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INTERVIEW

映画『愚か者の身分』で一躍脚光を浴びる24歳の素顔とは

芝居とは、人と心を通わすこと。注目俳優・林裕太の原点から現在まで

2025.10.23 17:00

2025.10.23 17:00

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もうすぐ、彼の名前を多くの人が覚えることになるだろう。

俳優・林裕太、24歳。『草の響き』『ロストサマー』『HAPPYEND』などシネフィルが注目する邦画で鋭い感性を光らせ、今年に入ってからは『御上先生』『なんで私が神説教』など連ドラでも爪痕を残した。

この秋には映画『愚か者の身分』で北村匠海、綾野剛と共にメインキャストを務め、アンダーグラウンドな世界が似合う鮮烈な存在感が、公開前から話題を呼んでいる。

はたして林裕太とは何者なのか。その俳優としての歩みに迫った。

林裕太

高校時代は必要とされているのか不安だった

──今年はレギュラー出演した4月期ドラマ『神説教』の西畑塁役も話題となりました。これまでやってきた作品と比べると、作風そのものはライトな印象でしたね。

僕の演じた塁は6話まではポジティブで明るくてクラスのムードメーカー的なポジションだったんですけど、7話で何があったのか、実はどういう人なのかを掘り下げられるところがあって。確かにそれまで暗い役を演じることが多かったので、明るい子が自分の悩みを人に見せるのってどういう感じなんだろうというのはすごく考えました。そうやって突きつめていくと、単に明るいだけじゃなく、すごく人に気を遣う優しい子なんだなというのがわかってきて。時間をかけて掘り下げていくことで、最初はわからなかった人物像が見えてくるというのは面白い経験でした。

──では、ここからは林さんがどういう人なのかをじっくり掘り下げていきたいと思います。まずは小さい頃はどんな男の子だったか教えてもらえますか。

ウルトラマンとかが好きで、怪獣ごっこをして遊んでいるような、活発な男の子でした。その頃から、なりきるのが好きだったのかもしれない。あと、褒められるのが好きでした。親が褒めて育ててくれるタイプだったんで、変な話ですけど、親から褒められるのは当たり前。だから親以外の人から褒められたくて。先生とか、友達とか、友達のお母さんとか、身の回りの人から褒められるのがすごいうれしかったのは覚えています。

──お芝居に興味を持ったのは、小6のときの学芸会がきっかけだったと聞いています。そのときもお芝居でめちゃめちゃ褒めてもらったとか?

褒めてもらいましたね。『エルコスの祈り』という作品をやって、一人で歌うシーンもあるようないい役をもらったんです。終わった後、先生や友達のお母さんから「林くんがいちばん目立ってたよ」と言ってもらえたことが気持ちよくて、これは俺の天職なんじゃないかと。

──人前で演じるのに緊張はしなかったんですか。

やるまでは緊張していました。でもいざ舞台に立ってみたら全然緊張しなくて。むしろ自由気ままにやるのが楽しいっていう。あの感覚は初めてでしたね。

──褒められるのが好きで、親御さんからも褒めて育てられたということは、いわゆる自己肯定感が低いタイプではなかった?

低くなかったと思います、そのときは。

──そのときは、ということは、そこから変化してくるんでしょうか。

中学までは勉強も部活もやって、生徒会長もやるような子どもだったんです。で、中学までは公立だったんですけど、高校で中高一貫校に進学して。そうすると、もうすでに中学からの輪みたいなのがクラスの中でできているんですよ。それに入れなかったというか、そこまで頑張って入らなくてもいいんじゃないかと思いはじめちゃって。そこからどんどんいろんなことが面倒くさくなって、学校が終わったらすぐ家に帰って地元の友達と遊ぶかゲームするか、みたいな3年間を送っていました。

──じゃあ、高校時代はそんなに青春キラキラというわけではなかったと。

なかったですね。ちょっと卑屈になっていました。時間があった分、俺は何がしたいんだとか、何を目標に生きているんだみたいなことをずっと考えていたんですよ。で、自分は本当に必要とされているのかって悩んだり、将来、人から求められる人間になれるだろうか、みたいな不安を抱えていました。

──何のために生きるかってすごく難しい問いですけど、どう答えを見つけていったんでしょう。

やっぱり好きなことをやりたいなと思って。それで、俳優の道に進もうって。

──小6のときに人前で演じることが天職ではないかという気づきがあったものの、そこから高3で進路選択に直面するまで、お芝居をやってみる機会はなかったんですよね。

なかったです。

──それはどうしてでしょう。

たぶん早い段階で自分の道を決めてしまうことが怖かったんだと思います。うちは兄が勉強ができて、僕もわりと勉強を頑張っていて。だから、将来の選択肢はいろいろあったほうがいいって考えが自然とあったというか。俳優ではなく別のことに興味を持って、会社に入る未来もあるだろうなと漠然と考えていたので、自分の中でずっと保留にしていた、という感じです。

──その保留を、高3のタイミングで解除した。

付属の大学に演劇学専攻があって、ここに進学すればもう俳優の道しか選べなくなるだろうなって。

──せっかく進学校に入ったんだから、親御さんとしてはもうちょっと潰しのきくコースに進んでほしいという気持ちもなくはない気がするのですが、反対はされませんでしたか。

全然反対されなかったです。最初はちょっとびっくりしていましたけど、やりたいことがあるならやったほうがいいって応援してくれて。

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映画デビュー作で導かれた大切な気づき

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作品情報

愚か者の身分

©︎2025映画「愚か者の身分」製作委員会

©︎2025映画「愚か者の身分」製作委員会

愚か者の身分

2025年10月24日(金) 全国公開
配給:THE SEVEN、ショウゲート

公式サイトはこちら

キャスト&スタッフ

出演:北村匠海
林 裕太 山下美月 矢本悠馬 木南晴夏
綾野 剛

プロデューサー:森井輝
監督:永田琴
脚本:向井康介
原作:西尾 潤「愚か者の身分」(徳間文庫)
主題歌:tuki.「人生讃歌」
製作:映画「愚か者の身分」製作委員会
製作幹事:THE SEVEN

2000年生まれ、東京都出身。2020年に俳優デビューし、映画『草の響き』(21)や配信ドラマ「17.3 about a sex」(20/ABEMA)、WOWOW「ソロモンの偽証」(21)に出演。2022年には映画『間借り屋の恋』で映画初主演を飾る。以降、映画『少女は卒業しない』『逃げきれた夢』『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編-決戦-』『緑のざわめき』『ロストサマー』(23)、『ブルーイマジン』『HAPPYEND』『オアシス』(24)、NHK連続テレビ小説「虎に翼」(24)、テレビドラマ「御上先生」(25/TBS』、「なんで私が神説教」(25/日本テレビ)、配信ドラマ「透明なわたしたち」(24/ABEMA)ほか、数多くの作品に出演。

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