上田誠作・演出舞台『リプリー、あいにくの宇宙ね』で初共演
変わり者同士のベスト距離感は?伊藤万理華と井之脇海の共通点トーク
2025.03.31 18:00
2025.03.31 18:00
伊藤万理華と井之脇海。目の肥えたシネフィルに愛され、数多の映画でキャリアを積んできた二人が、舞台で初めての共演を果たす。
京都発の人気劇団・ヨーロッパ企画の上田誠が作・演出を務める『リプリー、あいにくの宇宙ね』は、宇宙船を舞台にしたSFアクション音楽コメディ。船内で勃発するトラブルの数々とクセの強すぎる登場人物に、伊藤らが演じる航海士たちが翻弄される姿をポップかつコミカルに描いていく。
そんな二人のトラブル耐性は……? この日が初対面だった伊藤と井之脇の初々しいトークをたっぷりとお届けする。

アドリブは本当にやめてください(笑)
──今回、お二人は初共演です。
井之脇 僕は伊藤さんが主演をされていた『パーセント』というドラマが好きで。ご一緒できると聞いて楽しみでしたし、映像の印象が強かったので、映像ではなく舞台でというのも面白いなと思いました。
伊藤 よくお世話になっている雑誌があって、その第1号に井之脇さんが出てらっしゃったんですね。
井之脇 なんだろう。『STUDY』?
伊藤 『STUDY』です。そこでお見かけしていたので、共演は初めてなんですけど、親近感がありました。
──お二人は、初めての相手とお芝居をするとき、自分から距離をつめていけるタイプですか。
井之脇 どうですか。
伊藤 (人見知りをするように、恥ずかしそうにうつむく)

──距離をつめていけるタイプではなさそうですね(笑)。
伊藤 今回は絡みが多いので、いっぱい喋れたらいいなって……(と、声量がフェードアウトしていく)。
──どんどん声が小さくなっている(笑)。
井之脇 僕も自分から行きたいんですけど、あまり得意ではないかもしれない。先輩後輩がはっきりしているほうが楽かなって。敬語のほうが慣れてるんで、敬語のほうがしゃべりやすいんですよね。より仲良くなるのは年齢が近いほうが早いんですけど、ちょっと時間はかかるので。今回も……頑張ります(笑)。
──そんな二人で上田誠さんの作品に挑みます。伊藤さんは『時をかけるな、恋人たち』で上田脚本は経験済みですが、上田ワールドの魅力はどんなところでしょうか。
伊藤 『時を〜』がそうなんですけど、キャラクターの役割分担がはっきりしている印象があって。上田さんの舞台を拝見していても、個性の立っているキャラクターが多いですよね。その上で、日常に潜むファンタジーを描いてるところが素敵だなって。序盤からいろんなヒントを散りばめながら、終盤は一気に回収していく。思わず最後まで観ていたくなるし、最後まで観ていないとわからない仕掛けがたくさん入っているところが面白いです。
井之脇 笑えるのはもちろんなんですけど、ただ笑いだけじゃなくて、いろんな仕掛けや伏線回収があるんですよね。それって、ふとした瞬間のドラマだったり、人や日常の繊細なところをちゃんと描けているからなんじゃないかなって。その幅があるから、笑いも膨らむ。思わずジンとくるような笑いがお上手だなと、いちファンとして勝手に思っていました。
──井之脇さんも、いつか上田さんの作品に出てみたいという思いがありましたか。
井之脇 やってみたいとは思っていましたけど、縁がないと思い込んでいたので、今回声をかけていただいたのは意外でした。しかも、コメディで、かつ舞台で呼んでいただけると思っていなかったのでびっくりしたんですが、光栄だなと思っています。

──今回は、宇宙船を舞台としたSFコメディです。
伊藤 まず宇宙空間という設定が面白いなと思いました。プロットを読んだら、立て続けにいろんなトラブルが起きていて。しかもどれも予想できないものばかり。これをどう回収して、どうおさまるのか、あるいはおさまらないのか(笑)、というところにワクワクしています。
井之脇 プロットを読んでもよくわからなかったんですよね(笑)。でもそれがいいなと思いました。きっと上田さんの頭の中にはもう世界観ができていると思うので、それが形になっていくのが楽しみだし、今回は宇宙船という密室劇。ワンシチュエーションでお話が進んでいくのもやりがいがありそうですね。
伊藤 ロボットだったり、宇宙を漂流している吟遊詩人だったり、キャラの立った人物がいっぱい出てきて。これをあのキャストのみなさんで演じることが想像つかないんですけど、今だからできるキャストなのかなと思うと、その一員になれるのがうれしいです。
──ちなみに、お二人は予期せぬトラブルに強いタイプですか。
伊藤 私は全く対処できません。すごいテンパっちゃいます。
井之脇 僕はわりと得意かもしれないです。一つひとつ物事を整理して解決していくのとか好きです。
伊藤 あ、じゃあ逆ですね。
──伊藤さんは乃木坂46時代にたくさんステージに立たれていて。それこそ予想外のトラブルなんていっぱい経験していそうですが。
伊藤 それはもうつきものだと思っているから、テンパるけど、それも含めて楽しんでいる自分がいます。そう考えると、いろんなトラブルに対しても追いつめられるし、心身はすごく消耗するんですけど、そういう大変な状況もどこかで楽しんでいるのかもしれないです。
──舞台上でアドリブとかされてもオッケーな人ですか。
伊藤 (無言で首を横に振る)
井之脇 僕は楽しいですね。

──今回はメンツ的にもアドリブが飛び交いそうですが。岩崎う大さんなんか特に。
伊藤 困ります(笑)。
井之脇 困るなあ(笑)。
伊藤 ちゃんと真面目にやってほしい(笑)。
井之脇 あはは。
伊藤 トラブルが起きるから、コメディだからって、なんでもやっていいわけじゃない。
井之脇 確かにそうだ。
伊藤 石田(剛太)さんとか本当に心配。何度かご一緒してるんですけど「万理華と一緒だからやっちゃおうかあ」と思われていたら、「本当にやめてください」って言います(笑)。
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