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INTERVIEW

俳優としての幸せを噛み締めて憧れの松尾スズキ作品に臨む

「まだまだだと思うことすら楽しい」咲妃みゆを満たす感謝、過去の自分に贈りたい言葉とは

2026.01.16 18:30

2026.01.16 18:30

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美しい人は、美しい言葉を使う。丁寧な日本語に、感謝と配慮のこもった言葉選び。咲妃みゆは、元宝塚歌劇団雪組トップ娘役という経歴にふさわしい教養と品性を備えた人だった。

しかし、今やそのフィールドは元タカラジェンヌという枠組みにとどまらない。唐十郎の名作戯曲『少女都市からの呼び声』でアングラ演劇の板に立ち、『最後のドン・キホーテ THE LAST REMAKE of Don Quixote』では現代演劇のトップランナーであるケラリーノ・サンドロヴィッチ作品に初参加。そして、1月12日(月・祝)に開幕した『クワイエットルームにようこそ The Musical』では憧れの松尾スズキとタッグを組んだ。

演じるのは、ストレスフルな日常に忙殺され、女子専用の精神科病院の閉鎖病棟に入院することとなるフリーライター・佐倉明日香。咲妃もまた自分に強い負荷をかけるあまり心が崩れかけたことがあるという。けれど、彼女はそんな過去の自分を否定しない。

なぜなら、過去を否定することはそのときに応援してくれたファンの人たちと、一生懸命頑張った自分自身を否定することになるから。咲妃みゆは言葉だけでなく、心も美しい人だった。

咲妃みゆ

松尾さんが楽しそうなのが何よりもうれしい

──今まさに稽古中とのことですが、松尾スズキさんの現場はいかがですか。(※取材は12月初旬に実施)

もう楽しくてしょうがないです! 松尾さんのくださるお言葉も、キャストのみなさんが実際に台詞を発し、歌い踊る中で、どんどん松尾さんの脚本が肉付けされていく過程も面白くて。勉強になりますし、すごく豊かな時間を過ごさせてもらっています。

『クワイエットルームにようこそ The Musical』スポット映像

──今、稽古はどういう状況ですか。

一昨日ぐらいから立ち稽古が始まりました。その前までテーブルワーク(演出家と俳優がテーブルを囲んで作品の背景を深掘りしたり、解釈を共有し合うこと)をやっていて。稽古もざっと流すのではなくワンシーンずつ止めて、各役についてのニュアンスも丁寧にオーダーしてくださるので、ミュージカルの現場なんですけど、どこかストレートプレイのお稽古のような感覚を味わっています。

──松尾さんからはどんな言葉をかけてもらいましたか。

舞台上で交わすちょっとした台詞のやりとりが、時にストレスとなって明日香の中に蓄積されていることを意識してください、と。お芝居なので、ついテンポよく掛け合いを進めていきがちなんですけど、軽妙な台詞の中にしっかり松尾さんがフックとなるものを仕掛けてくださっているので、それをキャッチしていくことが重要なんだなと、お言葉をいただいて気を引き締め直しました。

でも、あとは本当に自由にやらせてもらっています。基本的に、松尾さんはまず役者に委ねてくださいます。その分、何も準備をせずに臨むと恐怖なんですけど(笑)。いろんなことを試せるという意味では、とっても風通しのいい稽古場だと思います。

──原作が小説で、すでに映画化もされていますが、これをミュージカルにしたときに、どんな面白さが生まれていると感じていますか。

まずはやっぱり音楽ですよね。今回、一人のキャストが1曲まるごと歌うというより、細かく歌割りがされていて、一つの楽曲の中でいろんな人が入れ替わり立ち替わり歌っていく曲が多いんです。その分、全員がやりがいを感じながら挑むことができているのではないでしょうか。歌が、芝居の最中に突然始まったりもします。タイミングを逃したら、そのあとの芝居に影響してしまう。みんな責任重大です。

でもそのおかげで、全員で力を合わせて作品をつくり上げていこうという空気が自然と生まれてきている気がします。この物語は明日香が主人公ではあるけれど、登場人物たちはそれぞれの人生をそれぞれのペースで生きていて、そのエネルギーをダイレクトに感じることができる群像劇になっています。共演者のみなさんがふんだんに魅力を発揮してくださるので、主演という立場ではありますが、肩肘張る必要が全然ない。これは、稽古に入る前は自分でも想像できていなかった感覚ですね。

──稽古を見ている松尾さんの様子はいかがですか。

松尾さんと長時間ご一緒するのは今回が初めてなので、普段松尾さんがどんなふうに稽古に取り組んでいらっしゃるのかはわからないのですが、今の稽古の様子を見る限り、誰より松尾さんご自身が楽しそうです。作家や演出家は言わば生みの親。だから、作品の親である松尾さんが楽しく創作に励んでいらっしゃることを何よりうれしく思います。

──じゃあ、咲妃さんからもどんどん松尾さんにアイデアをぶつけてみたり?

自分なりにいろいろと考えて稽古に挑むんですけど、現場で松尾さんから飛び出すアイデアがその上をいくものばかりで、かなわないな〜と思っています(笑)。もともとかなうわけがないんですけどね。でもそうやって自分はまだまだだと思うことすら楽しい毎日です。

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いち俳優として励みになるファンの言葉

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作品情報

COCOON PRODUCTION 2026『クワイエットルームにようこそ The Musical』

COCOON PRODUCTION 2026『クワイエットルームにようこそ The Musical』

【東京】THEATER MILANO-Za(東急歌舞伎町タワー6階)
2026年1月12日(月・祝)~2月1日(日)

【京都公演】ロームシアター京都 メインホール
2026年2月7日(土)~11日(水・祝)

【岡山公演】岡山芸術創造劇場 ハレノワ 大劇場
2026年2月22日(日)/23日(月・祝)

公式サイトはこちら

スタッフ&キャスト

作・演出:松尾スズキ
出演:咲妃みゆ、松下優也、昆 夏美、皆川猿時、桜井玲香
池津祥子、宍戸美和公、近藤公園、笠松はる、
りょう、秋山菜津子 ほか

2010年に宝塚歌劇団入団、14年に雪組トップ娘役に就任。17年退団。
第46回菊田一夫演劇大賞、第31回読売演劇大賞優秀女優賞を受賞。
近年の主な出演作に【舞台】『最後のドン・キホーテ THE LAST REMAKE of DonQuixote』『平家物語 ―胡蝶の被斬―』『ケイン&アベル』(25)、『グラウンドホッグ・デー』『空中ブランコのりのキキ』『カム フロム アウェイ』(24)、『少女都市からの呼び声』『マチルダ』(23)、【映画】『やがて海になる』、【ドラマ】『波うららかに、めおと日和』(CX)、『ゴールドサンセット』(WOWOW)、『年下彼氏2』(EX)、『私をもらって~追憶編~』(NTV)、『不適切にもほどがある!』(TBS)など。
26年5~7月上演、ミュージカル『レッドブック~私は私を語る人~』への出演が決定している。

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