2022.11.04 19:00
2022.11.04 19:00
“超絶ガナリヴォイス”を持つ2001年生まれのボーカリスト、超学生。小学生で歌ってみた動画を投稿し、以降も勉学と並行しながらコンスタントに活動を継続。高校を卒業した年である2020年に初のオリジナル楽曲「ルームNo.4」をリリースし、歌ってみた楽曲とオリジナル楽曲どちらも精力的に発信し続けている。
そんな彼が10月12日に、VOCALOIDクリエイター・すりぃが提供した「サイコ」をリリース、さらには10月28日リリースの「Did you see the sunrise?」でメジャーデビュー。同作は松隈ケンタによる書き下ろし楽曲で、西島秀俊と中村倫也がW主演を務めるPrime Video『仮面ライダーBLACK SUN』の主題歌に起用されている。
活動10年目を迎え、アーティストとして過渡期の渦中にいる彼は、今の音楽シーンや自分の状況をどのように見据え、どのような心境を抱えているのだろうか。ロングインタビューで迫った。
超学生なら何をやってもいいと思える
──前々から公言なさっていた「メジャーデビュー」がとうとう叶いましたね。
ありがとうございます。1、2年前ぐらいから本当にありがたいことに、いろんな方からお声掛けいただいたり、たくさん動画を観ていただいていたので、ついにメジャーデビューを迎えた感慨深さもありつつ、これから先にどんなことがあるのかのワクワクが勝っていますね。
──メジャーデビューを志したのはいつ頃でしたか?
ほんと活動を始めた初期くらい、小中学生の頃ですね。その頃くらいから歌い手さんがメジャーデビューすることが増えていったので、僕もその後を追いたいなと思いました。実際にメジャーに身を置いてみて、やれることの幅の広さや選択肢の多さを実感していて。自分だと難しい音の処理やクリエイターさんとの制作などを実現させていただけて、本当にありがたいです。
──特に超学生さんは、歌に限らず様々なことに挑戦したいとおっしゃっているので、メジャーというフィールドは向いていそうです。
音楽ももちろんですけど、たとえばYouTuberさんとゲーム実況をしたり、企画のコラボとかもどんどんしていけたらいいなと思っていて。というのも、僕のファンの方々は、僕が苦手なことをしている様子も楽しんでくれるんですよ。ゲーム実況で苦手な謎解きゲームをして、同じところをぐるぐる回っちゃっても「へたくそ!」とか「やめちまえ!」みたいに言ってくる人がいなくて。寛容な方々のあたたかいコメントに助けられてるんですよね。だから自分でも「超学生なら何をやってもいいんだ」と思えるし、それを楽しめるんです。
──小学生で歌ってみたを始めたとなると、この10年で関わる方々のほとんどが年上だったと思うのですが、10代の超学生さんにとってその環境はどうでしたか?
もともと年上の方と接することがあまり苦じゃないというか、年齢自体を意識することが少ないんです。やっぱり誰でも年上の人と年下の人に対する態度は使い分けることがほとんどだと思うんですけど、僕の場合はみんな年上だから、一貫して同じ姿勢でいられました。でもそのクセが全然抜けてなくて……。この前「超パーティー2022」でご一緒した踊り手さんに「年下なんでタメ口で話してください」と言われても、全然タメ口で話せなくて。だから「敬語口調のキャラだと思ってください」と言いました(笑)。
──(笑)。多感な時期にこつこつと活動を続けてこれたモチベーションはどんなところにありましたか?
「いちオタクとしての超学生が観てきたコンテンツに関わりたい」という願望は昔から強いので、どんどんやりたいことが出てきちゃうんですよね。それが常にモチベーションになっていたと思います。長く続けてきたからこそタイアップをいただいたり、憧れの先輩方や歌い手さん、アーティストさんとのコラボが決まるんじゃないかなと思っていて。小学生の時からずっと超学生という名前を使ってきて、辞めないで良かったなと思っていますね。
──2010年代から現在にかけて、インターネットの音楽シーンにもいろいろと動きがありましたが、その中で活動してきた超学生さんにはどう見えていたのでしょうか。
2010年代初頭のVOCALOID音楽は、インターネットが好きな人が視聴している音楽の文化だったんですけど、それが徐々にJ-POPのフィールドに浸透していると思います。TVをつけるだけでも、VOCALOIDに関連するイベントの情報が流れている。そのきっかけになったのはやっぱり米津玄師さんだと思うし、ボカロやインターネット文化に懐疑的だった人もどんどんVOCALOIDを無視できなくなってきたんじゃないかとも思っています。あと、世の中で人気が出ている音楽は、掛け算的な要素が強いと思っていて。相互作用的な効果で広がりを見せていると思うんです。
──確かに。ここ2、3年はコラボレーションがキーになっていますよね。アニメのテーマソングであったり、VOCALOIDクリエイターさんと歌い手さんのタッグであったりと。
さらにインターネットやSNS出身の方は、ファンの人との掛け算が作れているのが大きいと思うんですよね。コメントの返信とか生配信とかで、親近感を抱いていただけたり。たとえばTikTokでも、オリジナル曲をアップしているTikTokerさんもそれを観る視聴者さんも、同じ「TikTokを楽しむ人」なんですよね。だからカリスマ的な存在の方であってもどこか身近に感じられるし、好きなTikTokerさんの動画が流行るのは、仲のいい人がTVに出てるのと似た感覚だと思うんです。
──なるほど。ファンの方との信頼関係が流行を生んでいる側面もあるということですね。
僕個人もいろんな人と仲良くしたい、友達になりたい気持ちは大きいので、配信も積極的にやりたいんです。ラジオやTVをきっかけに出会える人もいると思うので、出演の機会がもっと増えたらいいなと思っていますね。
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