2022.08.13 13:00
音楽の原点は自分の嫌なところや葛藤を吐き出す行為
──そういった鬱屈とした葛藤を描いたような世界観とは裏腹に、自分たちの感情を外にぶつけまくってるバンドだとも思うんですけど、どんどん作品を重ねるごとに深みが増していってて。ライブのユニティ感に寄っていってもおかしくない中で、より疎外感に対する深みが増していって、ある種狂気じみていくのが、乖離していてすごく印象的でした。これはもっと深いところに行かねばという心境でしたか?
片桐 2019年まではかなり、陰・陽一切無しみたいな、心の一番奥、深海のようなライブをしていて。私の音楽の原点は自分の嫌なところや葛藤を吐き出す行為だったので、それは自分らしくてよかったんですけど、聴いてくれる人が増えていく中で、「救われた」という声が届き始めて。そういう存在を自分の中で大切に思えるようになって明るい方向に、最後に少しでも救いを歌えるようになりました。「もしかしたら答えかもしれない」ものを見つけたら歌詞にしようと思うようになりました。
──なるほど。片桐さんに変化があった中で、アルさんはどのように変わっていったとかはありますか?
アル 僕はバンドを始めた時から売れること、メジャーにいくことを決めていて。片桐のボーカルをもっていればある程度戦えるとも思っていて。なので昔から大きく意識が変わったところは無いのですが、メジャーになってどう結果を残すか、どうやって上にいくかはこの一年で改めて考えるようになりました。売れなきゃ意味がないので。
──バンドの見せ方は結成当初からアルさんが担っていたんですか?
片桐 そうですね。世界観については最初から私が任せてもらってたんですが、最近のトレンドをどうHakubiに落とし込むかみたいなことはアルくんが担ってくれてますね。マツイは古き良きバンドマンなので、三者三様なのでその時々で話し合ってます。
──ユウキさんのドラムに関してなんですが、ビート感とドライブ感が常に一定してあるのがすごく好きなところで。
マツイ ありがとうございます!
──とてもライブで観たくなるドラムプレイで、そこが古き良きバンドマンなのかなと思いました。プレイにおいては感情が先行するタイプだったりするんですか?
マツイ めちゃくちゃ感情で動くタイプですね。僕もお客さんの気持ちで(片桐の)MCを聞いてるので、めちゃくちゃええこと言うてたら次の曲とかめちゃくちゃテンション上がってます。
片桐 めっちゃテンポ早くなります。
──今3人から話を聞いてなるほどと思ったのが、世界観については片桐さんのパーソナルな部分を吐き出すことに徹底しつつも、感情表現においては三者三様でいい意味で干渉しないラインで組み合わさってるんだなと思いました。
片桐 (納得した表情で)あぁ。
──そんな片桐さんの歌詞の内容とは別の感情線で動いてるドラムに歌が乗ってるのがすごく面白いと思いました。そこが有機的に絡んでいく中で策士アルがいると。
一同 (笑)
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