2026.04.02 18:00
2026.04.02 18:00
UAが約4年ぶりのニューアルバム『NEWME』をリリースした 。デビュー30周年という節目に届けられた本作は、彼女が「30年目のポップ回帰」と位置づける、軽やかで瑞々しい“ネオ・ポップ”が鳴り響く傑作だ。全11曲には昨年配信された「Happy」のほか、村上虹郎や藤原さくら、MFSといった次世代アーティストの参加曲や、坂本龍一から託されたメロディから生まれた楽曲も収録されている。
今回Bezzyでは、彼女が今この瞬間を生きる「新しい私(NEW ME)」に辿り着くまでのプロセスを紐解くロングインタビューをお届けする。すでにアルバムを楽しんでいるリスナーには全曲ライナーノーツとしても機能するテキストなので、ぜひとも一読してほしい。
ようやく『NEWME』に辿り着いた
──今回のニューアルバムについてお話をうかがう前に、まずは上梓されたばかりの『UA自伝 おとぎ話を聴かせて』について。これ、とてもいい本ですね。人の自伝をこう軽々しく言うのも何ですが、率直に「面白かった」です。
うれしい! ありがとうございます。この本は取材と構成をしてくれた“みぽりん” こと川口美保さんの存在なくしては生まれませんでした。私、基本的には前に進んでいくタイプなのであまり過去を振り返らないせいもあって、歳のせいか、いよいよ記憶喪失過ぎて(苦笑)。もう、今後は取材のたびにこの本をお配りして、「あとは適当に書いてください」にしようかな(笑)。

──そうくるか(苦笑)。実際、過去、雑誌『SWITCH』でUAさんの特集を手がけた川口さんの手腕が光っていました。彼女と話すことで、いろいろな過去が思い出されましたか?
しっかり聞いてもらえたからこそ、でしたね。昨年秋に、アルバム制作の隙間で合計20時間ほどインタビューしてもらって、言いたいことも増えたので、かなり加筆もさせていただいて。結局、最初の予定の倍ぐらいの文字量になっちゃって(苦笑)。本作りなんて初めてだし、作る醍醐味や上梓の実感どころじゃなかったなあ。もう、恥ずかしさを拭いながら必死に赤入れするだけでいっぱいいっぱいでしたね〜(苦笑)。
──ちなみに本書が刊行に至った経緯は?
出版社(シンコー・ミュージック)の編集さんからのご提案でした。結果、想像を絶する過酷な作業になったけど、30周年ということで、結果的にはいいタイミングだったなって。これまでの自分を見つめ直す良い時間になりました。過去と現在の距離感みたいなものは、アルバムの仕上がりにも影響していたし。本には私の意識の変遷が綴られていると思いますが、それは『NEWME』という言葉にも現れていて。

──『NEWME』はまさに「30年目のポップ回帰」というアルバムですね。
ありがとうございます。25周年のときに、あらかじめ、「改めてポップを見つめ直したい」と宣言していたので。アルバム『Are U Romantic?』というホップやAJICOというステップを経て、ようやく『NEWME』というジャンプに辿り着いて、私なりの“ネオ・ポップ”を完成させられたかな、と。
──『NEWME』という言葉自体が“ネオ・ポップ”ときっちり紐づいていて。自叙伝の中にも綴られていた、「今日という日に出会える新鮮な私」も体現している言葉だと感じられるし。
そうそう。要は、斬新であろうとか、全くもって違ったものになろうとか、そういう強い意味でのNEWではないんですよね。
──しかも『NEWME』の何がすごいかというと、そのネオポップが11曲トータル34分で、これほどまでにしなやかに、軽やかに表現されているということ。30年目のUAは、ものすごいネオ・ポップの境地に辿り着いたんだなあと。
うれしい。私もそれはこのアルバムが本当によくできたなあと我ながら思っている所以(ゆえん)で。重量のあるポップ感を、勝負どころの曲以外は繰り返さないように、あくまで彩りとしてしか使っていない。だから、フルアルバムだけどすごく短いですよね。
──それでいて、アルバムの物語性と情報量は圧倒的な質量で。なおかつ、1曲目の「NEWME」が象徴的ですが、曲の構成も、必ずしもA〜B〜A〜BでCサビ、みたいなセオリーにのっとっていなくて。
そうそう。でも、そうしようと狙ったりもしていなくて。本当に、楽しみきって、軽やかに作り切ったらこうなったんですよ。さっき「しなやか」と言ってもらえましたけど、そう在りたいなあという希望はあるものの、自分を解放できたなあと思える瞬間なんて、あっても束の間だし。「自由だ」「明け渡した」なんて気持ちも全く無くて。ただ、自分の人生観としての蓄積が、扉が開いてバーンと溢れ出てきたようなアルバムにはなったかもしれないです。
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