2022.08.15 12:15
2022.08.15 12:15
今までの自分を打破したい気持ちがあった
──EPのタイトルも『ノスタルジー』で、「ノスタルジックに夏めいて」という楽曲もあります。ノスタルジーという言葉を本作で使われている理由を教えてください。
このEPを作るあたって、全体的に明るい楽曲を集めたくて。今までは、自分の好みもあるんですけど、ちょっと影のあるダークな楽曲だったり、大人っぽい曲が結構多かったんです。このタイミングでEPを出させていただけることになったので、テーマをどうしようかなと思って。映画を見たりしていいなと思ったフレーズや、思い浮かんだことを箇条書きにしたりしているメモがあるんですけど、「ノスタルジー」は、その中にあったワードでもあるんです。テーマを視覚で言うと、明るいモノクロ写真。ノスタルジーって、昔は楽しかったなとか、戻ってこないみたいな哀しいイメージもあると思うんです。もちろん過去は戻らないんですけど、あの頃もよかったねって笑って振り返るような1枚にしたくて、シンプルに「ノスタルジー」とつけさせていただきました。
──逢田さんの作詞曲「ノスタルジックに夏めいて」も、今おっしゃったみたいに昔は良かっただけじゃなく、未来を向いているような一面も見える曲だなと感じました。
過去は過去で一つの思い出で、どんどん上書きされていくと思うんですよ。楽しいことも更新されていく。夏が終わっていくのは寂しいけど、違う景色が見えたり、また来年は違う夏がくる。そういったプラス思考なものだと思っています。
──先ほどおっしゃっていた箇条書きされているメモの中に、ノスタルジーという言葉もあったんですか?
ありました。「ノスタルジック○○」みたいに、まだフワッとした状態だったんですけど、これをテーマに作ったら素敵かもと思って選びました。
──歌詞は、どういうプロセスで書かれていかれたんでしょう。
「ノスタルジックに夏めいて」は、ちょっと時間がかかりましたね。今まではバラード調だったり、それこそちょっと影がある楽曲の歌詞を書くことが多かったんですけど、この曲はすごくポップで、明るくキャッチーな楽曲で。自分で、こういった楽曲がいいですってお願いした上でなんですけど、自分の中に明るい楽曲の歌詞を書くボキャブラリーが少なくて。今までの自分を打破したい気持ちがあったので、最初は結構無理して、いつもの自分っぽくない歌詞を当てはめていたんですよ。なるべくポップな感じで、今までにない感じにしようって。でも、作曲家の市川さんが、アレンジを加えてデモをくださって、いつもの自分の色に若干近づいたなと感じたときに、すごくイメージが湧いて。別に無理せず、いつもの自分らしく、自分らしさを残そうと思えてからは、割と書きやすくなりましたね。かつ、今までなら入れなかったワードも入っていると思うので、新しい一面をお見せできるんじゃないかと思っています。
──逢田さんにとって、影のある楽曲のほうが相性がいいのはなぜなんでしょう?
ここまで生きてきて、あまり明るくなかったり、少しネガティブな部分もあって。いざ明るい楽曲と向き合ったとき、こんなに出てこないもんなんだなって気づかされたというか。それはもう自分なので、受け入れつつ、そんなに重くは考えてはいませんでした。時間かかった分、出来上がったときの達成感や愛着が強くて。個人的に、すごく好きな歌詞が書けたなと思います。
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