2025.04.25 09:00
©︎ PETIT CHAOS - CHALK & CHEESE FILMS - BALDR FILM - LES FILMS FAUVES - ARTE FRANCE CINÉMA - 2024
2025.04.25 09:00
インド映画史上初めて第77回カンヌ国際映画祭グランプリを受賞した『私たちが光と想うすべて』(原題『All We Imagine as Light』)が7月25日(金)に日本公開されることが決定し、本ポスターとメイン写真が解禁された。
インド映画として30年振りにカンヌ国際映画祭のコンペティション部⾨⼊りを果たした本作は、⽇本から審査員として参加した是枝裕和監督も絶賛を寄せる。パルム・ドール受賞作『ANORA アノーラ』や『エミリア・ペレス』『サブスタンス』など強豪作品が多数出品される中でグランプリを獲得したほか、ゴールデン・グローブ賞など100以上の映画祭・映画賞にノミネートされ、25以上の賞を受賞。“夜のムンバイを背景にした孤独なロマンスを、これほど美しくとらえた映画は初めてだ(Variety)” “心を奪われない人はいないはず(BBC)”“ 完璧な1作(Les Inrockuptibles)“など世界中から高評価を獲得し、70か国以上での公開が決定している。
監督を務めたのは、長編ドキュメンタリー映画『何も知らない夜』で、2021年のカンヌ国際映画祭監督週間でベスト・ドキュメンタリー賞に当たるゴールデンアイ賞、2023年の山形国際ドキュメンタリー映画祭インターナショナル・コンペティション部門でロバート&フランシス・フラハティ賞(大賞)を受賞した、現在39歳でムンバイ生まれの新鋭パヤル・カパーリヤー。光に満ちたやさしく淡い映像美、洗練されたサウンド、そして夢のように詩的で幻想的な世界観を紡ぎ出し、これまでのインド映画のイメージを一新させたとして「ウォン・カーウァイを彷彿とさせる」と評判を呼び、世界中から注目を集めている。
仕事、恋、結婚などで揺れる女性たちの友情を描く本作の舞台は、インドの大都会・ムンバイ。看護師のプラバと年下の同僚アヌはルームメイトとして一緒に暮らしているが、職場と自宅を往復するだけの真面目なプラバと何事も楽しみたい陽気なアヌの間には少し心の距離があった。プラバは親が決めた相手と結婚するも、夫はドイツへ渡ったきり音沙汰がない。アヌは親に知られたら大反対されるとわかりつつ、イスラム教徒の恋人と交際していた。そんな中、病院の食堂に勤めるパルヴァディが高層ビル建築のために立ち退きを迫られ、故郷の海辺の村・ラトナギリへ帰ることに。揺れる想いを抱えたプラバとアヌは「一人で生きていく」というパルヴァディを村まで見送る旅に出るが、神秘的な森や洞窟のある別世界のような村で二人はそれぞれの人生を変えようと決意させる、ある出来事に遭遇する。
プラバを演じるのは『Biriyaani(原題)』でケーララ州映画賞・主演女優賞を受賞し、2024年度東京フィルメックスでも上映され話題を呼んだ『女の子は女の子』にも出演したカニ・クスルティ。アヌ役は『Ariyippu(原題)』でロカルノ国際映画祭国際コンペティション部門主演女優賞にノミネートされたディヴィヤ・プラバ。パルヴァディ役は、日本でもスマッシュヒットを記録したインド映画『花嫁はどこへ?』のベテラン俳優のチャヤ・カダムが演じる。
世代や境遇、性格も異なる三人の女性に共通しているのは、ままならない現実に葛藤しながらも、自由に生きたいと願っていること。はじめは分かり合えなかった彼女たちだが、相手の存在を静かに“認める”という温かなまなざしを通して、少しずつ互いを思いやり支え合っていく。本作には国境や人種を超えて多くの観客が共感を寄せているが、特に世界中のメディアや批評家から称賛を集めているのが美しさを極めた映像と音楽。カパーリヤー監督はムンバイの街並みとラトナギリの自然を対比させ、さらに街を彷徨いながら小さなカメラで撮影した映像と録音した環境音をラマに組み合わせるという、ドキュメンタリー経験者ならではのテクニックも本作に盛り込んだ。
解禁されたポスターには夜のムンバイの駅のホームに静かに佇むアヌの姿が収められており、夜の青い光と影の美しいコントラストの中でアヌの静かな眼差しが浮かび上がる。「運命から、解き放たれる」というキャッチコピーと呼応するように力強く惹きつけるビジュアルとなっており、併せて解禁されたメイン写真は外国へ行ったきりの夫から突然届いた炊飯器のプレゼントに戸惑うプラバを切り取ったもの。ルームメイトのアヌとあれこれ推察しあう様子は、寄り添いながらも時にそっと距離をとる二人のもどかしくも心地良い関係が伝わってくるようなカットとなっている。

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