2025.09.08 05:00
©2025映画「平場の月」製作委員会
2025.09.08 05:00
11月14日(金)に公開される堺雅人主演、井川遥共演の映画『平場の月』の最新予告映像が解禁され、主題歌が星野源の書き下ろし曲「いきどまり」に決定した。
原作は2018年の刊行以来、発行部数20万部を突破し第32回山本周五郎賞を受賞した朝倉かすみの同名小説。物語は中学時代の同級生だった2人が再会し、互いに独り身となった今、離れていた歳月を埋めながら心を通わせていく姿を描く。
妻と別れ地元に戻り、印刷会社に再就職し慎ましく平穏に生活する主人公・青砥健将(あおと けんしょう)を演じるのは、『DESTINY 鎌倉ものがたり』(17)以来8年ぶりの映画主演となる堺雅人。近年は『真田丸』(16)や『VIVANT』(23)などが代表するように強烈なキャラクターを演じることが多かった堺が、本作では一転して等身大の中年男性を体現する。その青砥が中学生時代に想いを寄せていた須藤葉子(すどう ようこ)を演じるのは、堺とは『半沢直樹』(20)以来の共演となる井川遥。夫と死別し現在はパート勤務で生計を立てながらも、どこか儚さと切なさを感じさせる女性を演じる。
2人の中学生時代を演じるのは、TBSドラマ『不適切にもほどがある!』(24)で注目を集め現在『ちはやふるーめぐりー』にも出演中の坂元愛登と、今年放送の『あなたを奪ったその日から』で好演し本作が銀幕デビューとなる一色香澄。そして恋愛ドラマの名手として知られ『花束みたいな恋をした』(21)で興行収入38億円の大ヒットを記録した土井裕泰が監督を務め、脚本は『ある男』(22)で第46回日本アカデミー賞最優秀脚本賞、第44回ヨコハマ映画祭脚本賞を受賞した向井康介が手掛ける。
解禁された最新予告では、青砥と須藤が再会し共に過ごす何気ない穏やかな時間の中で“なんかちょうどいい”距離へと徐々に関係を深めていく様子が映し出される。視線や仕草のひとつひとつにお互いへの特別な感情をにじませる2人。中学時代と現在の姿が、折り重なるように描かれていく。
「私は青砥が一緒にいたいと思うようなやつじゃない」と言う須藤に対し、「俺はお前と一緒に生きていきたい」とまっすぐに訴える青砥。その言葉を星野源が歌う主題歌「いきどまり」が優しい光で包み込み、2人の想いをより鮮明に浮かび上がらせる。さらに、予告編のナレーションを担当するのは中学時代の須藤を演じた一色香澄。初挑戦ながら繊細な表現力を発揮し、本作の温もりを際立たせている。
主題歌「いきどまり」へのコメント
星野源(主題歌担当)
ある日、土井監督と那須田プロデューサーが「直に話したい」と僕の作業場まで来てくれました。映画『平場の月』の主題歌を制作して欲しいというオファーでした。今まで何度もお仕事ご一緒しているけど、こんな風に自分の居場所まで来てくれて3人だけで話すなんて滅多にないなあ、と嬉しかったのを覚えています。いただいた脚本を読み、ピアノをぽろぽろと鳴らしながら作曲していきました。最近私は自身を焼き付けるような楽曲を書いてきましたが、この新曲「いきどまり」は自身を歌ったものではなく、歌の中に物語があり、それが一人称で語られる楽曲です。劇場の中で、そして貴方の中で、ぜひこの楽曲を聴いてください。
堺雅人(青砥健将役)
曲を聴きながら、井川遥さん演じる須藤と過ごしたいろいろなシーンを思い出しました。映画の世界を、月光にも似た淡く優しい光で照らしてくれるような曲ですね。また、「間違いだらけの優しさ」「忘れられぬ呪い」「行き止まりの二人」といった、星野さんが言葉にしてくださったフレーズのおかげで、物語をより理解できた気がします。出演者として本当に嬉しく思います。星野さん、ありがとうございました。
土井裕泰監督
俳優・星野源とはこれまで何度か仕事をしてきたけれど、勿論そのずっと前から、彼の音楽や文章のファンだった。紛れもない現代のPOPSTARでありながら、その表現のベースには常に市井の人の視線や実感があって、だからこそ彼の眼を通して見た世界はとても信用できる。
この平場の男女の物語は彼の眼にはどんな風に映るのだろうか?ある時、そんな興味に急にとらわれて、多忙な彼に台本を届けに行ってしまった。
数か月経って、ツアーが一段落した彼から返ってきたのは、彼の声とピアノだけのシンプルで美しい曲だった。
「切ない、大人の、恋物語」などという惹句ではとても掬いきれない、愚かしくも愛おしい人間の営みへの眼差しがあって、シニカルなのに温かく、諦念の中にささやかな希望を忘れていない。
この曲をもって完結することができる「平場の月」はなんと幸福な映画だろう。星野源の歌う言葉を、どうか劇場で、最後の一音までもらさずに聴いてほしい。