2人が語る“本当の怖さ”、新鋭監督が追求したリアリティとは
「これが見たかったホラーなのかもしれない」近藤亮太監督×森田想が初タッグ作に懸ける自信
2025.01.24 18:00
2025.01.24 18:00
ホラーは本当にいろいろあるから演じる分には楽しい
──森田さんはホラーは苦手ということですが、根強い人気がある理由を分析すると?
森田 うーん。……刺激ですかね(笑)。
──(笑)周りにホラー好きはいたりしますか?
森田 います。ホラーに出た時だけめっちゃ感想を伝えてくれる友達もいますね。これまではお化け屋敷が実写化したみたいなイメージをホラー映画に持っていたので、『ミッシング・チャイルド・ビデオテープ』に携わらせていただいたことで認識が変わった部分はあります。ホラーに対する固定概念を持ってる人も一定数はいるとは思うんです。でも、一言でホラーっていってもいろいろなホラーがあって、脅かし方も対象への近づき方も本当にいろいろある。だからこそ演じる分には楽しいんですよね。だけど、まだ映画館に見に行く勇気はなくて「金曜ロードショー」を見るぐらいですかね(笑)。もう少しホラーに出ないと無理かもしれないです。『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』は見る前にホラーだと思っていたので見るまでにすごく時間がかかったんですけど、実際に観たら全然ホラーじゃなかった。ホラーって言われると怖いものっていう風に思っちゃいますよね。
近藤 どういうホラーで何が起こるのかっていうこともわからないしね。
森田 そうですね。見てみないとすごく怖いのかそうでもないのかわからないからすぐには見れないですね。
──『ミッシング・チャイルド・ビデオテープ』は登場人物の背景やキャラクター設定がすごく丁寧に描かれていて、怖さとは別の没入感がありますが、どんな意図があったのでしょう?
近藤 リアリティを追究するためっていうのはひとつあります。僕が通っていた映画美学校の講師でもあり、助監督をやらせていただいたこともある三宅唱監督の影響が強いですね。三宅監督の脚本にはどんなに小さな役でも何かしらの背景情報が書かれていると聞きますし、とても丁寧に一人ひとりのキャラクターを描きます。自分もそういうことがやりたいと思っているので、キャラクターのバックボーンをなるべく真剣に考えてます。その情報を劇中でどこまで出すかは物語の進行上の都合に左右されますが、対俳優に対しては背景情報をちゃんと伝えて共有した上で作っています。
──監督にとって究極のホラー映画を1作挙げるとすると?
近藤 ……多分まだ見てないと思います。もちろん挙げようと思えば『リング』をはじめ、いくらでもすごいホラー映画はあるのですが、もっと怖いものに出会いたいという気持ちが強くあって、実現する一端になれればいいなと思っています。
森田 未来が楽しみです。ホラーだけを撮っていくんですか?
近藤 いや、そんなことはないですね。ミステリー小説ばかり読んでいるのでミステリーもやりたいです。いずれにせよジャンル映画にはなると思うんですが、機会があればいろんなジャンルの作品を撮りたいですね。
──ホラー映画監督と言われることには抵抗がないとおっしゃっていましたよね。
近藤 そうですね。ホラーは撮り続けたいと思っています。海外だとジェームズ・ワン監督のようにホラーも撮ってるけど『ワイルド・スピード』も撮ってるような監督がいっぱいいますが、日本はあまりそういうことをやる人がいないので、自分がそうなれたらいいと思っていますね。ホームができればどんなジャンル映画でもできるということを証明する存在になれたら嬉しいです。
──監督は“観る側”としてもホラーファンの心を掴んでいますが、2025年に公開されるホラーでライバルになりそうな作品はありますか?
近藤 まず1つは僕のスマホの待ち受けにしてるんですけど、ようやく日本で公開が決まった『スキナマリンク』っていう映画です。百何十万とかの低予算で何億円だかの興行収入を記録したホラー映画なんですが、予告編を見る限りかなりすごそうなんです。あと、僕自身影響を受けているんですが、背筋さんが書かれた『近畿地方のある場所について』っていう2023年から2024年にかけて大ヒットしている小説が、白石晃士監督が手掛けられて映画版化されるので期待しています。
──では、海外エンタメがお好きな森田さんにもお聞きします。『辰巳』でインタビューさせていただいた時はお気に入りアーティストとしてFly Be Midnightをおすすめしていただ来ましたが、最近のおすすめは?
森田 Netflixの『HEARTSTOPPER ハートストッパー』というドラマがあるんですが、タオ役を演じているウィリアム・ガオという俳優が妹と一緒にWasia Projectというバンドをやっていて、その最新作『Isotope』が良いです! 最近のおすすめだとそれですね。
場面写真、メイキング写真 ©︎2024「ミッシング・チャイルド・ビデオテープ」製作委員会