3年ぶり開催、矢沢が仕掛ける音楽フェスDAY2を現地レポ
矢沢永吉がロック・アーティストの真髄を見せた2日間、氣志團、サンボ、打首とセッション
2022.07.05 11:00
矢沢フェスのステージに立つ矢沢永吉(Photo by 平野タカシ)
2022.07.05 11:00
3ピースながら様々な音楽要素を盛り込んだサンボマスター
SE「MONKY MAGIC」に乗って、体を揺らしながらステージに登場した山口隆(Vo.Gt)、近藤洋一(Ba)、木内泰史(Dr)の3人。山口が「ハイハイハイ!」と手拍子を煽ってから「輝きだして走ってく」でスタート。歌の合間に「踊りまくれる人! そんなもんか!?」と客席にゲキを飛ばしながらも、柔らかく温かい歌と演奏を届ける。「毎朝流れるこのメロディで、踊っていただきましょう! おはようございます! せ~の、“ラヴィット!”」のひと言で始まったイントロは、TBS「ラヴィット!」のオープニング・テーマでおなじみの「ヒューマニテイ!」だ。幕張メッセが一気に朝を迎えたように爽やかな空気感が漂った。代表曲の1つ「世界はそれを愛と叫ぶんだぜ」は、かなり認知されているようで、多くの人が頭上で手拍子をしてヒートアップ。熱いロックナンバーで一体化すると、カラフルなライトが飛び交い会場が巨大ディスコと化した「孤独とランデブー」で踊らせるなど、3ピースながら様々な音楽要素を盛り込んだライブはサンボならでは。
MCでは山口が、「(矢沢に)サインもらえねえかなと思って、日比谷野音ライブのレコード(『THE STAR IN HIBIYA』)か『ゴールドラッシュ』のレコードか迷って、今日は『ゴールドラッシュ』を持ってきました」と、マニアぶりがわかるひと言で盛り上げた。アーティストにとっても、同じステージに立つことは貴重な機会であることが伺える。
「コロナもあって、戦争もあったけど、生きててくれてありがとうございます」とMCでつぶやいた山口。照明を落としたステージから、優しさに満ちたバラード「ラブソング」を歌うと、客席ではライトをつけたスマホがキャンドルのように掲げられて、バンドと観客が1つになってラブ&ピースな世界観を創り上げた。最新曲「ボクだけのもの」では、間奏のベースの音に合わせて客席から一斉に手拍子が自然発生。コロナに翻弄された時代の中で、“心は僕だけのもの”と歌う内容がストレートなサウンドと相まって胸に迫ってきた。ライブは「できっこないを やらなくちゃ」で一体感を生み出して、山口が「全員優勝! 全員優勝!」と叫んで興奮は最高潮に。ラストは「おめえが花束だって言ってんだこのやろう!」と山口らしい愛情表現で煽って、躍動感溢れるリズムとメッセージに気分が高揚するパワーポップ「花束」を歌い、「また会いましょう、みなさん! 最高でした!」と、濃密なライブは終了となった。
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