映画『パリピ孔明』現場で感じたことは?独自の創作観に迫る
「得意不得意はわからないけど、演じるのはすごく楽しい」詩羽がフラットに向き合う自分らしさ
2025.04.30 18:00
2025.04.30 18:00
本当に仲良くなるまで死ぬほど時間がかかるタイプです(笑)
──今回の映画は圧巻のライブシーンが見もので。お芝居ではあるけど、かなりリアルなライブだったのかなという感じもするんですがいかがでしたか?
そこは普段とも遠からずなのかなと思いますね。水曜日のカンパネラでもステージ上で演じてる部分があるっていう意味では、演じながらステージに立つっていうところはたぶん通じていて。その演じ方の違いなのかなとは思いますね。
──でもあの歌唱シーン、実際にイベントが進行しているなかで普通にお芝居やって、すぐステージ上がって歌って、またお芝居やって……という、大変なスケジュールだったみたいですね。
そう、ライブをフルでやりつつ、その間に演技のシーンを撮って、それが終わったらそのまますぐ裏に回って準備してライブシーンを撮る、みたいな。本当にあの日は結構スケジュールがツメツメでドタバタで、純粋にその忙しさはありました。でも、みんなドタバタしてるなかで私も一緒にドタバタしてたみたいな感じで、みんなでひとつずつ成功させていこうという結構熱い気持ちがある現場だったので、その熱い気持ちのまま私もステージに立てました。
──すごいですね。貴重な経験だったんじゃないですか?
そうですね。演技してすぐ歌うことなんてあんまりないので、なかなかない経験でした。
──その、ライブの合間の演技シーンもすごくて。客席で兄の司馬潤と感情をぶつけ合うシーンなんですけど、あそこはどういうふうな感情を作って臨んだんですか?
「次、泣くシーンだな」みたいな感じで感情を作ってやってましたね。
──そうやって気持ちを作っていけるのはすごいですね。詩羽さん、これまでもいくつか演じる仕事もしてきていますけど、お芝居は好きですか?
好きです。何が上手で、何が上手じゃないとか、得意不得意はわからないですけど、演じるのはすごく楽しいなって思いますね。

──どういう部分に楽しさを感じますか?
コミュニケーションが必要なところですかね。音楽ってわりとコミュニケーションが必要ないんです。お客さんとのコミュニケーションは必要なんですけど、音楽での感覚的なコミュニケーションって私の場合特になくて。きっとバンドだったらあったりすると思うんですけどそうじゃないので、ああいうふうに目の前にいる誰かとコミュニケーションを取ることで何かが生まれていくっていうのは、違うからこそおもしろいなって思いますね。
──まさに映画なんてたくさんスタッフがいて、エキストラも含めてキャストもいっぱいいるっていう、大きなチームの中である種1つのピースとして作品作りに関わっていくっていう形なわけじゃないですか。それは確かにいつもの詩羽さんの創作活動とは違うかもしれないですね。
そうですね。やっぱり人がたくさんいるっていうことが、普段音楽だけやってるとなかなかないことなので。みんなそれぞれ人が違うからこそ生まれていくものというのが目に見えるし、それが現場でどんどん生まれていくのを見てるとおもしろいなって思いますね。
──でも、水曜日のカンパネラもチームだし、ソロを始めたことによって新しい人が関わってきたり、どんどん詩羽さんの周囲にいる人が増えていっている状況もあるじゃないですか。そこには同じようなおもしろさは感じないですか?
私、そんなに簡単に人のことを好きになれないんですよ(笑)。めちゃめちゃ警戒心がある人なので、めっちゃ時間がかかるんですよね。今一緒にやっている人のなかにも、やっと目を見て話せるようになってきたくらいの人が全然いるくらいなので。めちゃめちゃ時間がかかるので、私がどうというよりはみんなが大変だろうなって思いますね(笑)。
──ソロも始めてそれなりに時間が経ってきたわけですけど、それでも?
長くやっていけば人の目を見ても話せるようになりました。でも本当に仲良くなるまでは死ぬほど時間がかかる(笑)。それに本当に合う、合わないがわかりやすく出てくるタイプではあるので。だから全部楽しんでやってるけど、そこにそんなに重きを置いてないのが自分のいいところなのかなって思いますね。そこに対する熱い思いがないからこそできてることなのかもしれないです。

──「警戒心が強い」っていうのは、お仕事で初めてお会いする人に対してマイナスから入るのか、ゼロからなのか、どういう感じなんですか?
うーん、ゼロかも(笑)。
──じゃあ、そこから1までが長い。
そうですね。好きな動物とかが同じだったら一気にプラスになったりとかするので単純ではあるんですけど(笑)。好きな食べ物が同じとか、何か共通点がないとコミュニケーションが取れなくて。何もコミュニケーションの道筋が見えてないと私は壁を作っちゃう。「違うな」って思うとさらにもう一枚(笑)。1個はまればパッと開けていくタイプだなって思いますね。お仕事だと大人の人と関わる部分がすごく多いので、一気にカチッとなっちゃう自分がいるのかな、と思いますね。
──そういう意味では今回映画のキャスト陣やチームとのコミュニケーションっていうのはどうでしたか?
現場ではわりとshinっていうキャラクターとしていたほうがいいっていうのはあったので……特に私の場合は兄妹シーンからの撮影スタートで、神尾さんもあんまり話すタイプでもないし、そこはshinとしてまっすぐぶつかったほうがたくさん話せるだろうなっていう気持ちで、現場では自分から話しかけにいったほうかなと思います。
──どんな話をしたんですか?
でも全然大した話はしなくて。本当にくだらない話しかしなかったです。夏だったので「冷やし中華好きですか?」みたいな(笑)。本当に兄妹みたいなくだらない話で時間を過ごすというのが多かったです。他のキャストさんとは被るシーンがあまりなくて、そんなに話す機会がなかったんですよね。(上白石)萌歌ちゃんとはほぼ同じシーンがなくて、現場ではまったく話せなくて。向井(理)さんとはときどき一緒のシーンがあったんですが、それもほぼ後半だったし。打ち上げとかで初めてお会いする方がすごく多かったですね。
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