2026.01.29 18:00
2026.01.29 18:00
失敗をなかったことにしないし美化もしない
──高野は母親から強い影響を受けていますが、比嘉さん自身もお母様からの影響を感じる部分は大きいですか。
とっても(笑)。オープンに話しちゃうと、私、母とよく喧嘩します。似てる部分が多いからこそ、ついぶつかってしまう。うちの場合は父が仲裁に入ってくれるんですけど、母に言ってもキリがないから、父に伝えて代わりに言ってもらうこととかあります。

──一概には言えませんが、大人になって自立すると距離もできて、親と喧嘩することって減りそうな気がするのですが。
いや〜、ありますね(笑)。たぶん仲がいいからだと思います。仲がいいからお互い遠慮をしない。うちの母はもう60歳を過ぎていますが、その世代には珍しく、自分で事業をやってきた自立した女性。いわゆる「お母さん像」が当てはまらない人なんです。共働きだったので、なんなら家にいたときは私がお母さんの役割をしていたかもしれない。
──長女だと特にそうなるかもしれません。
だから、高野が母親に対して「まだあの人に期待してるんだ」って傷つく気持ちがすごくよくわかって。母を否定しているわけじゃないんです。自分が大人になったら働くことがどれだけ大変かわかるじゃないですか。子ども3人育てながら家庭もやりくりしてなんて、余裕がなくなる母の気持ちも今ならわかる。けど逆に私も大人になった分、「人としてこれはさ」って言いたくなることも増えてくる。なので、そういうときは父に間に入ってもらっています(笑)。
──今のお話を聞いていると、そういう比嘉さんの強さもまたお母様から譲り受けたものなのかなという気がしました。
遺伝子って抗えないものですね(笑)。私も自分がここまで仕事人間になると思っていなかったですし、そこはもうある種運命を感じます。私はやらされているのではなく、やりたいと思ってやっている仕事なので、どこまでだって没頭できますけど、きっと母も仕事に対してそう思っていたんだろうなって。そう考えると、私は母似なんだなと年々強く感じるようになりました。

──『にこたま』はいろんな人の選択を描いた物語です。比嘉さんは人生の選択においてスパッと決められるタイプですか。それとも優柔不断なタイプですか。
悩んでいる間はすごいウジウジウジウジしてるんですけど、決めるときはスパッと決めます。友人にもいつもびっくりされます、「決めるときはいきなりだよね」って。さっきの反抗期の話でも、もう一人の自分と言いましたが、もう一人の潔い自分が私を突き動かしてくれる。だから、決めるときは決めるし、自分で決めたことを後悔しない。たとえ後から振り返ったときに失敗だったなと思う選択であったとしても、なかったことにしないし美化もしない。自分の一つの経験として、粛々と捉えるようにしています。で、あとは時が解決してくれるのを待つ。
──比嘉さんは、自分の過去に対してどういう気持ちを持っていますか。
ありがとう、と思っています。失敗も成功も全部あったからこそ、今の私がいる。反省することもあるし、完璧じゃないけど、少なからず今ちゃんと充実していると思えるのは、いろんな過去があったおかげ。あとはもうちょっとうまく甘えられるようになったら生きやすくなるのかなって、高野を演じたことで思いました。そこは今後の課題ですね。

──人に甘えるのって難しいですよね。
なので、今は模索中です(笑)。よくスタッフさんが気を遣って「やります」と言ってくださってるのに、つい「大丈夫」って断っちゃう。「大丈夫」が口癖になってるんですよね。自分でも可愛げがないなと思いながら(笑)。高野もそうなんです。心配してくれる人がいても、自分からスッと線を引いている。もうちょっと意地を張らずに生きればいいのにって、高野を見て思ったので、ということは自分もそうなんだなと思いました(笑)。
──比嘉さんが人生の選択をするときに大事にしている指針ってなんですか。
人のせいにしないことですね。心が弱ってると、誰かのせいにしがちじゃないですか。そういう自分が好きではないので、誰かのせいにしそうになったら、すぐにその気持ちを打ち消すように意識しています。
──できなかったことを、つい上司のせいかとか予算のせいとかにしちゃうんですよね。
そういうことはやめたほうがいいですよ(笑)。人のせいにすると、ブーメランみたいに絶対にまた自分のところに何かしらの形で返ってくるんですよ。だから、面倒くさくても向き合う。わかりやすい例を挙げると、お皿洗いもそうですよね。面倒くさくて、つい先延ばしにしたくなるけど、結局次の日の自分が洗わなきゃいけないことになる。だったら、面倒くさくても眠くても今やったほうが絶対いい。腹を括るって大事だと思います。腹を括ったら、ちょっと生きやすくなりますよ。

ドラマ『にこたま』場面写真 ©渡辺ペコ/講談社/フジテレビ



