2023.10.14 17:00
2023.10.14 17:00
ラストカットとシンクロするあのの主題歌
──あのさんは今回主題歌も作詞作曲されましたが、それも内に入っていかないといけない作業のような気がしていて。音楽家としての自分と、俳優など外に出していく自分を使い分けている意識はありますか?
あの 曲に関しては過程っていうか作ってる最中は見せないから、とにかく世に発表されるまではSNSとかには載せないので、なんだろ……家で黙々と作って、誰にも邪魔されない場所というか。何かが飛んでくるわけでもないから。「本当の自分」じゃないけど、しっかり大切に守りながら作れる場所が音楽だし、今回もそういう作り方でできました。
──映画を読み解く上でのヒントなんかも込めてたりするんでしょうか。
あの 意識してヒントを入れてるわけではないんですけど、監督にはこの作品を撮りながら作って欲しいって言われたので。明日香を演じる上で出てきたことだったり、間宮を見て感じたことだったり、この作品を通して上がってきたものになってるので、自然とリンクする部分が歌詞にも出てると思います。
──落合さんも音楽好きじゃないですか。主題歌どうでした?
落合 僕は初めて試写で見た時に、エンドロールを見てたら「あのちゃん歌ってるんだ!」っていうような出会い方で。ラストカットの長回しの中であのちゃんの曲がかかってくるんですけど、映画を見る回数よりもあのちゃんが作った曲を聴く回数の方が人って絶対的に多いと思うので、あのちゃんの曲を聴いた時に『鯨の骨』を思い出してもらうきっかけになればいいなって思います。
シナリオって一から十まで覚えてることって、本当の好きな映画じゃないとないと思うんです。でも、映画の内容はそんなに覚えてないけど、「あのシーンはエグかったよね」っていうワンシーンは覚えたりすることはあると思っていて。そう考えると、あのラストカットって、監督の中ではSNSに群がる群衆を潜水艦の中から見た魚の群れみたいに表現しているんだと思うんですけど、その設定を汲み取ると自分の中で通るものがあって、あのちゃんの主題歌が映画とシンクロして、観た人に印象的に残ればいいなと思います。
楽しく生きるために必要なのは一人の時間
──落合さんは個人的にもいろんな作品を見てるし、楽しんでるし、今までの役者人生で演じてきた人物の数もかなり多いじゃないですか。その中で自分自身を保つ秘訣や、生き方のコツみたいなことはありますか。
落合 やっぱり自分の時間をどう過ごすかじゃないですかね。撮影始まっちゃうと、集合時間に集まってスタートしてしまうから。一人でいる時にどれだけ準備するか。見るものだったり、読むものだったりとか、それこそ台本ちゃんと読み込むこととか、そういうのがあるからこそ、現場がより一層楽しくなって面白いのかなとも思います。
──結果プライベートとも相互関係になっているってことですよね。
落合 そうですね。情報交換もできたりとかするので。
──あのさんは、演者もそうですけど、アーティスト、ファッション、バンド、バラエティその他もろもろで活躍されていますが、そこにおいて自分をどう分散しているかなどありますか?
あの 分散させてるって感じはないんです。本当にその時その時目の前にあることが違うだけで、僕自身はいつでも自分って感覚だから、やることやってるって感じで。見る人からしたら「バラエティの時と歌の時まったく違うね」とか言われるんですけど、自分自身は何も意識はしてなくて。でもおうちにいる時だったり、普段はとにかく流されないというか。しんどいなと思った時は一人になってめちゃくちゃ自問自答します。「あれ、自分でどういう人だっけ」みたいな。ちゃんと戻っていくと楽になって、また全ての仕事が楽しくできるようになってる感覚です。