崖っぷちバンドの奮闘を描く映画『ザ・ゲスイドウズ』で主演
「ようやく俳優をやっていく準備が整った」夏子が迎えた新章、畑違いの仲間と手にしたものとは
2025.03.07 18:30
2025.03.07 18:30
自由な人たちと出会って私も自由になれた
──ハナコは“ロックスターは27歳までに死ぬ”というジンクスを信じていますが、夏子さんはもしあと1年しか生きられないとしたら、どのように過ごしますか。
自然に帰ろうと思います。都会は捨てて、それこそ田舎に行こうかなと。自給自足をしながら、残り1年を暮らしていきます。家族がサーフィンをやっていることもあって、幼少期は毎週海に行ってキャンプをする生活を送っていました。だから残り1年ならその生活に戻りたいなと思います。
──あ、自然に帰るってリアルに(笑)。
はい。リアルに帰ろうと思います(笑)。

──夏子さんご自身は、ピンチやスランプに見舞われた時どのように乗り越えるタイプですか。
本当は煮詰めて考えてしまうタイプですが、最近ようやく他のことに目を向けられるようになってきました。例えば、ピンチやスランプの対象からは一歩離れて生活を楽しんだり、経験したことのないことに挑戦してみたり。打開策が「突き詰めること」ではなくなってきました。この作品を通して、違うフィールドで活躍している方たちと一緒にものづくりをできた経験が大きく、すごく視野が広がりました。本当にこの映画の皆さんと出会えたおかげです。
──では、これまで夏子さんはザ・ゲスイドウズのように「崖っぷちだな」と思った瞬間はありますか。
えー、今かな?
──今ですか? じゃあこの作品が今の夏子さんを支えてくれてるみたいな?
そうなんです。良い答えになりました(笑)。
ようやくこれからがスタートなんだと思えてきました。俳優をやっていくにあたって、やっと準備が整ったような気がしています。そう思うきっかけをくれたのが、この作品です。この映画を通して自由な人たちと出会えたおかげで、私も自由になれました。
バンドメンバーのRocko(サンタロウ役)は日本にいないのでなかなか会えないですが、他のお二方(今村怜央・喜矢武豊)とはよく会っていて、本当に良い気をもらっています。本当に素敵な方たちで恩人です。

──ハナコはバンドメンバーに曲のアイデアを与えたりしますが、夏子さんはプライベートで友達といる時はどういうポジションにつくことが多いですか。
どういうポジションなのかも分からないですが……聞き手ですかね。
──友達と「どこか行こう!」ってなった時に率先してアイデアを出したりは?
完全に受け身です。だから連れ出してくれる友達が必要です(笑)。お二方は連れ出してくれます!
──ザ・ゲスイドウズの楽曲「私のはらわた」には「私は血反吐を吐いてしょうもないものを作る」というものづくりに関する一節がありますが、夏子さんはこの歌詞のようにストイックに突き詰めるタイプですか。それとも楽しさを忘れないよう心がけるタイプですか。
“楽しむこと”と“血反吐を吐いて頑張る”というのは同じことだと思っています。この映画がそう教えてくれたと本当に思っています。この作品がクランクアップした時に、「この先、人生や仕事において腐りそうになった時、この現場での経験と思い出があれば100%ピュアに生きていけると思います」と話しました。撮影から1年程経ちましたが、この映画での経験や思い出が自分を救ってくれた場面がたくさんありました。それは楽しむことも苦しむことも同居していて。この先も私が生きていくうえで、お守りみたいな存在の作品だと思っています。
──ちなみに、撮影中に聴いていた楽曲って何かありますか。
COLIN STETSONの「The Stars In His Head」はこの映画の撮影時でも、他の現場でも、集中力を高めてくれる音楽としてよく聴いています。『WAVES ウェイブス』という映画の劇中歌で使われていて、それがきっかけで知りました。その映画の中では、主人公にとある転機が訪れたときにこの曲が流れていて、聴いているとグーーーっと集中していくような何かがある、ちょっと不思議な音楽です。ここ数年はいつも撮影前に聴いています。
──そういえば、ハナコたちが飲んでいるお味噌汁がとても美味しそうでした(笑)。夏子さんは好きなお味噌汁の具はありますか。
あおさ一択です。台本を最初に読んだ時に感じた、ハナコとの一番の共通点は味噌汁が好きなことでした(笑)。味噌汁が好きなの最高だと思いました。
