2025.02.02 17:30
2025.02.02 17:30
なりたいのは、自分の正しさを貫ける大人
──詩森ろばさんの脚本についても聞かせてください。私たちが普段見ないようにしている社会の矛盾や歪みを炙り出すような脚本ですが、読んでいて共鳴するところはありましたか。
おっしゃる通り見ないようにしていることとか、自分一人ではどうしようもできないと思って諦めている問題について描かれていて。あの教室で起きる出来事は、日本という大きなスケールで見たらどれも小さなことかもしれないですが、それを一つ一つ解決していくことで、日本全体が変わっていくんだと感じさせてくれる脚本で、すごく面白いなと思いました。共鳴というよりは、私たちも何か行動を起こすことができるんだって奮い立たせてくれるようなお話ですよね。
──蒔田さん自身も一人の大人として、今の社会についておかしいなと感じることはありますか。
あります。ありますけど、すごい深い話になっちゃうからなあ(笑)。でも、私たちは世間に向かって声を上げられる存在ではあるので、誰かが動き出すのを待つだけでは良くないんだなと、今回の脚本を読んで感じました。
──蒔田さん自身は、自分の考えを自分の言葉で伝えていきたい人ですか。それとも作品や役を通してメッセージを伝えるほうがしっくり来る人ですか。
役を通してのほうがいいですね。保身ではあるんですけど(笑)。
──いえいえ。そんなことはないです。
今回の台本を読んだとき、あまりにも大胆な設定すぎて、最初は本当にこれできるのかなと思ったんですよね。でも、みんなで撮影をしていく中で、絶対にこの作品をたくさんの人に届けたいという気持ちが強くなっていって。そういう作品に参加できることは、役者として幸せだなと思います。
──蒔田さんは今、22歳。同世代の人たちもみんな社会に出ていく年齢になりました。大人としての責任を改めて感じるところはありますか。
そうですね。20歳を過ぎた頃から、ちゃんと自分のことは自分で責任を持たなきゃと考えるようになりました。どこで誰に見られているかわからないので、いつ誰に見られても恥ずかしくないようにマナーを守らなきゃとか、そういうこともより意識するようになりましたし。
──今のご自身の大人度を自己採点するなら何点ですか。
45点です。
──その45点は自分のどこを評価して?
ちゃんと働いてる!(笑)
──大事です(笑)。では残りの55点の部分は何が足りないからですか。
やっぱり周りが先輩だったり大人の方ばかりなので、つい甘えている部分もあるのかなって。でもまだ甘えていていいのかな、まだ勉強させてもらう時期なのかなって、自分のいいように解釈しています(笑)。
──子どもの頃からお仕事をしていた蒔田さんにとって、10代の頃は大人ってどういうイメージでした?
子どもの頃のほうが尊敬はありましたね。どちらかと言うと、20歳を越えて、実際に大人として扱われるようになってから、大人ってこういう感じなんだなって思うようになりました(笑)。やっぱり子どもの目から隠されている部分ってあるじゃないですか。それが大人の仲間入りをして見えるようになったところはありますよね。
──そういうことも見えてきた上で、蒔田さんは今どんな大人になりたいですか。
自分の正しさを貫ける大人ですね。これが正しいと思ったら、同じ意見の人にちゃんと同調できたり守ってあげられる大人になりたいです。
──蒔田さんの思う「正しさ」ってなんですか。
羞恥心を捨てて優しくできること、ですかね。人に親切にするのって勇気がいるじゃないですか。つい変に恥ずかしがっちゃうところがあって。でも、そういう羞恥心はいらないなって思います。
子どもの頃からお仕事をしていると、すごく周りが優しくしてくださるんですよ。その人たちのおかげで続けてこられたので、今度は自分がそれをちゃんとできる大人になりたいです。
──逆に言うと、特別扱いされることの多い子役という時期を経て、ちゃんと感覚がバグらずに大人になれたことがすごいと思います。
それはやっぱり母のおかげですね。小さい頃からこの仕事に対して「特別なことじゃない。やらせてもらっているんだよ。だからちゃんと感謝しなさい」と教えられてきたので。母の影響は大きいです。
母はそういう人として大切なことはたくさん教えてくれましたが、私のお芝居に対して口を出すことはまったくなくて。今でもずっといちファンとして私のことを追いかけてくれるので、すごくありがたいなって思います。
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