2023.11.11 17:00
2023.11.11 17:00
自分の声がイケてるとは思わない
──ずっと前から吹替の仕事には憧れていたんですね。
憧れていましたね。そして意外にも、アニメ作品、実写版でも、吹替の仕事が続いているのはとても嬉しいです。
──「自分の声って結構いけるんじゃないか」って思った瞬間などあったんでしょうか。
それは全くなかったです。自分の声は嫌いだったんです。小学6年生の頃にいきなり声変わりしたんです。その声があまりにも低くて気持ち悪かった。初めてオープンリールに自分の声を吹き込んで聞いた時、「え?!これが俺の声?!」と焦りました。今はもう随分慣れましたが、自分の耳に入ってくる声と本当の声は違いますからね。だから自分の声は今も気持ち悪いです。でも受け入れるしかない。声にコンプレックスがあったのでいろんな声を出せるようになったと思います。
昔、フジテレビの「ポンキッキーズ」という番組でイギリスのクレイアニメ『ポストマン・パット』という作品をやったんです。歌も歌って、登場人物全員の声をやらせて頂いた時はとても楽しかったな。いろいろ声を変えてひとりで吹替をやりました。尾田栄一郎さんは僕のことを気に入ってくださって、『ONE PIECE FILM STRONG WORLD』から「ONE PIECE」は「どこに出てる?竹中直人」って感じでちょこちょこ参加させて頂いています。
──マーベル・スタジオ作品がどんどん大作化していくなかで、本作はマーベル・スタジオ史上一番短いとされています。短い映画、長い映画それぞれに楽しみ方はあると思うのですが、監督もされている竹中さんはどちらに旨味を感じますか?
年齢的なこともあって、上映時間が長い作品だとトイレ大丈夫かなって心配になってしまうんです(笑)。『シャイニング』の続編の『ドクター・スリープ』を観た時は心配でした(笑)。でも大丈夫な時は大丈夫なんです。ロバート・パティンソンが好きで彼の主演作を観に行った時、3時間30分もあったので「こりゃだめだろうな」と心配しましたが、全く大丈夫だったんです! 自分が監督する映画は2時間以内に収めたいといつも思うんです。でも最近監督した映画『零落』(23)は2時間を超えてしまいました。しかし、プロデューサーがOKしてくれたのでほっとしました。
──ところで、ジャパンプレミアなど『アベンジャーズ』関連イベントで登壇される時の竹中さんのファッションがとても素敵だとずっと思っていまして。
ニック・フューリーに合わせてアイパッチもしたりしましたね。今回もやるかもしれないな……洋服は子供のころから大好きなので、いつも自分で探しに行きます。
──基本的にはTPOに合わせて考えるんですか?
それは一切考えたことないです。常にその日の気分です。父子家庭だったからかな、子供のころから明日の支度は前日に準備します。多分、母の残像ですね。下着も靴下もシャツもジャケットも前日に揃えておきます。
──そういった時もご自身でスタイリングなさるんですか?
もちろんです!
──レザーのコートを2枚重ねて着てらっしゃってましたね。
重ね着は昔から好きです! だから冬は楽しいですね。でもだんだん重ね着すると肩が凝るようになっちゃって……昔はキツキツの服を重ね着していたんですが、もうそのパワーはないです(笑)。
──年齢を重ねていくことを前向きに楽しまれていらっしゃる印象もあります。
あまりにも時が経つのが早すぎて、え?!今年ももう終わりか……とかね。10月も終わって11月になったら、たたみかけるように一年が終わっちゃうんだろうなと思うと寂しいです。60過ぎると同級生も亡くなったり……父も先日95歳で亡くなりました。やっぱり寂しいですね。人は皆死ぬために生きている。自分はいったいどんな死に方をするのだろう……とふと考えます。
でもこの間までやっていた「のだめカンタービレ」の舞台に、高校の同級生が観に来てくれてね。みんなでガード下に飲みに行ったんです。するとみんなはハイボールとかレモンサワーとか氷がいっぱい入ったでかいグラスでがばがば飲んでいるんです! 僕は50代後半くらいから冷たいものは身体が冷えちゃって飲めなくなってしまって。だからなんでみんな平気なの?!ってびっくりしちゃいました!!(笑)。