初コラボ曲を振り返る座談会で互いに伝えたいことは?
「新しいJO1に出会えた」開花を導いた秦 基博への河野純喜×豆原一成×與那城奨の溢れる想い
2025.09.30 17:00
2025.09.30 17:00
JO1が8月18日にリリースした「ひらく」は、勢いのあるダンスチューンを主戦場としてきた彼らのイメージを覆す各人の優しいボーカルが映えるミディアム・バラード。作詞・作曲は、数々の名曲を世に送り出したシンガーソングライター・秦 基博が手掛けている。
そしてこの楽曲は、豆原一成(JO1)が名優・市毛良枝とダブル主演で孫と祖母の心豊かな交流を演じた映画『富士山と、コーヒーと、しあわせの数式』の主題歌として書き下ろされた一曲。メンバーにとって憧れの存在だったという秦 基博と、JO1の河野純喜、豆原一成、與那城奨の4人による座談会が実現した。

秦から見た3人のボーカリストとしての個性
──秦さんは、「JO1で映画主題歌」という依頼を受けた時に、どのようなことを考えられましたか。
秦 まず考えたのは、僕がJO1さんの曲を作ることの意味……ですね。テレビでパフォーマンスされているJO1さんを観させて頂いた時に、ダンサブルな曲のイメージがあったので、「どういう曲だったらいいのかな?」って。
──パフォーマンスをご覧になって、どういう印象を持たれましたか。
秦 カッコいいなと思いました。
河野・豆原・與那城 わっ、ありがとうございます!
──JO1の皆さんは、秦さんが楽曲提供してくださると聞いてどう思われましたか。
豆原 僕は映画『富士山と、コーヒーと、しあわせの数式』で主演をさせていただいているので、メンバーよりも先にその知らせを聞いたのですが、「マジか!」ってなりました。自分が主演をさせていただいている映画の主題歌というのも嬉しかったし、JO1としても初めて日本のアーティストさんに楽曲を書いていただくことになるので。しかもそれが青春時代からずっと聴いていた秦さんだと知って、本当に嬉しかったです。
──秦さんには、制作サイドからどのようなリクエストがあったのでしょう。
秦 まず映画スタッフの皆さんとの打ち合わせをして、そこで「主人公の自立の話である」「83歳のおばあちゃんがやりたいことをはじめる話である」と聞いた上で、「曲調はバラードがいい」とか「こういう言葉を入れてほしい」という具体的なリクエストをいただいて話し合いました。
──その後は、台本を読んで進めていった?
秦 劇伴は入っていなかったのですが本編映像をいただいて、それを観ながら作りました。

──そうして「ひらく」のデモが出来上がってきたのを聴いたとき、JO1の3人はどのようなことを感じましたか。
與那城 個人的なことになるのですが……、JO1になる前に、僕は歌手になりたくて沖縄から東京に出てきました。そのころギターで弾き語りをしていたのですが、秦さんの曲もカバーさせていただいていたんですよ。僕にとって秦さんは、憧れの人。だから「ひらく」を最初に聴いたときは、いろいろなオーディション受けながら路上やライブハウスで弾き語りをしていたあの頃を思い出してしまって……。二度目でやっと曲を聴けた感じでした。
河野 うわぁ、それ、エモすぎるな!
──まさに「ひらく」の世界観を体現しているじゃないですか!
與那城 そうですね。
河野 僕らの世代は秦さんの曲を聴いていたし、カラオケで歌っていますから、憧れですよね。一番最初はJO1全員で一緒に聴いたのですが、聴いた瞬間に「秦さんの曲や!」と思いました。
──デモテープは、秦さんの歌声だったんですね。
河野 そうです、そうです。あの声なんですよ。僕らしか聴くことができない秦さんの歌声が聴けるなんて、めっちゃ贅沢ですよ。
與那城 最初ね、「デモ聴きます」っていわれた時、まさかご本人が歌っていると思わなくて。だから、すごく驚いたんです。「えっ、ご本人?」って(笑)。
河野 そうそう、それで余計に心に染みました。その後も練習するにつれて、歌詞が映画にリンクしているのを感じて、映画の完成が楽しみになって。
豆原 僕は自分が演じたというのもあって、聴いたときは、撮影していたころを思い出しました。僕的にはこの曲は、“おばあちゃんの歌”で。だから「ひらく」を聴くと、おばあちゃんがいなくなっちゃうような、寂しい気持ちになっちゃう。本当に作品にマッチしているのを最初に聴いたときから感じていました。そんな曲を自分たちがレコーディングするわけですから、気持ちが入りました。

──11人グループに曲を書くって、難しかったのではないでしょうか。
秦 そうですね。でも、1人で歌うとできないことでも、11人だからできるということもあって。自分1人だとブレスが必要になるところも、みんながいれば歌い分けられる。それは、グループならではの利点ですね。普段自分で作る時には意識しない声の重なりなども新しいアイディアとして出てきたので、新鮮でした。
──秦さんから見て、この3人はボーカリストとしてどういう印象を持たれましたか。
秦 河野さんと豆原さんのレコーディングに立ち合わせていただいたのですが、豆原さんは感情と声がストレート。歌い出しを担当されたのですが、まっすぐ表現されているなと感じました。
河野さんは、歌に対してのパッション……、感情をどこまででも込められる感じがして、歌としての表現のダイナミクスが強い人だと思いました。

──秦さんに見られている中で歌うなんて、プレッシャーじゃなかったですか?
豆原 いや、ヤバかったです。
河野 ほんまに緊張しました。
秦 いない方がよかったかな……。
河野 いやいやいやいや! 本当に貴重なお時間をいただきました。
──立ち合われたときにはいなかった與那城さんはどうでしょう。
秦 與那城さんは、歌の表現に余裕があるなと思いました。懐の深さというか。聴き手が余白を感じられる歌声です。3人とも素敵でした。
與那城・河野・豆原 ありがとうございます。
與那城 秦さんの言葉が……、もう!
河野 表現が美しいですよね。

──発言はもちろん、歌詞もすごく美しいですよね。
與那城 そうですね。最初にデモを聴いたときに、すごく気に入ったパートがあって、「ここ歌いたい!」と思っていたところが自分のパートになったんですよ。それがすごく嬉しかったな。
秦 歌割は彼らの声を1番知っている方がやった方がいいと思ってあちらのスタッフの方にお任せしたのですが、ばっちりでしたね。
河野 映画のことを一番わかっているまめ(豆原)の歌い出しは、しっかり飲み込んで歌ってくれたなと思いました。聞いた瞬間に「主人公だ!」って。
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