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INTERVIEW

注目度を高め続ける新鋭SSWが初タイアップを経た今を語る

「悲しみが悲しみで終わったら意味がない」20歳のRol3ertが“音楽を伝える”ために目指すビジョン

2025.12.25 18:00

2025.12.25 18:00

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他の人も同じように感じてるとは思わないけど、ちゃんと伝わるように意識してる

──なるほど。11月にリリースされた「frozen」はGLOBAL WORKのウェブCMのために初めて書き下ろした曲ですよね。そういう体験はどうでしたか?

めちゃくちゃ大変でした(笑)。正直全然アイデアが降ってこないし、時間もなくて……って、言い訳になっちゃいますけど。CMって、暗いとあまりよくないじゃないですか。だから「あまり暗い歌詞は書かないでください」って言われたんですけど、絵コンテというかリファレンスの写真を見ていても、ネガティブなことしか出てこないんですよ。それをどうCMの求めるものと合致させるのかというのがすごく難しかったんです。あと、CMが流れるのがクリスマスシーズンで、雪の中でのシチュエーションなんで、「クリスマスソングを書く感じでお願いします」っていうリクエストもあって、それも難しかったです。俺、クリスマスソングを書いたことがなかったから、どうすればいいんだろうと。 

Rol3ert「frozen」MUSIC VIDEO

──なるほど。そのイメージ写真を見てどんなことを感じ取ったんですか? 

その写真に写っているのが1人の女性だったんですよ。その女性の顔が、昔の出来事を回想してる顔に見えて。彼女はもしかしたらハッピーなことを思い出しているのかもしれないですけど、俺が回想してパッと出てくるので、大体自分の人生において重大な出来事で、それってだいたいハッピーではないんですよね。そういうことを回想しながら、でも今はハッピーにやっているっていう。その悲しみが悲しみで終わらず、ちゃんと美しいものに昇華してるっていう流れがすごい綺麗だなと思ったので、それを書きました。

──サウンド面ではどんなものをイメージしていました?

サウンド面は何パターンかあったんですよ。ただどれもなんかしっくりこないなとか、ちょっとポップすぎるなとかあって。なので今回は振り切って、よりロック方面というか、ほとんどギターとドラムとちょっとシンセみたいな、生の音色に結構こだわってアナログ感を出しました。

──ローファイな感じのドラムと低いトーンの歌で始まっていく感じがすごくリアルですよね。CMソングって言ったら結構華々しくスタートしたくなるけど、そうじゃなくよりパーソナルな心情から始まっていく曲だなと。そこから曲が進むごとに感情が温度を持っていくという展開にすごく物語性がある。最初とサビの部分で、テンションが違うじゃないですか。

だいぶ違いますね。でもじつは流れをこうしようと決めてたわけじゃなくて、サビと最初の入りの部分は別々に作られてたんです。もともとサビメロをすごく悩んでて、それと同時並行で、もともと低い声で歌ってみたいと思ったんですよ。そのほうがセクシーだしいいんじゃないかなと思って。それをくっつけてみたら、あの流れができたという感じなので、あんまり意図していたわけではないんです。でも、流れにぴったりはまってるなと思って。

──歌詞ではいろいろな後悔があったり、過去に対する思いがあったりするなかで、最後にはあの時こうすればよかったとか、散々そういうのを重ねていったときに、最後に「but I hope you’re doing just fine」(それでも 君が元気でいてくれたら それでいい)と言うわけですけど、その心境ってどういうものなんだと思いますか?

どういうもの? でもたぶん、本当は願ってないと思います、願ってるって言いながらも。俺、まだ経験したことがないんですよ。自分が辛い思いをしてるのに、誰かの幸せを願うっていうことを。人生何周かしていないと厳しいじゃないですか。だからこそ、相手の幸せを願えるような感情になってほしいという思いを込めているというか。本当に嬉しいというよりは、「どうしてそう思えないんだろう」って嘆いているみたいな。「今はどうしても言えないけど、こう言えたらいいな」っていう感じですね。

──というか、そう願いたい人なんだなっていう感じがすごくしますよね。そう言わないと、ただ悲しいだけで終わってしまうから、その先に行くためにこの1行が必要だったんだろうなって。

ああ……。

──他の曲でいうと「say my name」とかもそうだなと思うんです。あの曲は「死んでしまっても一緒にいるよ」と伝える歌ですけど、それも、悲しみを受け止めていくための言葉だよな、と。

それを音とか歌詞にしている以上、美しさとかプラスなものに昇華されないと意味がないと思うんです。それを自分だけじゃなくて、ちゃんと他の人も共感できるような曲にしたいなって。聴いた人がちゃんとその美しさがわかるような曲にしたいなと思っているので、それを落とし込むことは結構意識しています。

──そういう自分の感覚って、いろいろな人が同じように思っているんだろうなって思ったりはする?

いや、基本は自分の考えていることが他の人もちょっと分かってくれればいいな、ぐらいの感覚です。でもそれが自分だけで終わっちゃいけないんで、ちゃんと他の人にも伝わるようには意識してるんですけど、他の人も同じように感じていると思ったことはないですね。

Rol3ert「say my name」MUSIC VIDEO

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次のワンマンライブで見せたい成長像

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作品情報

Rol3ert デジタルシングル『frozen』

『frozen』ジャケット

『frozen』ジャケット

Rol3ert デジタルシングル『frozen』

2025年11月21日(金)配信リリース

配信はこちら

Rol3ert デジタルシングル『(how could i be)honest?』

『(how could i be)honest?』ジャケット

『(how could i be)honest?』ジャケット

Rol3ert デジタルシングル『(how could i be)honest?』

2025年12月17日(水)配信リリース

配信はこちら

イベント情報

Rol3ert ワンマンライブ “katachi”

Rol3ert ワンマンライブ “katachi”

2026年2月27日(金) Open 18:30/Start 19:30
会場:Shibuya WWWX
チケット:オールスタンディング ¥4,000(税込)※ドリンク代別 ¥600

Rol3ert ワンマンライブ “katachi”

※4歳以上有料

20歳の日本人シンガーソングライター。
2025年1月「meaning」で本格始動。続く4月リリース「HOPE」はJ-WAVE TOKIO HOT 100でTOP20入りを果たし、6月リリース「Nerd」はインドネシア、日本、アメリカ、台湾、韓国など世界中のプレイリストにて取り上げられた。7月には東京・代官山SPACE ODDにて、自身初のワンマンライブ「Rol3ert 1st live “3mpty”」を開催。ピアノと歌のみで構成されたステージは、その歌声と表現力の強さを印象づけ、アーティストとしての確かな第一歩を刻んだ。この夏には、FUJI ROCK FESTIVAL '25およびSWEET LOVE SHOWER 2025への出演も果たし、今年10月に発表されたTokyo Alter Music Awardsでは「Best Breakthrough Artists」を受賞。20歳にして、グローバル音楽シーンに挑む、日本発の新たな才能として注目を集めている。

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