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INTERVIEW

髙橋海人との共演で挑んだ『君の顔では泣けない』難役の裏側

芳根京子にある“心の軸” 覚悟を決めた1年で笑顔が絶えなかった理由とは

2025.11.19 18:00

2025.11.19 18:00

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お守りは、祖母から引き継いだネックレス

──髙橋さんのお芝居で特に心に残ったシーンを教えてください。

やっぱり終盤のまなみの独白のところです。あのシーンが全体のクランクアップだったというのもあって、私も撮影を見学させていただいたのですが、陸と向き合っているときは絶対に見せなかった表情に胸が掴まれて。この作品のヒロインは髙橋さんだなって思いました。

──終わった後、髙橋さんに何か言葉はかけましたか。

「大変だったね」という話をしました(笑)。で、「バイバイ」と別れて。すごくお互いさっぱりしていましたね。撮影期間は短かったのですが、1日1日が本当に濃くて、終わったときの達成感はすごかったです。

──ちなみに、芳根さんのクランクアップはいつだったんですか。

私は髙橋さんより先にアップだったんです。朝、群馬で私のアップがあって、そのまま東京に移動して、その夜、髙橋さんを含む全体のアップというスケジュールで。疲労や達成感などいろいろな感情でいっぱいになって、移動のサービスエリアで2食も食べてしまいました。

──なかなか女優さんで2食も食べる人はいなそうです(笑)。

もう本当に脳みそも肉体も疲れ果てていて、判断能力も全部落ち切っていたんです。それで、メニューを見ても選べなくて、2食食べました(笑)。

──芳根さんはわりとクランクアップのときにさっぱりしている印象があります。

確かにそんなに引きずらないです。クランクアップのときは泣いてしまうのですがそれは安堵と喜びの涙という感じで。「うれしい!」「ありがとうございました!」「じゃあ、さようなら!」みたいな(笑)

──その潔さがカッコいいです。

昔はもうこれで会えないという寂しさが勝っていたのですが、このお仕事を十何年やっていると、きっとまたどこかで会えると思えるようになりました。だから、クランクアップはお別れじゃないんです。またいつか会えるように私も頑張ろうという原動力になっていて、その気持ちが一層さっぱりさせているんだと思います。

──タイトルは『君の顔では泣けない』ですが、最近泣いたことはありますか。

最近は泣いてないかもしれないです。基本的に、喜怒哀楽が全部涙になる人間なんです。10代の頃に「感動して泣きそう」って言ったら、マネージャーさんから「涙が流れるだけでハードルが低いんだから、“泣きそう”に価値はない」と言われたことがあって。「なんてこった!」って大爆笑しました(笑)。

──それだけよく泣いちゃうんですね(笑)。

母も涙もろいんです。母がうれしくて、ふわっと泣いている姿を見て、私もつられて泣いちゃったり。二人でうれしい話をしているはずなのに、謎に大泣きしていることとかあります(笑)。

──陸とまなみは文字にしたり動画にしたりして、日々を記録していきますが、芳根さんは日記をつけたり写真を撮ったりして日々を残すことはしますか。

私はあまり残さなくて。それこそおいしいものを食べに行ったときも食べることが先行してしまうんです。あ、撮らなきゃって思い出したときにはもう食べかけか、食べ終わった器しか残っていないみたいなことのほうが多いです(笑)。だから、あまり日常の写真や動画は残っていないんです。昔のことを振り返るときは、友達と話すのがいちばん。「あのときのあれ楽しかったよね」って思い出話をしている時間が好きです。

映画『君の顔では泣けない』より

──願掛けはしますか。

あえて何かをするということはないです。どちらかというと、そうやって特別に何かをするというより、なるべく普段の自分のままでいたいタイプです。だから、クランクインの前に何かをするということもあまりなくて。とにかく睡眠をとろうということくらいです。あまり日常からブレないように心がけています。

──陸とまなみが交換したペンみたいに、お守りにしているものはありますか。

10年くらい前に母方の祖母が亡くなって。そのときに祖父から祖母のネックレスを引き継いだのですが、それが私のお守りです。よく大切なお仕事の日はそのネックレスをつけます。なんとなく祖母をそばに感じたくて。

──おばあさまと仲が良かったんですね。

母の実家が北海道で、距離があったので会えても年に2回くらいだったのですが、夏休みは祖父母の家に行って過ごすのが毎年の恒例でした。祖母はお裁縫の先生をしていたんです。なので、祖母からお裁縫を教えてもらったり。影響を受けたことはたくさんある気がします。

──夏の北海道は過ごしやすそうですね。

乗馬をしたり、川下りをしたり、山に登ったり、庭でトウモロコシを茹でて食べたり、楽しい思い出がたくさん残っています。ああいう場所で夏休みを過ごすことができたのは幸せだったなと思いますし、あの時間があったから今の私があるんだろうなと思います。

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未知の忙しさだった今年を振り返って

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作品情報

君の顔では泣けない

©2025「君の顔では泣けない」製作委員会

©2025「君の顔では泣けない」製作委員会

君の顔では泣けない

2025年11月14日(金)全国公開
配給:ハピネットファントム・スタジオ

公式サイトはこちら

キャスト&スタッフ

出演:芳根京子 髙橋海人
西川愛莉 武市尚士
中沢元紀 林裕太/石川瑠華 前野朋哉/前原滉 ふせえり
大塚寧々 赤堀雅秋 片岡礼子 山中崇

原作:君嶋彼方『君の顔では泣けない』(角川文庫/KADOKAWA 刊)
監督・脚本:坂下雄一郎 音楽:Inyoung Park
製作幹事・配給:ハピネットファントム・スタジオ
助成:文化庁文化芸術振興費補助金(日本映画製作支援事業)独立行政法人日本芸術文化振興会

1997年2月28日生まれ、東京都出身。
2013年にフジテレビ系ドラマ『ラスト・シンデレラ』で女優デビュー。2015年、TBS系ドラマ『表参道高校合唱部!』でドラマ初主演を務めたほか、2016年度後期NHK連続テレビ小説『べっぴんさん』でヒロイン坂東すみれ役を演じた。また、2019年3月、映画『累―かさね―』、『散り椿』で第42回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。近年の主な出演作に、映画『Arc アーク』(21)、『カラオケ行こ!』(24)、ドラマ『それってパクリじゃないですか?』(23)、『RE:リベンジ-欲望の果てに-』(24)、『雪の花 -ともに在りて-』(25)、ドラマ『まどか26歳、研修医やってます!』(25)など。今年は、ドラマ『波うららかに、めおと日和』(CX)で主演を務め大きな話題となり、舞台『先生の背中 ~ある映画監督の幻影的回想録~』(PARCO劇場)へも出演するなど多岐に渡り活躍中。主演映画『君の顔では泣けない』が公開中。

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