2025.08.26 18:00
2025.08.26 18:00
ゲストに銀シャリを迎えた「芸人結成物語」。後編、長らくお待たせいたしました……!(前編はこちら)
2人のお笑い原体験から、0日婚的な速さでコンビが成立するまでを辿った前編。続く後編では、コンビとしてのロケットスタートからM-1優勝に至るまでの快進撃、そして現在の心中にやついいちろうが迫る。
この世界に漫才の神様は存在するのか? その答えは、彼らがこれから舞台上で示してくれるのかもしれない。

“申し子”を確信したはじめての熱狂
橋本 ネタ合わせがめっちゃ楽しくて。前の相方がめっちゃ厳しかったんで、逆に、ネタ合わせってめっちゃしたらオーディションぐらいは余裕で受かるんやってことは教えてもらったんすよ。死ぬほど練習してたんです。朝から晩まで、淀屋橋の公園で。
やつい へぇー、そうなんだ。
橋本 (前の相方には)コントの動きで、ドアの開け閉めで7時間ぐらい「違う」って言われて。俺ずっとドアノブ回してたんですけど、正解は引き戸やったんすよ。
やつい (笑)
橋本 教えてくれないんですよ。「これ楽しくないな」と思って。感謝はしてますけど。鰻は人が良いっていうか、「優しい」っていうのでまず満たされたんですよ。自分も「こんなんどう?」とか言ったら普通に採用されるし。で、ネタも面白かったし、みたいな。
鰻 それでインディーズのイベントとか出ました。
橋本 そしたらいきなり上位やったんすよ。初めて「ちゃんと気持ちよくウケた」って感じして。
やつい ほおー!それは最初から銀シャリって名前だったんですか?
橋本 いや『鰻(仮)』っていう名前でした。鰻の苗字強かったんで。とりあえずまだ、組むかどうかも決まってなくて。
やつい だってあと3人控えてるんでしょ。
橋本 ウケて気持ち良かったんで、3人に電話して断って。

やつい あ、もうやらなかったんだ? じゃあやっぱ鰻くんが一番良かったってことだよね。人を動かす熱意がありますね。
鰻 正直なんですかね。
やつい 思いが強いから。やったら上位だし。
橋本 その時のbase吉本の若手の劇場が、お客さん入れずに作家さんと支配人と社員さんが4人ぐらいで漫才見て、出す10組を選ぶシステムだったんすよ。
やつい 怖っ。いちばんストイックなときの審査員だよね。
橋本 逆にキツかったっす。社員さんと仲良いとかで選ばれたりとかあったんで。

やつい ウケるウケないじゃなくて? お笑いだけでじゃなく?
橋本 そんな感じじゃないです。審査員が寝てたりするんすよ。僕らの同期がたまたま見習いみたいなので劇場スタッフに入ってて、審査員が会議してるとこで「銀シャリおもろいと思うんすけどどうですか?」って言ってくれて「まぁ、1回入れてみようか」ってことで一応受かったんすよ。それでバトル行ったら1位取って、2回目も1位取って、月間でチャンピオンなって。それですぐ劇場入ったんすよ。その同期がおらんかったら危なかったです。
鰻 その同期がゴリ推ししてくれたみたいです。それでなんとか通ったっていう。
橋本 それで劇場の入れ替え戦みたいなんも行けて。2ヵ月連続で月間1位取ったら入れ替え戦に行けるんですけど、そんなヤツはいなかったんすよ。不可能と言われてて。取った時は興奮しました。あれが一番熱狂したかもしんないです。「っしゃー!」って。
鰻 「銀シャリいったぞ」みたいな。
やつい 「あの地獄のレースに勝つヤツいんのかよ」と。
橋本 そこからABCお笑いグランプリの予選とか行って、全部の予選も決勝行きだしてって感じですね。

やつい 徐々に注目が増してきて。で、M-1の決勝ってどれぐらい経ってからですか?
橋本 結成の5年後に初めて決勝行きました。
鰻 2010年ですね。
やつい 早いですよね。
橋本 出れて「間に合った」って感じと「決勝行けた」っていう気持ちと、あとM-1が楽しすぎて。お客さんとの相性が良くて。劇場ではあんまハマらんかったヤツ、M-1に持ってったらバンバンウケる。
鰻 「申し子や」と思いましたもん。「コイツすげぇ」と思いました。(会場を)飲みこむのがわかるんすよ。
橋本 ツッコめばどんどんウケて。楽しくてしょうがない。興奮しましたね。
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