ヨーロッパ企画の新作舞台で感じた役者人生初の楽しさとは?
新しい現場には、いつも初心で。金子大地がマイペース主義でも“挑戦の道”を選ぶ理由
2026.01.05 18:00
2026.01.05 18:00
役者は貯金のたまらない仕事だと思っている
──2021年の『ザ・空気 ver.3 そして彼は去った…』という舞台を拝見したときに、すごいなと思ったんです。同じ年にやった『パンドラの鐘』もよかったですし。
舞台って演出家さんによって本当にまったく違っていて。(『ザ・空気』の演出家である)永井(愛)さんはもう僕のやりたいようにのびのびやらせてくれて、『パンドラの鐘』は逆にひたすら千本ノックを受けているみたいな毎日でした(笑)。僕たち役者のやることは、監督や演出家の思い描いているものにどう寄り添っていくか。その方法は現場ごとに毎回違って、経験ではカバーできないものがあります。ある意味、役者って貯金のたまらない仕事だと思っていて、だから自分はいつも初心の気持ちで新しい現場に臨むようにしているのかもしれないです。

──ちなみにご自身はのびのびと千本ノック、どっちが好きですか。
のびのびがいいです! 千本ノックはキツいです(笑)。
──正直でいいと思います(笑)。人生的な意味での冒険についてのお話を聞きましたが、単純に旅をしてみたいとか、そういう冒険心はどうですか。
ないですね。
──まあ、そうなりますよね(笑)。じゃあ、このお芝居に出てくるような未踏の島になんて。
絶対行かないです(笑)。
──俳優さんによっては一つの現場が終わったら役を抜くために旅をしているなんて話も聞きます。旅に興味のない金子さんはどうやって気持ちを整え直しているのでしょう。
僕、(クランク)アップしたら抜けるんですよね。もう何も考えなくていいやって思って楽になるというか。未練も何もなくなるから、まったく引きずらない。作品に入っている間は、暗い役を演じているときはプライベートでもちょっと暗くなったりしますけど、終わったら引きずらない。もう「終わった〜!」って感じです(笑)。
──旅にも出ない、家からも出ない金子さんはオフの時間をどう過ごしているんでしょう。
本当に何もしてないんですよね……。仕事が趣味じゃないですけど、僕から仕事を取り上げたらなんにもない人間だなって思っちゃいます。
──最近の俳優さんは、まず自分の生活あっての仕事とよく言いますが。
僕は逆です。仕事あっての生活。仕事がないと生活できない、みたいな。
──いいアウトプットをしていくために、いいインプットをするみたいなことはありますか。
それが結局家で映画を観てテレビを観てという時間になっちゃうんですけど。あ、ただ、そういうのも大事だけど、やっぱり人とコミュニケーションをするってインプットでもありアウトプットでもあるなって思うようになってきています。だから、なるべく人とのコミュニティの中でコミュニケーションをとるようにはなりました。といっても、最近はしてないんですけど。
──まあ、ウィークリーマンションと稽古場の往復の毎日ですからね(笑)
そうなんです(笑)。
──人が好きというか、わりと暗い性格ですか。
いや、人といるときは明るいです。ただ、確かに一人でいるときは暗いかもしれない。

──でも、そういう自分がそんなにストレスでもない?
いや、ストレスなんですよ。ずっと一人でいると何していいのかわからなくなっちゃう。まあ、だからと言って急に人から誘われたら出かけるかと言われれば出かけないんですけど……。
──ダメじゃないですか(笑)。
そうなんです(笑)。だから、僕には仕事が必要なんです。僕にとって仕事は気持ちを発散できる場所です。お芝居をしているときは純粋に楽しいと思える。だから、この仕事を続けられているんだと思います。
──昔、『明日の約束』というドラマに出ているときに取材させてもらったことがあって。そのときの印象が、この人、この仕事続けるのかなって、ちょっと心配だったんですね。
あ〜、あのときはもう辞めようと思っていました。とにかく地元に帰りたかったです。当時のマネージャーにも何回も辞めます辞めますって言ってました。
──だから、こうして続けてくれていることがとてもうれしくて。何があったんだろうと思っていました。
やっぱりそれはこの仕事をしていなかったら見られなかった景色とか、出会えなかった人たちに出会えたことが大きかったです。あとは、やっぱり作品を観てくれた人の声ですね。感動したとか、そういう声を少しずついただけるようになって、今まで全然そういうのを感じたことがなかったからこそ、感想をもらえることが励みになっていました。
中でも『腐女子、うっかりゲイに告(コク)る。』というドラマをやらせてもらったときに、LGBTQ当事者の方からお手紙をいただいて、感謝の気持ちを届けてくださったんですね。あの経験は自分の中で大きかったかもしれないです。
──今年は、20代ラストイヤーです。自分の20代に点数をつけるなら何点ですか。
いや〜、点数はつけられないですね。もっとああできたと思うこともいっぱいあるし、でもすごく充実した時間でもあった。ジェットコースターみたいな10年だったなと思います。
──じゃあ、もし今の状態で20歳に戻れるとしたら、どうしますか。
もういいっす! 戻りたくない!(笑)20歳の頃なんていちばんしんどかったですからね。1日1日が長すぎて、本当キツかった。だから20代はもう十分です。それくらい後悔のない時間を過ごせたんじゃないかなと思います。




