ドラマ『子宮恋愛』キャスト3人がそれぞれの価値観を語る
松井愛莉×大貫勇輔×沢村玲の生き方鼎談 「人生の主人公は自分」と思うための重要要素とは?
2025.05.01 18:00
2025.05.01 18:00
自分が主人公の人生を生きよう。いろんな雑誌や映画でそんなフレーズが飛び交っていて、頭ではわかっているし、自分もそう生きたいと思っている。だけど、なかなか人生の操縦桿を自分の手で握ってハンドリングできない人も、きっと多い。
この物語のヒロイン・苫田まきもその一人だ。ドラマ『子宮恋愛』は、夫に本音を言えず、嫌なことを言われても愛想笑いで誤魔化すしかできなかったまきが、自分の足で自分の人生を歩み出すための物語。そのきっかけとなるのが、会社の同僚・山手旭との出会いだった。ブラジル育ちでオープンな山手の生き方に振り回されながら、まきは理想の自分へと近づいていく。
まき役を演じるのは、松井愛莉。山手役は、大貫勇輔。そして、モラハラ気味のまきの夫・恭一役を沢村玲(ONE N’ ONLY)が演じる。価値観の異なる3人が考える、自分の人生を自分が主人公として生きていくためのヒントとは? 記事最後にプレゼント情報もあるのでお見逃しなく!

人間関係は一筋縄じゃないからこそ面白い
──この作品に出演することが決まったときや、台本を読んだときどう思いましたか。
松井 『子宮恋愛』というタイトルも含めて、大人な恋愛を描いている物語ではあるんですけど、それ以上に登場人物の成長が丁寧に描かれた人間ドラマだなという印象が、私は強く残りました。
大貫 僕と愛莉ちゃんと玲くん、そして吉本(実憂)さんの4人の役がやってることは、今の世の中で言えばよろしくないことなんです。だけど、人間はそんなに強くもないし弱くもないし、この4人もきっと誰が悪者でもなければ正義でもない。その上で、視聴者の方がこの4人のどこかに自分と通じるものを見つけてくださったら面白いんじゃないかと思いました。
沢村 それぞれの登場人物に焦点を当てていて、それぞれの過去のできごとが現在に繋がっているので、1つの物語として面白いなと思いました。

──物語全般を通しての問いかけとして「恋は理性でするものか、本能でするものか」というものがあるようにも思うのですが。
大貫 僕は本能でするものだと思いますね。ただ、結婚を考えた時に、やっぱり理性が入ってくるんじゃないかなと。
沢村 たぶん年齢を重ねてくることで変わってきますよね。長く一緒にいることを考えると、一緒にいて落ち着くことが何より大事。たぶんそれは本能じゃなくて、理性のような気がします。
松井 私も恋に落ちる時は本能であるような気はします。でも、実際には理性ですね。今まで自分からぶつかっていったことは、ほぼないです。

──結婚についてはどうですか。この作品を通して、結婚や夫婦について考えたことを聞いてみたいです。
松井 主軸の4人の間でいろんな感情が渦巻いていて。その全ての感情を理解できるとは思わないけど、私は(吉本演じる)寄島がすごく気になりました。こういう人いるよなと思ったし、そばにいたら嫌だけど、人としては嫌いじゃないというのもわかる。夫婦もですけど、人間関係って一筋縄ではいかないからこそ面白いんだろうな、というのが私の感想です。
沢村 僕は恭一に対して「こうはなりたくない」と思っちゃいましたね。ここまで女性の気持ちがわからず、自分本位で生きてきて、よくこの結末ですんだなと。お話的にはまきとのシーンが多いんですけど、二人の対話を見ながら、いい人生勉強ができました(笑)。
大貫 夫婦の形って十人十色。だから、一概にこうだということは絶対に言えないですけど、人と人が交われば、ぶつかることもあるし、時には傷つけ合うこともある。そして、自分の人生を次に進めようとすれば別れが伴うこともあって、それはもう人生の性(さが)なんですよね。たとえ進んだ先が破滅的な方向だったとしても、自分としっかり向き合った結果なら受け入れられる。この4人の選択も、不倫という形ではあるけれど、何かしら共感してもらえるところはある気がします。

──まさにこのドラマは「不倫」が入り口ですが、「生き方」のお話だと思っていて。松井さん演じるまきは、自分というものがない女性です。すごく引っかかったのが、まきは「私に何かできることはありますか」「役に立てることはありますか」と周りに聞くばっかりなんですよね。
松井 まきを見ていて、イライラしました?(笑)
──ちょっとイライラしました(笑)。
松井 やっぱりそうですよね(笑)。
大貫 僕も台本を読んだときに、全然共感できないなと思ったんですよ。だけど不思議なことに、愛莉ちゃんが演じると応援したくなるんです。演じる人によってこんなに変わるんだというのが面白くて。
松井 私にとってまきという女性像は、「言いたい事が言えない」という部分など昔の自分を投影しているみたいだったんですね。だから私も演じながら「きっと昔は私も誰かにイライラされてたんだろうな」と思っていました(笑)。
沢村 僕はイライラというより、逆にちょっと興味を持っちゃいましたね。そうなった背景が知りたいというか、どういう生い立ちだったんだろうって。自分が変えてあげたいというのはおこがましいですけど、何かきっかけを与えてあげられたらとは思っちゃうかも。
大貫 そういう意味で言うと、僕は自分の色に染めたかったですね。だから、山手を演じていて、まきという人間をコントロールするような感覚を味わえたのは、ちょっと楽しかったというか。と同時に、まきと向き合うことは、自分自身と向き合うことでもあった気がします。まきがある意味空っぽだからこそ、鏡のように自分自身が見えてくる感覚がありましたね。
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