俳優としての幸せを噛み締めて憧れの松尾スズキ作品に臨む
「まだまだだと思うことすら楽しい」咲妃みゆを満たす感謝、過去の自分に贈りたい言葉とは
2026.01.16 18:30
2026.01.16 18:30
芳根さんの立ち居振る舞いに感銘されました
──事前のインタビューでも、松尾作品がお好きだったとおっしゃっていましたよね。松尾さんといえば、ブラックコメディの名手。あの松尾スズキの笑いを体現するというのは、実際にやってみるとどうですか。
大変ではありますが、憧れていた松尾さんの世界に身を置けている幸福感が大きくて。体力的にハードな毎日にもかかわらず、心はすごく元気です。 松尾さんの作品は、面白いシーンの中にぐさりと刺さる台詞や、まるで自分ごとのようにハッとさせられる描写がちりばめられている。今回の舞台も、冒頭からそんなシーンで始まります。松尾さんならではの魅力をちゃんとお客様にお届けしたいです。1度目と2度目では見える景色や抱かれるご感想がガラッと変わってくる気がします。噛めば噛むほど味わい深くなる作品なので、ぜひお客様には何度でも楽しんでいただきたいです。

──元宝塚トップ娘役の咲妃さんと松尾さんって意外な組み合わせな気がしたんですけど、KERA(ケラリーノ・サンドロヴィッチ)さんや唐さんの作品にお出になっていることを考えると、むしろ松尾作品は自然な流れなんですよね。
数々の挑戦の機会に恵まれながら、これまで地道に歩んできたのですが、ここ数年、本当にうれしいご縁をたくさんいただいて、感謝することばかりです。ご縁の広がりって自分の力だけではどうにもならないものがあると思います。だからこそ、この俳優面白いな、一緒に創作してみたいなと思っていただけることが、私にとって一番の喜び。今こうして夢のようなお仕事ができているのも、私が何か頑張ったからというより、見つけてくださった方がいたからなんです。
だから、声をかけていただけることにはいつも感謝の気持ちでいっぱいですし、足のすくむような挑戦を前にした私の背中を押して、新しい世界に出会わせてくださる事務所の方々にもお礼が言いたいです。

──咲妃さんは、元タカラジェンヌというフィールドから近年どんどん自分だけの道を切り開いている気がします。ご自身では今の状況をどう受け止めていますか。
宝塚がつくり上げる舞台は、まさに夢のような世界。でもそこから外に飛び出すと、宝塚で培ってきたお芝居とはまた違う、人間臭さが求められて、俳優としての力量を改めて試されているなと思う機会も多いです。私にとって、宝塚は偉大な故郷。そこを巣立ち、まったく違うフィールドで奮闘している私を見て、興味を持ってくださる方が少しずつ増えていることをうれしく思っています。
宝塚のような夢々しい世界を愛していらっしゃる方からすると、今私が挑んでいる作品は少しお好みと違うかもしれません。そこはもうご自身の自由ですので、私が無理やり振り向かせることはできないのですが、長年応援してくださる方の中には、私の出演作を観て「自分の視野が広がった。」と言ってくださる方もいて。そういうお言葉をいただけると一層励みになりますし、私の選択は間違っていなかったのだと安心もする昨今です。
──舞台だけでなく、映像でのご活躍も増えてきました。個人的には、『波うららかに、めおと日和』のお姉ちゃん(次女・あき奈)の役が好きでした。
ありがとうございます。『めおと日和』は原作ファンのみなさんにもお喜びいただけたみたいで、うれしかったですね。

──よければ『めおと日和』の思い出話も伺えますか。
広く知られている話ですが、あの頃の芳根(京子)さんのご多忙ぶりといったら大変なものがあり、ドラマの撮影と舞台を並行なさるという信じられないことをやってのけていらっしゃったのですが、現場では疲労を一切感じさせないくらい明るく元気に作品を引っ張ってくださって。主役さんとしての立ち居振る舞いに日々感銘を受けていました。
もちろんなつ美の人物像自体も素敵でしたけれど、芳根さんだったからこそ『めおと日和』という作品が、より輝いたのではないかと思っています。ハードなスケジュールでしたが、現場はいつも朗らかで、あんなにも瑞々しさを感じられる現場にいさせてもらえることが幸せでしたし、ドラマのために集まったチームではありましたが、見えない絆が、少しずつ、でも急速に育まれていくことに喜びを感じる日々でしたね。
実は、今でもご縁は続いています。 姉妹同士でおすすめのものを紹介し合っています。私が舞台に立たせていただくことが多いので、京子ちゃんがのどのケアグッズをおすすめしてくださって。ありがたかったです。
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