2025.09.23 17:30
2025.09.23 17:30
強そうでいて、本当は繊細。須田亜香里の笑顔が多くの人を魅了するのは、それゆえの葛藤を積み重ねてきたからなのかもしれない。
9月19日(金)に公開された映画『男神』は、自身の出生地である愛知県・日進市で撮影された。日本で伝統的に語り継がれる“禁足地”の恐怖を描いたこの映画で須田は、失踪した息子を取り戻そうと得体の知れない存在に立ち向かう主人公・和田(遠藤雄弥)を手助けする建設作業員・山下愛子を演じている。
アイドル時代からさまざまな仕事を経験してきた須田だが、劇映画への出演は今回が2作目。30代を迎え、さらに輝きを増そうとする須田亜香里がこれから目指す“在り方”とは。

ファンの人には「思ってた社長令嬢と違う」って言われました(笑)
──Bezzyで須田さんを取材させていただくのは初めてなのですが、実は一度須田さんをめっちゃフィーチャーした記事を出したことがありまして。
そう! なんかどっかで絶対見たことあると思ってて。
──木﨑ゆりあさんが以前エッセイで須田さんのことを「宇宙人」と表現されてました。(該当記事はこちら)
あー! それだー! 読んでます読んでます(笑)。

──ありがとうございます。今日は映画『男神』の話を聞かせてください。拝見して、建設作業員としての佇まいや雰囲気づくりがすごくお上手だと思いました。どのように建設作業員の山下愛子をご自身に降ろしたんでしょうか。
ありがとうございます。なんか「私、本当はこっちなんじゃないか」って思うくらい、全く無理してなくて。私は結構形から入るタイプで、ああやって動きやすい服を着てメイクもドロドロにしたら、自然とああいうちょっとガサツというか、女の子らしくない動き方ができました。いつもだったら座る時は膝を閉じなきゃとか思うけど、周りをあまり気にしないような立ち振る舞いができたのは、本当に服装とか形から入ったおかげなんじゃないかなと思いますね。
監督からは、すごく男勝りでサバサバしているキャラクターで、みたいなことをざっくり話していただきました。あ!でも作品の中で言葉では出てこないんですけど、地震が起きた時に建設現場で愛子が乗ってたショベルカーに十字架のネックレスがぶら下がってて、それが揺れるシーンがあると思うんですけど、愛子は“実はクリスチャン”っていう裏設定がありまして。今回『男神』っていう日本的な神様のお話をしているところでクリスチャンの愛子がいるのはちょっと深みが出るよねっていうのがあって。タトゥーシールで十字のタトゥーでも入れる?みたいな話もあったけど、やっぱりやめて、ネックレスがあそこにかかってるだけになりました。
──じゃあ、岩橋玄樹さんが演じた弟の裕斗にもそんな裏設定があったり?
そう、弟も海外帰りだったりとか。この姉弟は神の儀式に対して「いやそんなことあるわけ……」ってうまく信じられないけど、でも現実に起こっているものにちょっとずつ対応していく2人だから、「そんな儀式なんてあるわけ?今の時代に」っていう疑う側の気持ちをしっかりと表現させてもらえる姉弟だったのかなとは思います。
──先ほど形から入ってなりきれたというお話がありましたが、それは須田さんご自身にある人格を膨らませたのか、それとも全く自分の中にないキャラクターが降りてきたような感覚だったのか、どちらが近いですか。
自分の中から出てきた方が近いのかな。降ろしたっていう感じは特になくて。最初の方に、地鎮祭っていう工事をする前に行う儀式のところで愛子が気怠るそうに座りながらグミ食べてるシーンがあって、そのグミの食べ方とかは「自分だったらしないけど、愛子だったらこうするだろうなぁ」みたいに思って。今、愛子さんに戻れって言われたら全然できないけど、監督とか衣装さんとかメイクさんが作ってくれた愛子さんっていう感じでしたね。皆さんが作ってくれた愛子さんのイメージにはめていく、寄せていったっていうイメージが近いです。

──須田さんって笑顔のイメージが強いけど、本来クールなお顔立ちというか目鼻立ちキリッとしているから、実はああいうやさぐれた表情も似合いますよね。
ありがとうございます。ギャップが見えやすいキャラクターにしてもらえたのも嬉しいなと思っていて。最初、公式サイトには山下建設の社長令嬢って書いてあって。ファンの人は「社長令嬢役やるんだ」って、響きだけですごいいいとこのお嬢さんみたいなのを想像している方が多かったので、「思ってた社長令嬢と違う」って言われました(笑)。
──顔が汚れてないシーン、1シーンもないですもんね。
ないです。まず朝行ったらメイクして汚すところから始まるので。岩橋さんと須田はとにかく“汚れてる姉弟”っていうので、朝から泥で汚されるっていうのが撮影期間の日課でした。
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