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INTERVIEW

徳川家定を演じたドラマ『大奥 Season2』が佳境に突入

いつも裏切っていたい、まとまりたくはない。愛希れいかが“挑戦”の中で得たもの

2023.11.13 17:00

2023.11.13 17:00

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よしながふみの人気漫画をNHKがドラマ化、現在第二期が絶賛放送中の『大奥 Season2』。いよいよ物語が幕末へ突入し大詰めを迎える中、第13代将軍・徳川家定役を演じるのは2018年に宝塚歌劇団を退団後、さまざまなミュージカル作品や映像作品などで活躍の場を広げている愛希れいか。

幼少期から実父の虐待に苦しむという壮絶なバックボーンを持った役柄を演じた難しさ、またさまざまな作品を経験する中で今思っていること……彼女の「現在」について赤裸々に語ってもらった。

愛希れいか

意識したのは「作り込みすぎない」こと

──原作はもともとご存知だったんですか?

はい。過去にドラマや映画化もされていますし、この『大奥』の男女逆転している世界というのが、すごく気になる作品だったんです。宝塚は男女が別に逆転しているわけではないんですけど、男女の垣根を越えていたり、男役というものを女性が演じていたりと、何か共通するものを感じていて……それで、以前原作を読んだことがあったんですね。でも全編を通して読んだわけではなかったので、今回お話をいただいてから、再度全巻を読み直しました。

NHKドラマ10『大奥 Season2』より

──『大奥』という作品は、宝塚ファンの間では必ず「宝塚で舞台化して欲しい作品」として名前が挙がる作品なんですよね。このことはご存知でしたか?

はい、そうなんですよね(笑)。なんでしょう、『ベルサイユのばら』ではないですけど、この作品の登場人物たちにはオスカル的な要素を感じる部分があるんですかね……? でもその気持はとても良くわかります。

──改めて原作を読まれていかがでしたか?

自分の演じる徳川家定が登場する部分の感想としては「悲しくて、つらくて、苦しいな」と……。そして自分がこの役を舞台ではなく映像で演じるとなったとき、「私で大丈夫なのか」とかいろいろと思うことはありました。舞台はメイクなどですごく自分ではない人物を作りあげることができますけど、映像作品にはどこか「自分の素顔がそのまま出る」ような難しさを感じているので、この役柄を表現するのは難しいだろうな、と。家定という役はすごく壮絶な過去を抱えている人間ですから、その繊細さをどう表現しようかという不安もありましたし、ドラマのシーズン1がすごく好評だったこともあり、そのプレッシャーもありました。

──これまでもドラマご出演の経験はありますが、やはり舞台との違いは実感されますか?

そうですね。舞台はお稽古を何度も何度も繰り返して、中身も作り込む時間がある。客席との距離も離れてますから、身体表現を大きくすることで表現することも多い。でも映像になると瞬き一つ、手の動き一つで表現できてしまうし伝わってしまう。もちろん、セットも、衣装も、鬘も、すごく作り込んでくださるんですよ。でもその分、演じている自分自身は割と「そこに存在している」というナチュラルさが必要なのかな、というのを最近感じていまして。今回は、自分自身に関しては「作り込みすぎない」ということを意識しました。

──なるほど。人物造形に関しては、その「作り込みすぎない」と意識する中でどう演じられていったのですか?

監督と最初に話し合った時に言ってもらった言葉を大切にしていきましたね。家定の「受け入れる強さ」だったり、あと過去からくるトラウマなどはなるべく繊細に表現していきたいと。私が思ったのは、彼女はすごく賢く聡明な人なんですよ。愛情は受けて育っていない、でも心をきちんと開いて信頼できる人に対しては、愛を持って接することができる優しい人。そこは「将軍の器」なんですよね。そういう部分を大切にしようと思いました。

──周辺の人たちとの信頼関係が見えてくるからこそ、悲しい部分がありますよね。現場で共演されている方々とはどんな関係性でしたか?

阿部正弘役の瀧内公美さんは、ご一緒するシーンこそそんなになかったんですけど、すごく壁がない方で。本当に正弘のようにすっと心を寄せてくださったので、ただセリフを交わすだけでも2人の間の信頼関係というものが築けているような感覚になれたんです。これは瀧内さんのおかげですね。瀧山役の古川雄大さんは、直近に『エリザベート』という作品でもご一緒していたんですが、これが演じられていたのが「死神」というちょっと特殊な役柄で、そのイメージが強く(笑)。でも美しさという意味では本当に瀧山にぴったりでしたし、家定との関係もいい意味で家定が瀧山を雑に扱うような部分があり、それに瀧山が「はいはい」って言っているようなところがとても良かったんですよね。監督もその様子を見てやりとりのセリフを増やした、そんな部分もありました。元々知っている間柄だったからこそ、現場で一から関係性を築く必要はなかったのは、瀧山役が古川さんで良かったなと思います。

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まだまだ“刺激”を得たいと思う理由

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作品情報

NHKドラマ10『大奥 Season2』幕末編

『大奥 Season2』幕末編キービジュアル

『大奥 Season2』幕末編キービジュアル

NHKドラマ10『大奥 Season2』幕末編

2023年10月3日(火) スタート<全21回>
[総合][BS4K] 毎週火曜 よる10時~10時45分

番組サイトはこちら

キャスト&スタッフ

【幕末編キャスト】
瀧山(古川雄大) 徳川家定(愛希れいか) 阿部正弘(瀧内公美)
/和宮(岸井ゆきの) 徳川家茂(志田彩良) / 胤篤・天璋院(福士蒼汰)

【原作】
よしながふみ
【脚本】
森下佳子
【音楽】
KOHTA YAMAMOTO
【主題歌】
Aimer「白色蜉蝣」
【制作統括】
長谷知記 藤並英樹
【プロデューサー】
舩田遼介 松田恭典 舟橋哲男
【演出】
大原拓 末永創 川野秀昭 木村隆文

愛希れいか

アーティスト情報

福井県出身。2009年宝塚歌劇団に入団。月組に配属され、12年に月組トップ娘役に就任。
在団中の主な出演作に『ロミオとジュリエット』、『ME AND MY GIRL』、『風と共に去りぬ』など。
18年『エリザベート』(エリザベート役)で宝塚歌劇団を退団。
近年の主な出演作に、舞台『マリー・キュリー』、『エリザベート』、『泥人魚』、『マタ・ハリ』、TV「潜水艦カッペリーニ号の冒険」(CX)、特集ドラマ「アイドル」大河ドラマ「青天を衝け」(共にNHK)など。
東宝版でも『エリザベート』でエリザベート役を務める。
2024年ミュージカル『トッツィー』への出演が控えている。

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