関根勤のマニアック映画でモヤモヤをぶっ飛ばせ! 第20回
何度観ても飽きない!ブラッド・ピット主演の傑作コメディアクション『ブレット・トレイン』
2024.05.04 12:00
2024.05.04 12:00
作品をより一層盛り上げるさまざまな要素
本作の“笑い”の中心にいるのは、やはりレモン(演:ブライアン・タイリー・ヘンリー)とタンジェリン(演:アーロン・テイラー=ジョンソン)だと思います。彼らの面白さっていうのは、普段指令を受けている中で自分たちは一流だと思っているのに、今回の指令に関しては全然全うできない、むしろそれを誤魔化そうとするところなんですよね。かっこ悪いんですよ(笑)。主人公に翻弄されたり、女の子に騙されたり。例のペットボトル視点の映像も予想外すぎて面白かったなあ。そうそう、真田広之さんもかっこよかったです。
そして何より本作の見どころは、新幹線の中でのアクションシーン。車中って狭いから難しいし、通路も細かったですよね。ちょっと格闘がジャッキー・チェンのアクションに似ていました。だからすごく楽しい。戦うシーンもコメディっぽいし、映画自体がすごくユニークで凝っていると感じました。それもこれも、やはりブラピ演じる主人公の設定が効いていると思うんですよね。彼は「おいおい、ちょっと話し合おうよ」ってスタンスだし、銃が嫌いで人を殺したくないという前提がある。ちょっと弱気で優しいってところが良いんですよ。普通の映画みたいにパンパン撃ち合って殺し合えば、すぐに物語は終わっちゃうけどそういうことをしないって点が素晴らしい。“殺さないようにするのを頑張る”、ってところが映画のキーポイントになっているんです。
なんと言ったって、あの『ジョン・ウィック』の監督デヴィッド・リーチが手がけた作品ということで、見応え満載。『ジョン・ウィック』は銃の撃ち合いが多かったのに対して、本作は拳と拳を交える戦いが多かったのが良かったですね。そして謎解き要素とコメディ要素あり。結構細かい伏線もたくさんあるから、観て面白かった人はもう一回観てほしい。そして、何度観ても飽きない作品でした。