2025.12.25 18:00
2025.12.25 18:00
今年1月の本格始動からコンスタントにリリースを重ねるなかで、日本のみならずアジア圏の音楽ファンからもじわじわと支持を集めている20歳のシンガーソングライター・Rol3ert(ロバート)。細かい息遣いやニュアンスに繊細な感情と感性が宿るその歌声は、英語詞がメインでありながら、言語を超えてリスナーの心に直接訴えかけてくるような切実さを帯びている。また、さまざまなシチュエーションやモチーフを描きながらも常にその奥底に拭えない悲しみや孤独が横たわっているような歌詞世界も、モダンなサウンドデザインのなかに潜むパーソナルなRol3ertという人間を浮き彫りにするようで、聴けば聴くほど彼のことを知りたくなる。
そんなRol3ertが、GLOBAL WORKのウェブCMのために書き下ろしたのが、3ヵ月連続リリース第1弾楽曲として11月に配信された「frozen」だ。彼にとって初めてオファーを受けて書かれた楽曲だが、そこにはむしろこれまで以上にRol3ertが何を見、何を歌うアーティストなのかという根本の部分が強く投影されているように思う。12月17日には連続配信第2弾「 (how could i be)honest? 」もリリースされ、来年2月にはバンドセットでのワンマンライブも決定。ライブパフォーマンスも人を惹きつける力を持っているので、そちらもぜひチェックしてほしい。

ハッピーなだけの曲は「違うな」って思う
──昨年8月から楽曲のリリースを始めて、今年1月の「meaning」から本格始動、今年は曲を精力的にリリースしながらライブも行ってきました。そのなかでどんな手応えを得ましたか?
この1年、Rol3ertとして何を歌うのかを探ってきて。しっかり考える時間が取れたので、なんとなく、Rol3ertとしてのアイデンティティみたいなものが確立しつつある気がします。
──そのアイデンティティって言葉で説明できます?
歌詞的な部分でいえば……これも今形成している最中ではあるんですけど、俺の特徴として、めちゃくちゃネガティブなんですよね(笑)。で、ネガティブな人がネガティブなことを歌うっていうのは、結構ノーマルじゃないですか。じゃあなんで俺はネガティブなことを歌いたいんだろうと思うと、どうしてもそれをまとめたいんですよ。自分のむしゃくしゃした気持ちを歌詞とかに落とし込んでまとめたい。だからこそ、そこにちゃんと希望が見えないとダメだと思って。曲を聴いた後にただ悲しみに浸るというのも1つの手だとは思うんですけど、ちゃんと自分の中で正解が出るような、希望が見えるような歌詞を書きたいなと思うようになりました。それがアイデンティティというか、俺にしかできない何かになるんじゃないかなと思ってます。
──「俺ネガティブなんですよね」っていうのは、パーソナリティとしてもともとそうだっていうこと?
そうですね。めちゃくちゃ考えすぎるし。
──それに自覚的になったのって、いつぐらいでした?
中学校とか。その前から分かっていたかもしれないですけど。すぐ気分落ちるなとは感じてました。
──そういう性格であることは、表現をすることに向かったことと何か関係していると思いますか?
関係してると思います。最初に曲を作り始めたのは中学生ぐらいの時で、その時は、音楽を聴いてちょっと黄昏たりとか、心が動く瞬間があるじゃないですか。それを自分の曲でできないのが悔しいなと思って作り始めたんですけど、その後はだんだん、自分のそのむしゃくしゃした気持ちをどうにかして解放したくなっていったというか。その手段が音楽だったんですよね。それで結構そういう歌詞を書き始めたっていう。

──音楽を作るようになって、もともともっていたネガティブな部分とかむしゃくしゃする気持ちは解消されていったんですか?
解消されていったっていうか、解消しつつあるっていうか。その正解を見つけるために今書いてるって感じですね。
──ここまでリリースされてきた楽曲を聴くと、もちろん曲によってスタイルや歌っているテーマはさまざまなんですけど、一貫してすごく悲しいなと思ったんですよ。
ああ、歌詞が。
──そう。悲しいことを歌う人なんだなって。でも「俺って悲しいんだよ」とか「こういう状況って悲しいよね」って言うだけの曲じゃないなとも思ったんです。その悲しみをちゃんと美しいものとして捉え直したり、自分の中に受け入れるためにちゃんと物語にしたりすることで消化するための音楽を作っている人なんだなと。曲を作るということはRol3ertにとってそのためのプロセスというか──。
セラピーみたいな。
──そうそう、自分の心を救うプロセスなんだなっていうのを感じたところがあったんですけど、そう言われてどうですか?
でもそれは意識してるというか、自分でも感じながら曲を作ってる節があって。なんかハッピーな曲を書いて痛みを無視しようとするのって、すごい無責任に感じちゃうんですよ。その痛みをちゃんと分かってあげながら、でもそれを感じることが別に悪いことじゃないっていうのをしっかり理解した上で書きたいなと思っていて。それが曲に表れているなら嬉しいなと思ってます。
──ハッピーな曲は書こうと思ったら書けると思う?
ハッピーなだけの曲? いやー、書けないと思います。なんか「違うな」ってなっちゃうと思う。
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