ヒップホップで社会を生き抜く! 第3回
〜文化を次世代へ〜 ヒップホップアーティストとスケートボードから学ぶポジティブのサイクル
2022.08.04 12:30
2022.08.04 12:30
文化のサイクル
コモンやトラヴィス・スコットの家族のように、次世代を擁してポジティブなメッセージを伝えたからこそ、世界を変えるような偉大な人物が生まれたとも言えるだろう。少しニュアンスは違うかもしれないが、「文化」というものは、この「ポジティブのサイクル」から成り立っているようにも思える。物事を「文字化」するというように、「文化」というものは次の世代に伝え続け、残していくことである。その文化のサイクルというと、私が個人的に経験したスケートボード文化を例にとると伝わりやすいかもしれない。
私は南カリフォルニアで、スケートボード文化に属して育ったのだが、そこで文化における「ポジティブのサイクル」というものを感じた。南カリフォルニアでは、スケーターたちが始めたブランドがスケートパークを作る例もあり、そのような場所が子供たちの「居場所」になる。居場所を与えてもらった子供たちは、そのブランドの商品を買い、さらにお世話になったという意味でも大人になってからも商品を購入し続ける場合もある。その売上で、ブランドはスケーターをさらにスポンサーし、「プロスケーター」という職業が成立する。そのプロスケーターたちに憧れた子供たちがスケーターになり、同じようにスケートパークという「居場所」を見つける。そしてその居場所によって成長したスケーターたちが、プロスケーターやブランドオーナーになる。
その「次世代の居場所を作りたい」という想いが、結果的にブランドにも返ってきているのだ。そしてプロスケーターという職業に還元され、さらに次世代に託される。大げさかもしれないが、自分がスケーターとして育つ上で、そのような「サイクル」が成り立っている文化であると感じた。このような「ポジティブのサイクル」を作ることができるのか?それが文化を残していく上で重要なことだと、私はヒップホップとスケートボードから学んだ。