アルバムの曲順は全部自分で並べ替えた

_{──歌詞のどのあたりに和田さんらしさを感じました？}

初っ端の歌詞に、「本当の自分なんて誰にも見せるわけないだろう」というフレーズがあるんですけど、傍からはそういう風に見えてるんだなって思いましたね。自分の思いや野望って、他の人に言うことはないんですけど、僕の中にはずっとふつふつとあるんですよ。オムくんは僕と出会った時のことを、ギラギラ感が他の人とはレベルが違ったって言うんですよね。この世界で売れてやろうっていう野望が強くて、他の人とは目が違ったという印象が強かったみたいで。その後、プライベートでも仲よくなって、今や事務所も同じなんですけど、仲間として自分はこうしていきたいという話を打ち明けたら「やっぱりそうなんだね」と。もちろん全部を話したわけではないんですけど、僕が言ったことだったり、オムくんが僕に感じたことを歌詞にしてくれているんだな、というのは感じました。

_{──そのギラギラ感は伝わっている気がします。}

本当ですか？ 僕自身、そういったところも自分から発信していく方ではあるんですけど、それだけじゃなくて……。僕って割と秘密主義というか、自分の感情を全部さらけ出すことはあまりないんですよ。例えば、怒りや悲しみというジャンルとして感情は出ちゃってるかもしれないけど、それがどうしてなのか、というのは発信したくないんです。例えばさっき言ったギラギラしている理由は僕にしかわからないじゃないですか。そういうところをオムくんが歌詞にしてくれたと感じました。

_{──近しい人だからこそ書ける歌詞なんですね。}

まさにそうだと思います。

_{──今回のアルバムでは蒼井翔太さんとコラボしていますが、どういう経緯でコラボすることになったんですか？}

ドラマ『REAL⇔FAKE』で初めて出会って、プライベートでも仲よくさせていただいてるんです。翔太くんはアーティストとして一流の方なので、自分がコラボしてもらうなんておこがましいですけど、可能であれば一緒に曲をやってみたいですと伝えたら一発でオッケーしてくれて、今回コラボすることになりました。『REAL⇔FAKE』で共演していた時から思っていたのは、一流のアーティストに「うまい」という言葉は失礼かもしれないですけど、それでも本当にうまいですし、翔太くんの音楽って聴く人に寄り添ってくれるんですよね。それでいてご本人の想いはしっかり伝わってくるので、アーティストってすごいなって当時から思ってました。今回もまさにそんな気持ちで、レコーディングでは翔太くんの声を聴きながら歌いました。

_{──蒼井翔太さんからは和田さんが歌手デビューすることについてはなんと言われましたか？}

この前お会いした時に聞いたんですけど、『REAL⇔FAKE』で共演した時から「この人は歌をやったほうがいい」と思ってくれていたそうなんですよ。うまい下手といった優劣はつけようと思ったらいくらでもつけられるけど、醸し出す空気だったり、世界観がもうアーティストだったよって。それはすごくうれしい言葉だったというか、ライブで歌を歌っている人がそう思ってくれていたということに勇気づけられましたね。

_{──このアルバムを作るうえでどんな作品にしたかったのか、アルバムを作る上で考えていたことはなんですか？}

『Raise』というタイトルには「上げる」とか「高める」とか「育てる」という意味があって、このアルバムを聴いてくれた人の気持ちが上がったり、人生がいい方向に向いていけば、という意味を込めてこのタイトルにしたんですよ。収録曲も背中を押してくれるようなものが多いので、僕も含めて、このアルバムを手にしたことで、みなさんの人生がいい方向に変わってほしいという気持ちを込めて作りました。少なくとも僕自身の人生は間違いなく変わるだろうし、変わっただろうし。このアルバムをやってなかったらまた違う人生を歩んでいたと思うけど、やるという選択肢を取った時点で僕の人生におけるサイコロの目が変わったわけで。さっきもお話したギラギラ感じゃないですけど、僕は売れるということをずっと掲げてきたので、自分の中でも「Raise」していく、上がっていかなきゃという思いで制作したアルバムですね。

_{──今回のアルバム制作の中で和田さんがアイディアを出したり意見を通した部分はありますか？}

アルバムの曲順ですね。最初は違う順番で提案されたんですけど、全部自分で並べ替えさせてもらいました。アルバムの1曲目は、最初は「Raise」だったんですよ。最終的には13番目に収録されているんですけど。インストゥルメンタル、つまり歌がなくてメロディーだけの曲で、これは言うなればライブに向けて作っていただいた曲なんですよね。ライブが始まる前って音楽が流れるじゃないですか。そういう時にかける曲で。アルバムでも、最初に「Raise」を聴かせてみんなの気持ちを上げていくというスタイルだったと思うんですけど、僕からお願いして最後にしてもらったんです。

その理由は、たまたまサブスクでこのアルバムを見つけた時、1番最初の曲がインスト曲だと飛ばされるなと思ったんですよね。1番目の曲は歌詞があった方がいいだろうということで「Brand New World」にしました。自分的にもこのアルバムを作ることで世界が広がったし、これから新しい世界が始まるよという意味も込めた曲から始まり、「Now Loading」では今、まさに僕が歌手という活動を自分の中に取り入れているということを表現して、さらに僕のアーティスト人生が始まった「Dice」につながって……。いろんな思いがあって、この順番にしましたね。

_{──サブスクで聴く人のことまで想定して曲順を考えたということですよね、すごいですね。}

いやいや。今や音楽はSNSで広がっていくものですから。そういういろんなところにアンテナを張っていかないとなっていう。ある意味、僕はアルバムを作ることに対してのセオリーがなくて。本来だったらおそらくこの「Raise」を1番目に持ってくるのがセオリーだと思うんですよ。でも、せっかくアルバムを作らせてもらうんだったらという気持ちで僕から意見を出させてもらって。それに、そういった意見を受け入れてくれる方たちが周りにいるというのが強いですよね。僕に対して寛容というか、「和田さんがそう思うんだったらそれで行きましょう」って後押ししてくれる方たちと一緒にアルバムを作れたというのは、僕にとって大きかったですね。もしかしたら違う形ももっともっとあるかもしれないですけど、今自分が感じたものを受け入れてくださる方たちなので、それはすごく助かりますし、ありがたいですね。