2026.04.02 18:00
2026.04.02 18:00
ONENESSという感覚を、ここ1、2年ずっと意識している
──5曲目の「まわるみらい feat. 藤原さくら」については?
とにかく女性とデュオしたいというイメージがありました。以前はレーベルメイトでディレクターさんが同じだった時期もあって、私のライブによく顔を出してくださっていたんですが、ちゃんと話せたのはミュージカル『ジャニス』で共演したときで。めちゃめちゃかわいいのに話すとなんだか男前(笑)。声の低音もいいですよね。好きな曲もたくさんあって、カナダ(※UAはカナダ在住)でも彼女の曲をプレイリストに入れて子どもたちと聴いていたぐらい。とにかく女性とデュオしたいというイメージが最初にあったのでお願いしました。チェロの低音と彼女の低音がすごく合ってますよね。この曲も2020年の段階でデモがあったんです。なので実は、今回の制作時期に改めて一から作った曲は「WAKEUP feat. MFS」だけなんですよ。
──では、その「WAKEUP feat. MFS」についても。
「ラップに挑戦したいぞ」と思ってたんだけど、スキル的に私だけじゃ完結できないと思って、MFSさんにお願いしました。もともと彼女のファンで、自分のラジオ番組でも彼女の曲をかけていました。持ちかけたところ即座に快くOKしてくれて、感激しました。これまで私は男性とのコラボが多かったので、今作は女性との共演が増えたことも新しいですね。MFSさんには歌詞の補足として散文的な言葉を添えてお送りしたんですが、 すぐにがっつりとニュアンスをつかんでくださって。さらには「ちょっとユーモアがほしい」という私からのリクエストもすぐに理解して返してくれました。
──この曲の「ビニール傘から核までもにぎる我々の皮膚は敏感」も、ものすごい一行で、思わず唸りました。
ありがとうございます。この歌詞には関係ないけど、そういえばビニール傘ってアップサイクルはされてもリサイクルはほぼされないんですってね(※分別の難しさなどの理由から)。こんなに売られているのに不思議だなあって。
──ちなみに、虹郎さん、さくらさん、MFSさんってほぼ同世代ですね。
そうなの! はからずも結果的にそうなったんだけど、面白いですよね。私がハモリやすい世代なのかな?(笑)。
──「GORILLAS are still very shy」については?
これもやっぱり根底にはONENESSという考え方があって。“I”ではなく“We”として、時間とともに歩んでいく私たちについて描いていますね。ONENESSについては特にここ1、2年、ずっと意識的にイメージしたい感覚なんですが、深層心理としての集合意識のようなものを確かめる上での喜びの共有というか。結局、人って、大なり小なり愛についてずっと確認しながら生きているわけじゃないですか。そこで腑に落ちた思いが曲になったというか。自分の意識自体は割と前からブレがないんですが、やっぱりそれなりに長く生きてきたので、それなりに自分の意識が到達している地点で抱く希望のようなものを、ちゃんと言葉で表せるようになったのかもしれませんね。
──「奇妙奇天烈なこと続続熱狂して輝け 純粋な距離を学んでそれに慣れたら さあ輝け 永遠に巻き込まれよ」って、これ、人生という名のダンスフロアですよね。
そうそう! 人間として地球に立っている以上、ただ部屋に閉じこもってスマホの画面だけを見てじっと座っているよりも、道に出て歩いて回りたいというかね。やっぱり輝かせたいですよ、魂を。
──「変身」は、西田修大さんによるアレンジがスリリングです。
彼は実に才気あふれた音楽家で、緻密に計算されたアレンジですよね。変拍子満載な曲で(笑)。私が参考にしたかったいくつかの楽曲をヒントにしてくれた上で、それらを踏襲しながら数段と新しい領域に持っていってくれたと思います。いま、ここ、東京の知人の部屋(※本取材はリモートで実施)をお借りしているんですが、制作の一番最後になったこの曲の歌詞はこのお部屋で書き始めました。この楽曲の斬新な世界観に、他曲で一貫してきたワンネス感とは違った扉を開きたくて、お部屋の本棚を見たらカフカの『変身』の文庫本が目に止まって、高校生の時以来だったんですが、読み始めたら止まらなくなっちゃって(笑)。そのテーマとはまったく関係ないけど、言葉のニュアンスとしてかなり影響を受けました。生きる上でいろんな顔を持つというか、いかにポジティブな意味で変身できるかで愛の態度というのも左右されるんじゃないかな?って。愛は妥協でも延長でもない、という。

──「Tonic」については?
こちらも2020年のデモの段階からお気に入りだったんですが、最初はメロディがなかったんです。そこから荒木くんがメロディを付けてくれて。トラックは三重県在住の荒木くんが自宅スタジオに地元のミュージシャン仲間を呼んで演奏してもらっています。
歌詞は、小唄のように、さらりと書かせてもらいました。「目を閉じて 今 夕陽の沈む音が聴こえるかい」とありますけど、もちろん夕日が沈む音なんて聴こえないじゃないですか。でも、このトラックのすごいグルーヴを聴いて、それを一旦夕陽の音だと仮定して。特定非営利活動法人熱帯森林保護団体代表の南 研子さんという女性がいらっしゃって。私、2000年から彼女の著書を読んでその活動に注目していまして。自分のラジオ番組にゲストでお呼びしたとき、彼女が「アマゾンでは夕陽の沈む音が聴こえる」とおっしゃったんですよ。もう、ドキュンときちゃって! その衝撃からストーリーを広げて書きました。昔の『ルパン三世』のエンディングに出てくる、夕陽をバックにバイクに乗っている峰不二子ちゃんのシーンのイメージもありましたね(笑)。この曲では二人乗りですけど。
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