2025.11.10 18:00
2025.11.10 18:00
最近はわりと爆笑しながら曲ができてる
──ギター、弾きたいんですね。
デビューからずっとギターを弾きたいって言い続けてるんです。でも……ネイルがやめられなくて(笑)。
──はははは!
それでずっと挫折し続けてたのですが、絶対次のツアーでやるって思って頑張っています。結局、自分はギターを弾いたり、オルタナをやりたいんだなみたいな気持ちも、最後にヒョコって出てきて、なんかおもしろかったです。

──ロックを聴いて育ってきたわけでもないのに、どうしてギターに憧れるんですか?
わからないですけど、憧れています。私、バンド(CHIANZ)もやっていて、そのバンドがギター2人なんです。それで2人が近づいて向かい合わせになって弾いたりしていて。私も行きたいけど、鍵盤って要塞みたいになってて、その場にいないといけないじゃないですか。だからといってショルキーは違う、みたいなところもあって。その憧れがあるんです。あとはなんか、オリビア・ロドリゴとかグレイシー・エイブラムスとか、かっこいい!って思っていて。今までピアノばっかりだったので、ここからちょっとやりたいなって思っています。
──やっぱりエレキギターですよね?
はい。アコギはネックが太くて弾けないので(笑)。
──そういう部分もこれまでのeillのスタイルや固定観念からどんどん自由になっていっている感じですね。
自由になっていきたいです。
──今作に収録された曲はどれも、その自由さというか、やりたいことも抑えないし、でもちゃんと待ってくれているリスナーのために届けるべきところに届けるっていう意識も捨てないしっていう、その両方が広く見えているんだなって思うんです。
そうですね。ポップスと自分が好きなルーツミュージックを合わせるというのは今までもずっとやってきたことなんですが、より一層、それが自分らしさになってきたみたいな感覚はあります。
──それを生んでいるのは、これまでeillさんが積み重ねてきたものに対する自信のようなものなんだろうなと思います。土台がしっかりしたからこそ、自由になれるというか。
確かにそうですね。楽曲作るときも、前まではめっちゃ迷ったり悩んだりしていて、それによって精神状態がガーンって落ちるみたいなことも結構ありました。それがいい歌詞が書けることにつながっていたり、そのおかげで制作に没入できていたりしたのですが、それを毎回乗り越えるのがしんどすぎるっていうのもあったんです。でも最近は、制作中もわりとレフティさんと爆笑してるんです。「ヤバい!」みたいな感じで、気づいたら曲ができてるっていう感じになってます。
──ちょっと肩の力抜いてじゃないけど。
そうですね、それができてる気がします。

──表題曲の「ACTION」は『桃源暗鬼』第二クール・練馬編のエンディング主題歌として書かれたものですけど、これもかなり新鮮な曲になりましたね。これはどういうふうにできていったんですか?
最初、アニメサイドからテンポ感とかのイメージをいただいて作り始めたんですけど、ミディアムテンポって難しくて。バトルアニメだからエンディングをかっこよく締めたいっていう気持ちもあったんで、何がいいだろうっていろいろ考えたんです。それで、ニュージャックスウィングってまだやってないからやってみようって、ビートを決めて、それからシンセは尖らせた感じにして。でも、メロディはまるまるJ-POPっていうスタイルで、Bメロとかはちょっとロックっぽくしてとか、うまくアニメソングのタイアップ感とオールドスクールな匂いがちゃんとあるものを融合させる感じにしていきました。
──この曲、おっしゃる通りメロディはポップですけど、展開とかサウンドメイクとかは結構大胆ですよね。
そうですね。出すとこは結構バーンって出して、引くところは引く、みたいな。全部がガーンって出るんじゃなくて、ここを一番に印象残したい、でもここは歌を聴かせたいから歌を出すとか、それはかなり考えて作りました。
──そして「ラストシーン.」は恋愛リアリティ番組『ラブ トランジット』シーズン3の主題歌です。『ラブトラ』に主題歌を書くのは、なんと3シーズン連続ですね。
「ラストシーン.」はもともと18歳ごろに書いた曲なんです。
──ひとつの番組で3シーズン連続での主題歌ってなかなかないですよね。前に何かのインタビューで、『ラブトラ』の曲を書いたことがラブソングを書くきっかけになったとおっしゃっているのを読んだんですが、やはりあの作品との出会いはeillさんにとってそれぐらい大きかった?
そうですね。ライブに来てくれるファンの方々の聴きたい曲もガラッと変わるくらいの影響力を持ってる番組ですし。昔とはバラードを歌った時のお客さんの反応も全然違ってきている気がします。みんな、いろいろなものを重ねて聴いてくれているのをすごく感じますし。9月にやったワンマンライブでは、バラードを3曲続けて歌いました。それまではあまりそういうことはやっていなかったんです。基本「イエーイ」みたいな感じのライブの構成だったので。でもやってみたら、バラードを歌うなかでお客さんの体温が上がっていくのをすごく感じました。それはやっぱり『ラブトラ』効果なんだろうなっていうのと、それぞれの恋愛とか経験を重ねて聴いてくれているんだろうなって思います。
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