2025.11.26 18:00
2025.11.26 18:00
自立とは、一人で抱え込まず周りの力を借りられること
──白鳥さんは「校則に疑問を持った経験が少なかった」とコメントされていましたよね。板緑のそういう性格を踏まえた上で考えると、ご自身は何かおかしいと思うことがあっても受け流せるタイプなのでしょうか。
あんまりそういう自覚はないんですけど、板緑ほど敏感に反応して、それを行動に移すみたいなことはないです。実際、本当に校則に不満を感じたことがなくて。学校にスマホを持ち込んじゃいけないという校則があって、不便だなと思ったことはあったけど、それも当たり前だっていう認識でしたし。

──それは、学校が勉強をする場という認識があるからですか。
そうやって小さい頃から言われてきたし、みんなもそうしてるから疑問はなかったです。私に限らず、みんなそうなんじゃないかな。板緑みたいに、校則のここがおかしいって感じられる人はあまりいないんじゃないかと思います。
──そう考えると、板緑と白鳥さんはまったく考えが違うわけで。自分と考えが違う人になる上で、ご自身と板緑の間にある空白の部分をどうやって埋めていきましたか。
どれだけ深いことを考えても、板緑のことを完全に理解はできないなと思って。だから、もっと単純に考えることにしました。それが、板緑はおかしいことをおかしいと言っているだけという考えにつながるんですけど。

──なるほど。白鳥さんは、いい意味で他人のことを完全に理解することはできないと考えているタイプですか。
そうですね。身近にいる友達のことだって100%理解しているかといったら絶対そんなことはないと思っています。というより、理解しないほうがいいこともきっとある。だから、役についても全部を理解できなくてもいいんじゃないかなっていう考え方ではあります。
──板緑が起こした金髪デモに対して、周囲は何も考えずに賛同したり、逆にちょっと風向きが変わったら、すぐに離脱したり。ほとんどの人が何が問題かわからないまま流されてやっている感じが、すごく日本人的だなと思いました。
みんな金髪デモというパワーワードに踊らされているだけ。人がいかに流されやすいかが描かれていて、そこがこの映画の面白いところであり、ゾッとするところでもあります。
──白鳥さんは流されやすいタイプですか。
流されやすい自覚はあります。でも、本当におかしいことはおかしいってちゃんと言えると信じています。そのために、15年間勉強してきたわけだから。何がまっとうかなんて人によって違いますけど、私にとっての“正しい”をちゃんと貫いていきたいという気持ちはすごくあります。

──白鳥さんの思う“正しい”とは?
自分の考えている“正しい”って今まで生きてきた中で自然と身についてきたもので。言葉にして人に伝えるのもちょっと違うような気がするんです。それこそ、直感の世界だと思います。もちろん柔軟性も大事なので難しいところではあるんですけど、私は自分の直感を信じて、従っていきたいです。
──ちなみに、もし白鳥さんがこの学校の生徒だったら金髪にはしそうですか。
しないと思います。私はリスクのほうを考えがちなので。きっと私がいきなり金髪にしたら、周りの大人の人たちが困っちゃうだろうなって、そっちの考えが浮かんできて、やらないって選択をとる気がします。
──白鳥さんは現在高校1年生。もうすぐ16歳になります。法律的にはまだ未成年ですが、ご自身の意識の中では自分のことを大人と子どものどちらに分類していますか。
大人寄りじゃないかなあ……。というより、意識的にもう大人の枠に入らなきゃいけないと思っているところがあります。もう自分で自分の責任をとらなくちゃいけない年齢だなという意識があって。私が何かをしても、周りがあれこれ助けてくれるわけじゃない。だからこそ、ちゃんと大人にならなきゃという意識が強いです。

──白鳥さんにとっての大人になるってどういうことなんでしょうか。
いちばんは、自立です。でも自立って、自分一人の力で立つということじゃないんですよね。私の考える自立は、どこまで自分の力でやって、どこからは周りの力を借りていいのか、ちゃんと見極めがつくこと。むしろなんでもかんでも自分の力でできると思い込んで、一人で抱え込んでいるうちは、まだまだお子ちゃまです。
──その年齢で、その考え方が身についているのは立派としか言いようがないです。
たぶん普段から成長するってどういうことなんだろうってよく考えているからだと思います。特にこのお仕事をしていると、ちゃんと責任を背負わなきゃという意識も自然とついてくる。でも、本当言うと、思いついたことを、いい感じに言ってみました(笑)。
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