行かなきゃねっていうのでマーカス・Dさんにお願いして。めちゃくちゃクールなビートを作ってくださったので、そのおかげで私の描いていた爽やかさの中にすごく深さが加わったなって。それこそ景色の解像度が上がったなって思いますね。
──マーカス・Dのビートに黒田卓也のトランペットが乗っているって、めちゃくちゃシブいじゃないですか。
激シブですよね。
──その激シブサウンドが竹内アンナによってポップスになっているっていうのがこの曲のすごくおもしろいところだなって。
私の歌はおふたりの後に録ったんですけど、おもしろいのが、全員グリッドから外れてるんです。おふたりがすごく後ろなんで、歌も合わせていて。トラックダウンのときとかもみんなで「やばいね」って話していたんですけど。でも合っていないのが正解になっているのがこの曲のおもしろいところだと思います。
次のページ