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INTERVIEW

空音央監督作『HAPPYEND』で鮮烈な映画デビューを飾る

栗原颯人×日高由起刀、人生と交差する物語で踏んだ俳優の第一歩

2024.10.07 18:00

2024.10.07 18:00

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大きな決断をした二人は美しいと思う

——この映画を経て、繋がりや友情に関する概念が変わりそうだなと思いました。

栗原 その捉え方は、改めて考えさせられたなってすごい思います。同じ景色を見てたとしても考えていることは全然違ったり、当たり前ってわかってはいるけれど、少し悲しいなって思う部分もあるんです……でもそういうのを大事にしていくべきだし、それが人間の成長に繋がるんじゃないかなと思うので、友達はやっぱり大切にしようって思いました。

日高 僕は高校で遠くに行ったり、陸上を辞めて環境を変えたりしたので、同じメンバーでつるむみたいなことはなくて。どっちかと言うとずっと一緒にいたメンバーが僕に対して思うことが多いかもしれないですね。この年齢の子達はいろいろと思うことがあるから簡単に関係も切れますし、相手に対して何を感じるか、共有したら壊れちゃうけれど共有しなければ繋がれるというなんとも言えないこのバランス。友人に対してだったり、家族だったり、大切な人にだったり、いろんな人間関係に必ずあるものだなと、そこを作品を通して大きく感じました。

栗原 僕も地元が新潟っていうのもあって、高校の友達とかはみんな安定職に就いていて。僕だけ東京に出てきた感じなので、ある程度思っていたことは違ったんだなっていうのもあるんですけれど、でもお互いリスペクトがあったから今でも付き合いがあるし、思うことがあっても「相手はこう思うんだ」ってお互いわかっていればずっと続くんじゃないかなって思います。

——この映画を全て観て、これで『HAPPYEND』か……と驚いて。いろんな“ハッピー”の形が“エンド”に向かっていく、これからエンドしてしまうんじゃないか、みたいな捉え方もできて。描かれている世相も今よりさらに良くないですし……お二人にとってこの映画はハッピーエンドでしたか?

日高 映画を観たいち観客としては、僕はハッピーエンドなんじゃないかなと思いました。青春の儚さだったり、友情のもろさだったり、いろいろな感情が入り混じるこの作品で、最終的に年頃の二人が大きな決断をするっていうのは美しいものなんじゃないかなって。二人の今後の人生に対してプラスなことだったって考えたらハッピーエンドかなと思います。演じていく中では、コウの気持ちにはもどかしさがあって、全然ハッピーじゃないなって思うんです。でも作品としては、言い切るのもすごく変ですけれど、どちらかと言えばハッピーエンドなんじゃないかなって。

栗原 僕もハッピーエンドだと思います。楽しいことばっかりやっていて何も考えていなかったところから、友達との関係でちゃんと考えるようになって、周りがどんどん動いてる中、一人で考えて決断を出せたあの成長は絶対にハッピーだと思うんですよ。だから……ユウタから見た視点だと僕はハッピーエンドだと思います。

——『HAPPYEND』って言葉に対していろいろ考えの種を植え付けてくれた時点で、ハッピーなのかもしれないですね。あと、本作では劇中で今よりさらに進んでしまった監視社会が描かれています。お二人は今の社会とどう向き合っていますか?

栗原 SNSの普及とかそういう監視社会ってすごいネガティブだなと思っていて。誰かが誰かのことをずっと見てるみたいな。常に他人の目を気にしなきゃいけないのは、それこそ僕らが表舞台に立つ人間として考えなきゃなって思うんですけれど、一般の人たちも誰に見られているかわからないというのを常に抱えながら生きているってすごいストレスだなって思うし、良くないなとは思いつつ、見てしまうなって(笑)。難しいなっていつも考えているんですけれど、ちょっとでも自分自身のことを見てみんな生きていけたらいいのかなと思っています。

日高 生きづらさみたいなのは誰でも感じていると思います。自分たちは表に立つ人間として、肩身が狭くなっていくことになるかもしれないですけど……まあ僕らが言って何か変わるっていうことは相当難しいことですけど、でもおかしいものはおかしいって言えるような、自分の意思を持って活動をしていけたら少しでも変わるのかな。

映画『HAPPYEND』より

──本作を経て、お二人は今後のキャリアをどう考えていますか?

日高 漠然でもいいですし、何か言葉に表せないものでも、「日高といえばこうだよね」みたいなものを持っていればすごく強みになると思っています。でも目指すというよりは着々とキャリアを踏んでいく上で、身につくものなのかなって。人生においても、俳優としても、仕事を通して成長できればいいなと思います。

栗原 同じように、僕がやるから意味があると感じてもらえる役者になりたいなと思っているので、それこそ人生についても考えながら役に向き合っていけたらいいなって思います。

——DJユニット結成ではなかった(笑)。

日高 あ! えっと、DJユニット結成です!

栗原 結成です!(笑)

——じゃあ最後、料理が趣味のお二人に得意料理を聞いて締めさせてください。

栗原 ナポリタンです!

日高 クリームパスタ……パスタ被りで(笑)。イタリア行ってきたので。

栗原 ナポリタンは日本料理だから(笑)。

『HAPPYEND』場面写真 ©︎ 2024 Music Research Club LLC

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作品情報

HAPPYEND

©︎ 2024 Music Research Club LLC

©︎ 2024 Music Research Club LLC

HAPPYEND

2024年10月4日(金)新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国公開
日本・アメリカ/2024/カラー/DCP/113分/5.1ch/1.85:1/PG12
配給:ビターズ・エンド

公式サイトはこちら

キャスト&スタッフ

出演:栗原颯人 日高由起刀 林裕太 シナ・ペン ARAZI 祷キララ 中島歩 矢作マサル PUSHIM 渡辺真起子/佐野史郎
監督・脚本:空 音央
撮影:ビル・キルスタイン
美術:安宅紀史
音楽:リア・オユヤン・ルスリ
サウンドスーパーバイザー:野村みき
プロデューサー:アルバート・トーレン、増渕愛子、エリック・ニアリ、アレックス・ロー アンソニー・チェン
製作・制作: ZAKKUBALAN、シネリック・クリエイティブ、Cinema Inutile

1999年12月29日生まれ、新潟県出身。抜群のスタイルを活かしモデルとして活躍。多数のCMやMVにも出演中。オーディションで大抜擢され、映画『HAPPYEND』でスクリーンデビューを果たす。特技はボクシングと卓球。

日高由起刀

アーティスト情報

2003年9月30日生まれ、大阪府出身。韓国語が堪能で、日本と韓国の2拠点でモデルとして活躍中。演技未経験ながら映画『HAPPYEND』のオーディションで大抜擢され、スクリーンデビューを果たす。特技は陸上。

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