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INTERVIEW

舞台『海と日傘』で共演する2人はいつ今の自分になった?

大野拓朗と南沢奈央が語る俳優としての自立、役を生きるために大事な“何者でもない時間”とは

2025.07.08 12:00

2025.07.08 12:00

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ファンクラブの会員証も自分で発送してます

──南沢さんは独立以降、舞台俳優としてのキャリアが広がった印象があります。

南沢 ずっと舞台はやりたかったんです。なので、独立してからは、意識的に舞台のお仕事に比重を置いてるところはありますね。

大野 それまではそんなに?

南沢 わりと映像メインでした。私はそんなに器用ではないので、映像の現場でうまくできなかったなって悔しい思いをして帰ることが多くて。その点、舞台は約1ヵ月という稽古期間の中でみんなと話し合い、試しながらお芝居をつくっていける。そこが性格的に合っている感じがします。

──舞台をやっている俳優さんは、稽古が好きな人とそうでもない人で分かれるイメージがありますが、お二人はどうですか。

南沢 大好きです。もうずっと稽古でもいいぐらい(笑)。つくっていく過程が楽しいですし、ちゃんと作品に携われている実感が得られるんですよね、稽古って。

大野 僕も好きですね。やればやるほど新しい発見が出てくる。僕も不器用なので、こういうふうにやろうと思ったことがなかなかできなかったり。できたけど、今度は別のことができなくなったみたいなことが多くて。そういう試行錯誤を積み重ねながら徐々に精度を上げて、本番で100点満点を出せるように練習するのが、“修行している”感じがして楽しいです。

──お二人の共通点は、共に事務所から独立されているところです。ぜひ自分の力でキャリアを開いていくことについて二人で語り合っていただけますか。

南沢 事務所にいる時はこれやってくださいと言われたことを一生懸命こなすだけで、あまり自分が何をやりたいとか考えられなかったんですけど、独立したことで、自分はどんな仕事がしたいんだろう、どういう表現がしたいんだろう、みたいなことをちゃんと考えられるようになった気がします。

大野 自分で選べるようになる分、何が好きとか何がやりたいっていうのが見えてきますよね。やっぱり庇護されてばかりじゃ、なかなか自立はできない。なんでもしてもらえる環境から飛び出すことで、きっと世の中のみなさんはこういう思いをして生きていらっしゃるんだなと感じられることが増えて、他の人の人生により興味を持てるようになりました。役者としても役を深掘りしやすくなった感覚はありますね。

──独立したことで、できるようになったことはなんですか。

南沢 私は以前よりSNSで発信するようになりました。営業をしてくれる人がいない分、自分とはこういう人間です、こういうことが好きですということをちゃんと発信するようにして。そしたらそれが意外と仕事につながったりすることも増えて。発信するって大事なんだなと思いました。

大野 僕は確定申告をやりました(笑)。今までは税理士の方にお願いしていたんですけど、ちょっと自分でやってみようかなと。あと、ファンクラブも自分で立ち上げました。

南沢 うわ、すごいそれ!

大野 自分でサイトのページもつくりました。システムエンジニアの方とやりとりしながら、文章も自分で書いて、特典とか値段設定も自分で決めて。Canvaというツールを自分で使って、会員証も自分でつくりました。

南沢 へええ。

大野 入会してくれた方の情報を入力して会員証を発送する業務も全部自分でやっています。この間、イベントもやりました。ピアニストさんを呼んで歌ったり、企画を自分で考えて、アクスタとかポーチとかブロマイドも全部自分で発注して。これくらい売れるかな〜とか考えるのも楽しかったし。イベント後にオンライン販売もしたんですけど、ゆうパックに宛名を書くのも、梱包も全部自分でやりました。

南沢 すごすぎる……! 大変そうだけど。

大野 大変だけど、お客さんと密に接することができる分、お客さんがどういうことを考えているかもわかるし、それをもとにどうやったらお客さんの満足度を上げられるだろうって新しいアイデアを考えたりもできるので、楽しいことのほうが多いです。ちゃんと「自分自身」がファンの方々と接することができているなって感じがします。

南沢 私もファンクラブを立ち上げたいと思ってはいるんですけど、大変そうだなと思って手がつけられてなくて。

大野 意外と簡単よ?

南沢 本当ですか。

大野 ファンクラブつくろう!

南沢 グッズもつくりたいんだよなあ。

大野 楽しいですよ。ぜひぜひ。

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2人にとって趣味の時間がくれるものとは

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作品情報

舞台『海と日傘』

舞台『海と日傘』

日時:2025年7月9日(水)〜21日(月・祝)
場所:すみだパークシアター倉

公式サイトはこちら

キャスト&スタッフ

出演:大野拓朗 南沢奈央 斉藤淳 阿南敦子 小川ゲン 松田佳央理 片山幸人 佐藤玲
演出:桐山知也
プロデューサー:佐藤玲

1988年11月14日東京都出身
2009年度ミスター立教。NHK連続テレビ小説『わろてんか』や大河ドラマ『西郷どん』など、ドラマ、映画、舞台に出演。
19年、俳優修業のため約1年間NYへ。海外にも活動の幅を広げる。
23年、ロンドンで全編英語のミュージカル『Pacific Overtures』にリードロールで出演。数多くの劇評で個人でも高評価を得た。
近年の主な出演作は『進撃の巨人 -the musical-』、『氷艶2024 -十字星のキセキ-』、ミュージカル『ファントム』他。

06年にテレビドラマ『恋する日曜日 ニュータイプ』で主演デビュー。主な出演作品は【舞台】『アーリントン』『岸辺の亀とクラゲ-jellyfish-』『羽世保スウィングボーイズ』『更地』(21)『エゴ・サーチ』『お月さまへようこそ』『血の婚礼』(22)『セトウツミ』(23)『メディア/イアソン』『いびしない愛』『No.9~不滅の旋律~』(24)『反乱のボヤージュ』(25)【TV】『赤い糸』(CX/映画)『軍師官兵衛』(NHK 大河)『素敵な選TAXI』(CX)『螢草 菜々の剣』『大岡越前SP』(NHK)『リエゾン』『家政夫のミタゾノ6』(EX)『彼女たちの犯罪』(YTV)他。また、TFM『nippn ¡ hon−yomokka!』NHK ラジオ『おしゃべりな古典教室』パーソナリティ、サンデー毎日『遠回りの読書』、NHK出版『女優そっくり』執筆、信濃毎日新聞書評委員、などでも活動中。著書に『今日も寄席に行きたくなって』がある。

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