監督は注目の天野千尋、香港映画祭出品も決定
岸井ゆきの×宮沢氷魚W主演、夫婦のすれ違いを真正面から描く映画『佐藤さんと佐藤さん』今秋公開
2025.03.17 17:00
©︎2025「佐藤さんと佐藤さん」製作委員会
2025.03.17 17:00
天野千尋監督の最新作で、岸井ゆきのと宮沢氷魚がW主演する映画『佐藤さんと佐藤さん』が2025年秋に公開されることが決定。場面写真4枚とコメントが到着した。
大学卒業後に会社員を経験後、2009年に映画制作を開始した天野監督。短編『さよならマフラー』がシネアスト・オーガニゼーション大阪にて上映され、 続く中編『費ヲナゲロ』はぴあフィルムフェスティバル(PFF)に入選。第32回東京国際映画祭日本映画スプラッシュ部門でも上映された初オリジナル長編映画『ミセス・ノイズィ』では隣人との危うい関係という社会問題をシニカルな笑いで包み、NYジャパンカッツ観客賞、日本映画批評家大賞脚本賞に輝いた。
そんな監督として手腕が注目される天野が今回描くのは、佐藤さん同士が付き合い、結婚、出産を経て見えた「夫婦」のカタチ。結婚しても離婚しても苗字は変わらないが、夫婦は常に変化していくもの。その変化にどう順応していくのか、していけないのか。家事育児、日々のこと、そして未来のこと。夫と妻はなぜすれ違うのか?そんな行き違いを真正面から描いたふたりの話を、熊谷まどかと共同脚本で紡がれる。
佐藤サチ(22)は、ダンス好きの活発なアウトドア派。佐藤タモツ(23)は、正義感の強い真面目なインドア派 。正反対な性格だがなぜか気が合い、程なくして付き合い同棲を始める。そして5年後。弁護士を夢見るタモツは、司法試験を受けるが不合格が続く。しかし諦めずまた挑戦したいというタモツを応援するサチ。 会社員として働いていたサチは、 一人孤独に頑張るタモツを助けようと一緒に勉強をはじめる。

しかし数年後、サチが司法試験に受かってしまう。申し訳ない気持ちのサチと、相変わらず不合格でプライドがズタズタのタモツ。そんな中、サチの妊娠が発覚。ふたりは結婚することになる。産後すぐに弁護士として働き出し、忙しい毎日を過ごすサチに対し、 タモツは塾講師のアルバイトをしながら家で息子の世話、その片手間に司法試験の勉強をしているので全く集中できずにいた。そんな生活の中、忙しいサチが息子の支度を忘れたり、家でのだらしない姿にタモツはイライラが募る。 育児に対する考え方も全く違うふたりは対立し、次第に絶妙に保たれていたはずのバランスが崩れ始める。
オリジナルで本作を描いた天野は、「オリジナルの醍醐味は、果てしなく広がる自由な世界の創造主になれることですが、それはこの上なく孤独で苦しい道のりでもあります。だからこそ共に歩んでくれる脚本の熊谷さんの存在が大きな力になっています。」と、2006年の『はっこう』でPFF2006グランプリとゆうばり国際ファンタスティック映画祭審査員特別賞などを受賞した熊谷まどかとの共作を振り返る。さらに、今回佐藤サチ役に迎えた岸井ゆきのの印象を「岸井さんは、ひと言でいうなら「芯」の人です。芯がある人、という表現ではもの足りない、芯そのものという感じ。ひとつも嘘のない、誠実でまっすぐな芝居を見せてくれました。」と語り、佐藤タモツ役に迎えた宮沢氷魚を「宮沢さんはとにかく慈しみ溢れる人で、佐藤保という人物に愛情を注ぎ、大事に大事に育ててくれたと感じています。その温度は今もなお画面からも溢れてきて、私の心を温めてくれます。」と見た目も中身も凸凹なふたりを演じた俳優に賛辞をおくった。

今回W主演のサチとして参加した岸井ゆきのは「どうして分かり合いたい人とこそすれ違い、分かち合いたいことも、ほんとは楽しいはずの会話も、余計なひと言や不要な思いやりによって手のひらからすり抜けていくのだろう。」と、ふたりのもどかしい関係に想いを馳せ、「佐藤さんと佐藤さんの激しくて楽しくて切なくて嬉しい数年間の記録が、どこかであなたの人生と重なりますように。」と、ふたりの物語が一人一人に届くようにと願いを込めた。
さらにタモツとして参加した宮沢氷魚は、岸井との共演を「とてもチャーミングな方で、撮影初日からお互い心を開いて、タモツとサチをしっかりと演じられたと思います。」と初めての共演ながら息がぴったりだったことを明かし、「初めて脚本を拝読した時からニ人の佐藤さんの関係がどこかシュールで、でもリアリティに満ち溢れていて引き込まれました。夫婦であっても、苗字が同じでも、やはり他人同士。そんな二人の歩む人生をぜひご覧頂ければと思います。」と本作の魅力を伝えている。

なお、今年4月に開催される第49回香港国際映画祭Fantastic Beats部門への出品も決定。今秋公開に向けて、今後も続報が解禁されていく。
コメント全文
監督・脚本:天野千尋
本作で描かれる15年間で、ふたりの佐藤さんはゆっくりと変化していきます。子供から大人になり、社会に出て、それぞれの立場で役割を担っていく。ひとりは弁護士に、ひとりは主夫に。立場が違うと、眺める世界もちょっとずつズレてくる。そのうち相手の目にいったい何が映っているのかわからなくなる。理解できないと怒ったり、憎んだり、切り捨てたりする。佐藤さんに限らず、これは社会の中で生きる私たち誰もが経験することです。
「他者」をどう理解するか、どう折り合いをつけていくかを、私たちはずっと考え続けなければならないと思っています。
岸井ゆきの
どうして分かり合いたい人とこそすれ違い、分かち合いたいことも、ほんとは楽しいはずの会話も、余計なひと言や不要な思いやりによって手のひらからすり抜けていくのだろう。
私には夫婦の”普通”が分からないけど、家族というのはあまりにも普遍的で、それぞれがあまりにも特別なのだと思う。
佐藤さんと佐藤さんの激しくて楽しくて切なくて嬉しい数年間の記録が、どこかであなたの人生と重なりますように。
そして、見逃しそうな幸せをどうか見逃しませんように!
宮沢氷魚
初めて脚本を拝読した時からニ人の佐藤さんの関係がどこかシュールで、でもリアリティに満ち溢れていて引き込まれました。
岸井さんとは初めての共演でしたがとてもチャーミングな方で、撮影初日からお互い心を開いて、タモツとサチをしっかりと演じられたと思います。
天野さんはとても柔軟な方で、スタッフや役者と意見を交換しながら撮影を進められたので、
共に作り上げた感覚がとても強いです。
夫婦であっても、苗字が同じでも、やはり他人同士。そんな二人の歩む人生をぜひご覧頂ければと思います。