イナズマロック フェス 2022 特集 第3回
今年のイナズマを振り返る──まさに“ごった煮”を堪能させた祝宴初日
2022.10.18 17:00
2022.10.18 17:00
それぞれの方法で西川への感謝をアピール
閑話休題といった所でここからはいよいよロックフェスの名の通り、バンドアクトが3連発。
敢えて略称で呼ばせて頂こう。もはや日本、いや世界を代表するフェスアクト、スカパラ兄さん達のお出ましである。念願叶ってのイナズマロック出演であった事をアツく語りつつのパフォーマンス、これはビールがウマいヤツ(仕事中)。途中トロンボーンの北原雅彦が持ち替えた巨大な楽器のベル部分にはしっかりとイナズマロックの文字と言うなんとも粋な計らい(正式名称は”スーザフォン”。テストには多分出ません)や、ゲストボーカルに04 Limited SazabysのGENを迎えての「銀河と迷路 feat.GEN」など、この日ならではの一幕も。
Fear, and Loathing in Las Vegas。通称ベガス。あるいはなんちゃらラスベガス。重く歪んだギターやシャウトに上物として足されるシンセのピコピコ音やメンバーの華やかなパフォーマンス(特にギターのTaiki。毎度カッ飛んだ出立ちで楽しませてくれる彼であるが、此度は黒のビキニパンツを着用しての登場。西川からもっと攻めろと言われての事だったらしい)により、どこまでもポジティブである種健康的なメタル、ハードコアサウンドを聴かせてくれる世界的に見ても珍しいバンド。縦横無尽にステージを駆け回るSoとMinamiのツインボーカル、隙あらばスティック回しなどを盛り込みつつのドラムで魅了するTomonoriなど、相変わらず目がふたつでは足りないステージであった(笑)。
「滋賀の水を全部抜きに来ました。04 Limited Sazabysです!」とのMCで会場を沸かせてくれたフォーリミは今回で5度目の出場となる。メロディックパンク的なサウンドではあるのだが、少年性や憂いを孕んだGENの歌声はこの曇り空にもぴったりな抒情性をも兼ね備える。リハから「knife」「nem…」や本編に突入しても清涼感たっぷりの(そして前述の通り、ちょっと切ない)ナンバーを畳み掛けて行く。終盤は先程のお返しだと言わんばかりにスカパラホーンズの4名をゲストに迎えて「swim」そして代表曲とも言えるであろう「monolith」を続けてプレイし、「まだ時間があるみたいだから」とオマケに1分に満たないショートチューン「Remember」で締め。
さあ、トリを前にしていよいよ今回の主催者、西川貴教の登場である。翌日のT.M.Revolutionと名義を分けての出演となった初日であるが、会場はそんな彼の略称である”TNNK”のロゴを纏ったお客様方がずらり。壮観であった。筋組織を連想させる様な真っ黒のボディスーツに身を包み、「Crescent Cutlass」でスタート。3年ぶりのイナズマロックともあって、歌声に孕む気迫が半端じゃない。DJも加わった編成でラップまでをも華麗にこなしていく。「Be Affected」ではベガスのSoとMinamiがゲストとして登場。圧巻のトリプルボーカルを聴かせてくれた後、最新シングルである「一番光れ!-ブッチギレ-」をラストに配置するなど、尚も進化を続けるアーティストとしてハングリー精神剥き出しのライブを叩きつけた。
今や一躍時の人とも言える活躍を見せてくれるJPのネタ(何と1人で”すべらない話”をやり切ってしまった)を挟んで初日のトリは2019年にもトリを務めた経験もある、ももいろクローバーZ。直前に喉の不調で欠場となった高城れにを除いた3人編成でのステージであったが、冒頭の「行くぜっ!怪盗少女」から、もうフルスロットル。続く「stay gold」や「The Diamond Four」も然りで、目まぐるしく入れ替わり立ち替わるボーカルパートと言葉数詰め込みまくりの歌詞は、生で体感すると実にリズミカル、もといパーカッシブとも言える程に扇情的であり、知らず知らずの内に身体は踊り心も踊る。本編を「サラバ、愛しき悲しみたちよ」で終え、アンコールでは「走れ! -ZZ ver.-」そして高城れにのカラーである紫のTシャツを纏った西川と共に「鉄血†Gravity」を披露し、初日を大団円へと導いてくれた。
“ごった煮”とは先日のインタビュー時に西川本人の弁として語られた事であったが、ジャンル問わず全てを”音楽”として楽しむオーディエンスの懐の広さ、そしてそれをまとめ上げる西川の懐の広さを窺い知れる様な、大充実のラインナップであった。
(2日目へ続く)