上遠野太洸、佐野ひなこら共演陣とストーリーの魅力を解説
夏休みの終わりに贈る、これぞ“正統派ジュブナイル”作品!田中樹主演『ぼくらの七日間戦争』開幕
2025.08.27 20:00
2025.08.27 20:00
SixTONES田中樹の単独初主演舞台『ぼくらの七日間戦争2025』が2025年8月24日(日)、東京建物 Brillia HALLで開幕。それに先駆け、8月23日(土)に公開ゲネプロと取材会が行われた。
菊地英治(田中樹)、相原徹(上遠野太洸)ら中学1年生の男子生徒たちは、大人たちの理不尽な管理や押しつけに反発し、夏休み初日に突如姿を消す。彼らが立てこもったのは、廃工場。「解放区」と名付けたその場所で「大人への反乱」を掲げ、7日間にわたる自由な生活を始めるのだが、やがて学校や親たちが騒ぎ始めても一向に出ていくつもりはない。

中⼭ひとみ(佐野ひなこ)や橋⼝純⼦(中山莉子/二瓶有加のWキャスト)、堀場久美⼦(島ゆいか)ら女子たちの協力を得て立てこもり生活をスタートした男子生徒たちは、廃工場に住む謎のおじいさん・瀬川卓蔵(風間トオル/野々村真のWキャスト)から秘密の通路の存在を教えてもらう。同時に、参加していないクラスメイト・柿沼直樹(北村悠)が同じタイミングで誘拐されたことを知る。男子生徒たちの失踪と誘拐で混乱する中、中学生たちは自分たちの手で誘拐事件を解決しようと奔走して……。

佐野ひなこ(中⼭ひとみ役)
なんとも痛快な「ジュブナイル」だ。この『僕らの七日間戦争』の原作が発売されたのは1985年、宮沢りえが出演した1988年の実写映画の印象が強い人もいるかもしれないが、今作は原作のストーリーに沿ったものになっている。
田中樹が演じるのは同級生のリーダー的な存在・菊地英治。リーダーといってもグイグイと集団を引っ張っていくのではなく、さまざまな個性と才能あふれる男子たちの中で自然と中心にいるような存在。「大人への反乱」に参加したのは(ケガで外部から協力&誘拐に巻き込まれた柿沼というメンバーはいるものの)なんとクラスの男子全員! バラバラなようでいて結束力が強い子供たちの勢いと、ワチャワチャとした雰囲気。これが見ているだけでも、なんとも楽しくなってくる。

……と、見ているうちに田中樹の役柄にあまりにも違和感がないことに気がつく。そうなのだ、STARTO ENTERTAINMENTの中でもひときわ仲の良さと“男子ノリ”が魅力のSixTONES。個性的なメンバーの中で、彼はラジオやバラエティなどではグループの中でどこかまとめ役、進行役のような役割を振られることが多く……なるほど、既視感があるわけだ。そんなどこか素に近い(!?)役柄のせいか、舞台上での彼はなんとものびのびとしているように見える。

いや、のびのび見えるのは彼だけではないかもしれない。解放区にいる男子たちは、みんな魅力的だ。菊池とこの作戦の実務部分を担い、物語の進行を牽引していく相原徹役の上遠野太洸が中心にいるとはいえ、一人ひとりにしっかりとフォーカスが当たり、活躍していくという群像劇のスタイルになっているのもこの作品の最大の特徴。頭脳の明晰さを活かして作戦を立案したり、ムードメーカーのお調子者がいたり、絵や実況など得意なスキルを活かす子がいたり、実家家業を利用したり……みんなそれぞれに見せ場があり、それぞれに尊重し合う。その姿がああ、いいなあと思うし、そういう意味でこの作品は正しい“ジュブナイル”なのだ。保健室の⻄脇先生(太田奈緒/須藤茉麻のWキャスト)に男子全員がやたらとデレデレしているのもなんだかこう、リアルでいい。

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