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2023.11.12 16:00
MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)も今やそのフェーズは“5”へと突入。時系列で言うと今はどの辺なのかだったり以降の予定はどうなのかだったりは検索していただきたいのだが、今作『マーベルズ』のラストに一手、そしてメインのエンドクレジットからのミッドクレジットにもう一手と、今後の展開に大きく関わるであろうその起点が示唆されている。まあこれは最早MCUファンからすればお馴染みの手法なのであるが、それにしたって今回はちと意味合いが違うのだ。
何せ本編ラストは×××が×××で×××と×××って事は新たなる×××世代の×××が……。
ここで筆者は心中にて快哉と悲嘆を上げる。
でもってメインのエンドクレジット。少し話は逸れるが個人的にはMCU諸作のメインクレジットが大好きだ。本編のキャラクターの名シーンを切り取ったダイナミックな一枚絵を背景にばばんと映し出される演者の名。日本古来の名乗り口上にも似たケレン味たっぷりの演出に毎度毎度えも言われぬ快感に襲われるのである。
そしてその後のミッドクレジットではなんとさらに×××が×××にいて×××と×××したって事はあの×××の世界線での×××が……。
心中の快哉と悲嘆の調節ダイアルがこれにて決壊。正直に告白すると“あっ”と声が漏れ出てしまっていた。(筆者は本記事のためにジャパンプレミアイベントに参加したのだが、すぐ近くで見ていた大倉士門さんやDJ KOOさんらイベントゲストらには聴こえていない事を信じたい。)
これ、本国では一体どんな迎えられ方してるんだろう。やっぱ大歓声と共にポップコーンその他各種加工食品とコーラその他各種清涼飲料水とビールその他各種アルコール飲料の雨嵐が降ったのだろうか、反応が非常に気になる。
筆者が上げた快哉の由縁は上記にてお察し下さいという訳なのであるが、同時に上げた悲嘆については、そう。
これが、書けない。
という事に尽きる。ネタバレ禁止だから。
前作『キャプテン・マーベル』が1人の人間であるキャロル・ダンヴァースがスーパーヒーローであるキャプテン・マーベルへと変容を遂げ、それを自覚していく物語だとすると、本作『マーベルズ』はスーパーヒーローであるキャプテン・マーベルが1人の人間であるキャロル・ダンヴァースを内包している事を他者(並びに過去)との関わりによって認め、それを抱きしめる物語である。
MCUのヒーロー達は揃いも揃ってメンタルに難ありな人物像が多く(ルーツを辿れば大多数が悲しい過去を持ちまくっており、自らが望んでヒーローになった物も殆どいないので然もありなんといった所ではあるが)劇中至る所での問題を抱えつつそれと人類の脅威への対処を同時にこなさなければならないという何とも過酷極まりない職業なので、基本精神状態は常に不安定で孤独。故に虚勢やハッタリなどで無理矢理自らを奮い立たせつつ、外には決してウジウジしている部分を見せたがらないのがお約束(アイアンマンことトニー・スタークなんかが代表格でデッドプールことウェイド・ウィルソンは例外(笑))で、そのウジウジを見せた相手、それを理解してくれた相手は高確率で危険な目に遭い、最悪の場合は死んだり自身がスーパーヒーローに覚醒(こちらも覚醒時点で背負う運命がお相手同様超過酷になる事がほぼ確定するのでどのみちしんどい……)したりする。
キャプテン・マーベルことキャロル・ダンヴァースはその自力が他のヒーローとは規格外な存在なので彼女の形容詞としてよく用いられるのが”最強”。『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』のラストにてメインヴィランであるサノスの“指パッチン”が発動、地球上の半分の生命が消滅せんとするその瞬間にニック・フューリーが最後の手段として連絡したのが彼女であり、続編の『アベンジャーズ/エンドゲーム』ではアベンジャーズが束になっても敵わないサノスをたった1人で相手取る無双っぷりを見せつける。基本的に口数は少なく任務に忠実な人物であり何でも単独行動で解決出来てしまう。(誰よりも強い上に誰よりも速いので惑星間の移動も身一つで瞬時に行い大抵の悪はワンパンチで処理してしまう。)
その超然とした佇まいからウジウジとは無縁と思われていたが、彼女も彼女なりにまた色々と問題を抱えていて、加えて今回なし崩し的にチームアップする事となる2人のキャラクターが彼女自身に潜むヒーローとしての人格と一個人としての人格に揺さぶりをかける。それに翻弄される様が実に“萌え”であり、そこを暖かく時に面白がりながらそして時には自分も振り回されるニック・フューリーも“萌え”でありキャプテン・マーベルシリーズのマスコットであるグロカワ猫のグースにも“萌え”る事が出来る、MCU屈指の萌え映画であった。
さらに言えばキャプテン・マーベルがMCU屈指の“ツンデレ(或いはクーデレ)”である事が明かされる作品でもあったのだ。
ヒーローとしての自身の熱狂的な“推し”であるミズ・マーベルことカマラ・カーンからの認知アピールにまんざらでもない姿。
親友の娘であり家族も同然のモニカ・ランボーと長らく向き合えなかったが故の慈愛と自責に揺れ動く姿。
その二律背反に向き合いつつ、超然とした中にも人間らしさが徐々に色づいていく姿。
という、基本クールなキャロルがカマラとモニカの前でだけは飾らない本来の自分でいる事を選択する(即ちこの2人の前でのみデレる)と言う大いなる萌えポイントを経てからネタバレとなる為に詳細は省くが、とある惑星に降り立った際に恥ずかしがりながらミュージカルをこなす姿が究極に
“萌えエエエエエエ!!!!!!”
であった。
大作趣向のMCU作品中最短の上映時間(105分)でありノリも比較的軽めで3人の位置が目まぐるしく入れ替わるという斬新な映像体験も出来て今後のMCUの重要な起点となるクレジットも観られて尚且つ萌えられるだなんてこりゃあ観ねえ手はねえですぜってな訳で映画『マーベルズ』は絶賛公開中。
余談ながら『RRR』の“ナートゥ”然りなインド映画に対するMCUからの回答的なミュージカルシーンのお相手として登場するのが眉目秀麗なるパク・ソジュン(梨泰院クラスなど)なのでそこにもワンモアタイムならぬワン萌えタイムである。ナイス追い萌えであり追い萌えサンキューであった。
そして毎回楽しみにしているMCUの劇中歌(往年のヒットソングを最高のタイミングでぶっ込んでくるのだ)であるが、今回のセレクトはビースティ・ボーイズの「Intergalactic」。こちらにも無論“燃え”た事も追記しておきたい。