2025.11.10 18:00
2025.11.10 18:00
自身の作品はもちろん、楽曲提供や客演、コライトへの参加など、他アーティストの作品でもその才能を発揮し、日本のみならずアジアへも活躍の場を広げているシンガーソングライター、eill。
昨年のアルバム『my dream box』から約1年、11月5日にリリースされた新作EP『ACTION』は、TVアニメ『桃源暗鬼』第二クール・練馬編のエンディング主題歌「ACTION」、Amazonオリジナルの恋愛リアリティ番組『ラブ トランジット』シーズン3の主題歌「ラストシーン.」をはじめ、バラエティ豊かな楽曲が詰まった充実の一作となった。メジャーデビューから4年半、ますます自由に音楽を楽しみ、生み出し続けているeillの今に迫る。

より作家っぽく曲を作れるようになった
──昨年のアルバム『my dream box』からおよそ1年ですが、アルバム以降、今作に向けてはどんなふうに進んできましたか?
前半というか、上半期はm-floさんの「loves」への参加があったり、他の楽曲提供とかもあって、ちょっと作家っぽい脳みそで動いている時間が多かったんです。だから、自分のことを客観視して「こういう曲がないから入れてみよう」とか、そういう感じにはなっていたかもしれないです。
──おっしゃったように他のアーティストに楽曲提供したり、コライトで参加するようなことがとくにこの1年は増えましたよね。しかもかなり幅広いアーティストと一緒に仕事をするようになったと思うんですけど、ソングライターとして他の人の作品に参加するときの気持ちやスタンスは変わってきましたか?
そうですね。そこが一番大きい変わった点かなと思うんですけど、前までは他のアーティストさんに楽曲を書かせていただくときも、自分のちょっとしたこだわりとかを入れ込んでいたんです。でも今は受け身というか、アーティストの方々が欲しいものや歌いやすいものとかをすごく考えるようになったんです。より作家っぽく曲を作れるようになったのかなっていう感じがしています。
──なぜそういう変化が起きたんだと思いますか?
タイアップや楽曲提供をやらせていただくようになって……その作品を作ってる人にはその作品を作った時間があって、私にもそれがあって。そこがマッチしないと一緒にやってる意味がないのかなって思って、そこをちゃんと理解したのが大きかったかもしれないです。最初のほうは「私の作品なのに」って思ったことも少なからずあったのですが、せっかくご一緒するんだったら奇跡的な出会いが起きなきゃ意味ないじゃん、って思うようになりました。そっちに頭がシフトできるようになってからは、自分の作品でタイアップで書かせていただくときもそういうふうに考えるようになりました。

──シンガーソングライターである以上、そういうジレンマみたいなのはどうしてもありますよね。でも確かに、ここのところのeillさんが参加した楽曲を聴くと、伸び伸びと楽曲に向き合って、一緒に曲を作っている感じがするんです。eill印をなんとか残すっていうよりも。
そうですね。相手の方のアイディアとかも否定せず、1回全部受け止めて、やってみてどうかなっていう感じで考えています。もともとすごくこだわりが強いタイプで、今もそれが発動してしまって意固地になる時もあるんですけど、最近は少しずつ考え方が変わってきました。
──そういうマインドって、自分の曲を作っていくなかでもちょっとした気持ちの違いはありますか。
今回のEPは1曲「NEEMIA」という曲でA.G.Oさんというプロデューサーの方が参加してくださってるんですけど、それ以外は全部Ryo’LEFTY’Miyataさんと一緒にやらせていただきました。レフティさんとはもう出会って5、6年経つんですけど、ずっと一緒に音楽を作ってきていて、楽曲提供の際も結構ご一緒することも多くて。レフティさんとの見ている視点、たとえば「ここにはこういうハイハットが欲しい」とかっていうところのズレがどんどんなくなってきて、最初からピンポイントで2人とも同じことを考えることが多くなり、より自然に一緒に作っていけている感覚があります。
──その結果今回のEPには本当にさまざまなジャンルの曲が集まったわけですけど、見渡したときにどんな作品になったと思いますか?
去年くらいからずっとオルタナとかロックが好きで、でもロックっていうものが自分の血にはそんなに流れてないんです。もともとはモータウンとかR&Bとかが好きなので、ギターサウンド的な感じのものにそんなに慣れていませんでした。ただ、そこに憧れがあったんです。世界的な音楽市場を見てても、ちょっとオルタナが流行ったりしてると思うのですが、そういう影響を受けて、去年ぐらいから歪みを必ず入れたりするのにハマってたんですけど、そのオルタナブームが去年のアルバムでちょっと抜けた感覚があったんです。でも今回最後に作った2曲目の「what am i made for?」がまたそういう感じになって、「結局そっち系が好きなんだな」って思いました(笑)。
──確かに「what am i made for?」はオルタナ全開っていう感じの曲ですよね。
この曲は、レフティさんがギター弾いていて。ライブでがんばってギターを弾きたいと思って練習しています。まだ全然弾けないんですけど(笑)。
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