『青春18×2 君へと続く道』公開記念リレーインタビュー #3
「人はいくつになっても青春の中にいる」台湾の人気俳優シュー・グァンハンが旅を続ける理由
2024.05.06 17:00
2024.05.06 17:00
出会いと出来事すべてが欠かせない栄養素
──では、俳優として成功してからの苦労というのはどういうものなのでしょうか。
基本的にはとても幸せです。こうして、やりたい仕事をやらせていただけている今の自分は幸せ者だと自分でも思います。
とはいえ、やはり注目されればされるほど、責任は増します。自分に対するハードルも上がる。そうすると、自分の心の中というのはより複雑に、よりセンシティブになっていくんですよね。
たとえば、周りのみなさんは僕のことを「いいね、いいね」と言ってくださる。その言葉はもちろんとてもありがたいものです。でもその反面、僕の中にいるもう一人の自分が言うわけです、本当にそんなにみんなが言ってくれるほど僕は良かったのかと。そういう自問自答が延々と続いていく。
もっと俳優として良くなりたい。もっといい作品をつくりたい。その気持ちは尽きることがありません。そんな自分に対するハングリー精神と向き合いながら、この仕事を続けていくわけで。精神が削られることももちろんあります。その消耗具合はやっぱり俳優として世に出る前とは比べものにならない。そういう意味では、心の苦労というのは昔より今の方が大きいかもしれません。
──グァンハンさんにとって、青春とはいつですか。
6歳のときです。
──随分とお若い(笑)。
(日本語で)冗談です(笑)。
僕は青春というのは心の中にあるものだと思っていて。いくつになっても、その人がそう思うなら、ずっと青春。若くても、年をとっても、人は青春の中にいるのだと思います。
──物語の舞台となっている2006年頃のお話を聞かせてください。グァンハンさんは16歳ぐらいでしょうか。どんな男の子でしたか。
毎日スポーツをやっていて、汗臭い男の子でした(笑)。スポーツは子どもの頃からずっとやっていて。小さい頃は卓球。高校のときはよくバスケをやっていました。だから、体を動かすことが今でも習慣になっているんですよ。おかげで体力は人よりある方だし、この仕事をする上でも役に立っています。
──16歳の頃、どんなことに悩んでいましたか。
自分はどんな大人になるんだろうと考えていましたね。というのも、その頃の僕には、周りの大人がみんな嫌な人に見えていて。大人が嫌いだったし、自分が大人になるのも嫌でした。
──その頃の自分に、今のグァンハンさんから声をかけるとしたら何と言ってあげたいですか。
「この若造め、世の中のこと何もわかってなかったな」です(笑)。やっぱり子どものときって何にもわかっていないんですよね。ただ、直感で好き嫌いを判断している。でも、年をとるにつれて、いろんな人と出会い、いろんな出来事を経験し、あらゆるものから影響を受けてくる。そうすると、世の中がそれほど単純ではないことに気がついていくわけです。
今回のこの映画もそうですが、僕は旅も人生も同じものだと思っていて。旅を通じて、いろんなことを経験することで人は成長するように、生きていく中で出会った人と出来事のすべてが自分の人生の欠かせない栄養素となる。
そう考えると、やっぱり16歳の頃の僕は世間知らずでした。だから、「若造」と言ってやりたいです(笑)。
──ありがとうございました。最後にちょっと聞いてみたいのですが、今日のお衣装はグァンハンさんご本人がセレクトされたのだとか。コーディネートのポイントは何ですか。
コーディネートのポイント? 僕の顔です。
──その通りですね(笑)。
あはは。(日本語で)冗談です(笑)。
映画『青春18×2 君へと続く道』場面写真 ©︎2024「青春18×2」Film Partners