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武田綾乃の著作が初の実写映画化、監督は井樫彩

南沙良が人生に期待を抱かない大学生に、“毒親”からの逃走劇『愛されなくても別に』7月公開

2025.03.07 07:00

©︎武田綾乃/講談社 ©︎2025 映画「愛されなくても別に」製作委員会

2025.03.07 07:00

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井樫彩監督の最新作で、南沙良が主演を務める映画『愛されなくても別に』が7月4日(金)より公開されることが決定した。

原作は、2013年に日本ラブストーリー大賞最終候補作に選ばれた『今日、きみと息をする。』で作家デビューし、テレビアニメ化された『響け! ユーフォニアム』が大ヒットしている武田綾乃による吉川英治文学新人賞受賞作。武田の著書の中では初の実写化となる。

南沙良演じる主人公は、学校に通いながら朝から晩まで寝る間もなくアルバイトや家事に追われる、“フツー”とはかけ離れた生活を送る宮田陽彩。母親から暴力は振るわれず、暴言もないが、ただ「愛している」という言葉で縛られ、緩やかな絶望と人生に対する期待のなさの中で生きている。そんなある日、同じバイト先の同級生・江永雅と出会うことによって陽彩の人生は大きく変わっていく。

監督と脚本を務める井樫彩は、2016年公開の短編映画『溶ける』で日本人最年少での第70回カンヌ国際映画祭シネフォンダシオン部門の正式出品を果たし、その後も映画『真っ赤な星』(18)、『NO CALL NO LIFE』(21)、『あの娘は知らない』(22)ほか、ミュージックビデオやドラマ『隣の男はよく食べる』(23)などで注目を集める若手映画監督。オリジナル作品をフィルムライクな映像表現で描きながら、若者たちの言葉で表現しづらい心情を映像化する手腕は本作でも顕著に見ることができる。

長編映画4作目となる本作について、井樫は「映画にはならないような、劇的とは程遠い、表現という手段からこぼれ落ちてしまうような小さな小さな傷や痛み。それらをこぼすことなく映画に閉じ込めたい、と思いながら制作しました」と語り、「だって、学生の時にわたしは陽彩と同じく“わたしの苦しみは大したことじゃないんだな”と思ったから。でも、苦しみや痛みは、大きさで測れるものではないし、誰かと比べるものではないと今はわかっている。 “愛されなくてもいい”と言いながらも他者の手を取り、握ってしまうような……『心』は一辺倒ではない。愛も苦しみも、とてもグラデーションのあるものだと思うから」と自身の思いを重ねた。

映画『愛されなくても別に』より南沙良
©︎武田綾乃/講談社 ©︎2025 映画「愛されなくても別に」製作委員会

また、主人公・宮田陽彩を演じる南沙良は、三島有紀子監督作『幼な子われらに生まれ』(17)で鮮烈なデビューを果たし、その他『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』(18)で報知映画賞やブルーリボン賞など数々の映画賞を受賞した経歴を持つ。そんな南の魅力を井樫は、「南さんとご一緒するのはABEMA短編映画『恋と知った日』以来、2度目でした。 彼女の魅力はたくさんありますが、その1つは内に秘めた感情を実感を伴って表面に出すことが出来ること。陽彩という心の中でさまざまな感情が渦巻いている主人公を、言葉少なくとも繊細に表現してくれました」と語った。

南沙良(主演)コメント
お芝居している中で、自分が不幸であることを他人との物差しとして用いてしまう陽彩を抱きしめてあげたくなりました。
誰かと出会うこと、何かを失うこと、なにかを信じること。
ただ生きることがこんなにも難しいこの世界で、未来を見ることが出来なくても、今を生き抜く力を持てたら、と強く思えた作品でした。

井樫彩(監督)コメント
あらすじから暗くて重い話なのかと思われがちなのですが、決してそれだけの物語ではありません。
苦しんだり傷ついたりしながら、だれかの手を振り払ったり…ときに手を取ったりして
力強く歩んでいこうとする陽彩と雅という、ふたりの人間の物語です。
ふたりに会いに、ぜひ劇場にお越しいただけたら嬉しいです。

佐藤慎太朗(プロデューサー)コメント
社会問題をテーマにした題材はどうしても重たくなりがちですが、武田先生の描くこの物語にはそれだけではなく、作品全体を包み込む不思議なポップさがありました。
原作が持つその独特な世界観を大切にし、なおかつ鑑賞後に清々しさを与えられるような映画にしたいと、井樫監督にこの企画を持ち込みました。
同年代で同じ時代を生きてきた井樫さんとだからこそ、この映画が作れたと思います。
生きていくうえで不安や悩みはつきものですが、登場人物たちの勇気が、誰かに寄り添い、救うことを願います。

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作品情報

愛されなくても別に

愛されなくても別に

2025年7月4日(金)新宿ピカデリーほか全国公開
配給:カルチュア・パブリッシャーズ

キャスト&スタッフ

出演:南沙良 他
監督:井樫彩
原作:武田綾乃『愛されなくても別に』(講談社文庫)
脚本:井樫彩/イ・ナウォン
企画・プロデュース:佐藤慎太朗
製作幹事・制作プロダクション:murmur

俳優。2002年6月11日生まれ、東京都出身。
映画『幼な子われらに生まれ』(2017年8月公開)で女優デビュー。翌年の初主演映画『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』(2018年7月公開)で、報知映画賞、ブルーリボン賞他、数々の映画賞を受賞し、その演技力が高く評価される。近年の出演作に、映画『女子高生に殺されたい』、主演映画『この子は邪悪』、Netflixシリーズ「君に届け」、NHK大河ドラマ『光る君へ』などがあり、現在は、DMMTVオリジナルドラマ『外道の道』が配信中。

1996年、北海道出身。学生時代に制作した『溶ける』(2016年)が、第 70回カンヌ国際映画祭シネフォンダシオン部門正式出品。初長編映画『真っ赤な星』(2018年)で劇場デビュー。他監督作に山戸結希プロデュース『21世紀の女の子/君のシーツ』(2019年)、TVドラマ「荒ぶる季節の乙女どもよ。」(2020年/MBS・TBS系)、TVドラマ「復讐の未亡人(2022年/Paravi・テレビ東京)、ホリプロ創業60周年記念映画『NO CALL NO LIFE』(2021)など。映画やドラマに囚われず、マカロニえんぴつ『恋人ごっこ』MV、PARCO、GUCCIのショートムービーなど幅広く活動している。

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