2025.08.31 14:00
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2025.08.31 14:00
衝撃的であった。とにかく衝撃的であったのだ。先日、グループ初の京セラドーム大阪公演2DAYSをもって「5th TOUR 2025 “Addiction”」を完走した櫻坂46。ここではそのファイナル・DAY2のレポートをお届けする。

衝撃的であった由縁は幾つもあるが、ライブ本編の記述より前に、まずは本ツアーに伴うトピックスの多さから言及する。
昨年11月23日・24日にZOZOマリンスタジアムにて行われた「櫻坂46 4th YEAR ANNIVERSARY LIVE」以降グループは、2月19日に11thシングル『UDAGAWA GENERATION』、4月30日に2ndアルバム『Addiction』、6月25日に12thシングル『Make or Break』と、立て続けに3作の音源をリリース。
通常グループの全国ツアーでは、ツアー開催直前にリリースされた音源表題曲のセンターを務めるメンバーが座長となるのが恒例。ツアータイトルにもなっている通り、今回のツアーは2ndアルバム『Addiction』に伴うものであったため、そのリード曲「Addiction」でWセンターを務めた山﨑天と藤吉夏鈴、通称“てんかりん”コンビが座長を務めた。しかし上述の通り半年に満たない期間で3作品という超ハイペースでのリリースに関連してか、てんかりん以外にも11thシングル「UDAGAWA GENERATION」センターの森田ひかる、そして12thシングル「Make or Break」センターの的野美青もライブの重要なパートを担うメンバーとして配置されていた。つまりグループとしては極めて珍しい、座長2名と座長格クラスのパートを担うメンバー2名、さらには4月に「櫻坂46 新メンバーオーディション」で合格した四期生9名が全国ツアーに初合流という、極めてトピックスが多く、同時に注目度も高く、さらにはグループ初の東京ドーム3DAYS公演やファイナルである本公演も自身初となる京セラドーム大阪公演と、グループの初挑戦も多く含まれるツアーだったのだ。

開演に先立ち座長のてんかりんコンビが影ナレを務め上げ、場内が暗転。Buddiesが掲げるペンライトが煌々と輝く中で「Overture」。いよいよかとBuddiesがコールの声を荒げると大規模なステージがその姿を表す。バックスクリーンには摩天楼が映し出され、噴水ショーでBuddiesをお迎え。それぞれがピンク、イエローグリーンを基調としたスーツという装いのメンバー達は華やかなダンスを披露。終盤てんかりんコンビが華麗なペアダンスを決め、それぞれにBuddiesへの煽り文句をシャウト。そこからの1曲目がまさしく驚愕であり、あまりの驚きに筆者は数秒間固まってしまった。
まさかの2ndアルバムリード曲「Addiction」が1曲目として早くも披露された。いや、“されてしまった”のだ。
上に書いた通り、座長がセンターを務める表題曲は通常ライブ本編のラストとして配置されることが多く、そちらが1曲目として配置されることなど(例外を除いて)あり得ないのだ。
1曲目にして、ジョーカーとも言えるカードを切ってきた櫻坂46。“ウダジェネ”こと「UDAGAWA GENERATION」や「Make or Break」が控えているとはいえ、後が全く予想できないセトリの先制パンチはあまりにも鮮烈で強烈だった。


ぶっとい四つ打ちと、ギターとシンセ(と思われる)がユニゾンする単音リフ、そして90年代のJ-POPを思わせる(個人的には工藤静香あたりを想起した)切なく、情熱的な節回しがたまらなくカッコいい「半信半疑」の後にこんな特級起爆剤すら早くも投下されてしまうのか……と再び固まった「Start over!」を終えるとMC。キャプテン松田里奈が頼もしげに「絶対に後悔させません!」と宣言してくれる。無論、たった3曲でこの粋な裏切りと盛り上がりである。そこに後悔なぞ“ありもせぬ”だ(「I want tomorrow to come」歌詞より引用)。山﨑が語った「10代最後のパフォーマンス」を出身地である大阪で迎えることもなんだか神がかったタイミングに思えてくる。
重厚な終末感を表現する「嵐の前、世界の終わり」でライブを再開させると、そこからはシリアスかつアイドルソングとしては随分挑戦的でありながら、その路線を完璧に自身のものとした櫻坂46らしい楽曲が続く。三期生曲「Nightmare症候群」はパイプオルガンの調べに乗せて現代的な3連符を交えた複雑な歌メロと首元に牙を突き立てるようなダンスが印象的な楽曲。それぞれが浮かべるギラギラとした表情はまさに吸血鬼。こちらの首筋までもがぞくりとさせられる。雨のSEをバックに1人登場した森田の舌打ちでBuddiesが湧き上がる「マンホールの蓋の上」は、野太いビートで攻め立てるAメロ、Bメロがサビで疾走感あふれるエイトビートへ移行する展開が実にカッコいい。

続く「流れ弾」イントロのけたたましいブラスのキメフレーズが鳴らされた瞬間は思わず心の中で叫んでしまった。筆者が櫻坂46にハマったきっかけの高速四つ打ちディスコファンクチューン。センターを務める田村保乃が小道具の拳銃を1発。その弾は間奏で現れたパルクール集団に命中したのか、そのうちの1人がステージの高台からダイブするという刺激的な演出が盛り込まれていた。続いてウッドベースが淡々とリフを刻む中で今度は的野が1人で登場。“OPEN”と書かれたネオンへと辿り着くと曲は「ノンアルコール」だ。紫煙が立ち込めるバーにいるかのごとく、アダルトな世界観を持つラテン調のナンバーをメンバーは艶やかに表現していた。

こちらのブロックは山下瞳月演じるクライムサスペンス調のムービーが曲前後にスクリーンに投影された「自業自得」の暴力的なビートによってクライマックスを迎え、続くブロックではアイドルらしいキュートな楽曲や儚げな楽曲に爽やかな夏ソングまでもが飛び出すパフォーマンスが展開。二期生曲「紋白蝶が確か飛んでた」では松田が感慨深げにこの曲を披露することへの喜びを口にする。そして三期生曲「恋愛無双」は昨日、つまりツアーファイナル初日にて初披露となった楽曲。小田倉麗奈がセンターを務めるこの曲の発表をもって、遂に三期生全員が単独センターを務める楽曲が出揃った。初の三期生曲「夏の近道」で締め括られたブロックに続いては四期生が登場。それぞれに凛とした面持ちを携えてスクリーンに映る金色の桜の木の元へ集うと、初の四期生曲「死んだふり」を力強くパフォーマンスしてくれた。


ユニット曲や期別曲の披露の後には、「偶然の答え」「TOKYO SNOW」「Nothing special」とそれぞれにまた違った切なさを持つ楽曲が続けられる。ダンスを封印し、表情や眼差しのみで前半部を表現しきった「Nothing special」に息を呑む。
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