三船雅也が10編の"ジュブナイル物語"を描いた会心の一作
ROTH BART BARONが8thアルバム『8』発表、アートワーク&トラックリスト公開
2023.09.15 20:00
2023.09.15 20:00
ROTH BART BARONが8枚目のオリジナルアルバム『8』 (読み : エイト)を発表した。デジタルは10月18日、ヴァイナル盤は11月8日に初回限定生産商品として発売される。
作品のテーマは”ジュブナイル”。三船雅也が今作で一番やりたかったことは、世界との接続を再開した2023年に10編の”ジュブナイル物語”を描くことだっとという。
コロナ禍でもアクティブなリリース&ライブ活動を続け、渡航不可の環境下で日本にフォーカスし社会と向き合った近年の三部作『極彩色の色彩』『無限のHAKU』『HOWL』。これらを経て、ROTH BART BARON・三船雅也の拠点は昨年末からドイツと日本の2ヵ国となった。
ドイツ・ベルリンでの新生活という大きな環境の変化は創作の原点回帰に繋がり、今、響かせたい音楽を追求しながら8枚目の最新アルバム『8』が完成。三船本人の写真によるアートワーク、及びトラックリストも公開された。
また、明日9月16日(土)午前10時には全国ツアー「ROTH BART BARON TOUR 2023-2024『8』」のうち年内に行われる5公演の一般発売が開始。三船雅也からアルバムに寄せたコメントも到着している。
三船雅也 コメント全文
8について思うこと
極彩色の祝祭、無限のHAKU、HOWLとコロナ三部作を本当に自分の持てる限りの力を出し尽くして作りあげました。一つのインディーバンドとしてここまでの完成度の作品をバンドのみんなと作れたことを本当に誇りに思います。そしてある種のROTH BART BARONは完成されてしまったような気がしました、これは困った。このまま同じことを続けてしまったらそれは過去の焼き直しであり、そんなことをするくらいならバンドを解散してしまおうと思いました。それと同時に僕はまだ何も成し遂げていないといううちなる声が常に鳴り響いているのを感じていました、これは困った。
そうして戦争と天災とパンデミックで変わりゆく世界の中、アルバム制作とツアーを終えてボロボロになった僕はそのまま住む国を変える事にしました。知らない異国の地で友達もいない、言葉もわからない、強烈な寒さが襲い掛かり戦争の匂いも感じる、それでも人は優しく、良くも悪くも他人に干渉してこない自由な気風が気に入りました。何よりもここはアーティストを生き方として認めてくれる、ミュージシャンはよくわからない浮世離れした存在ではなく、ここの人々は一人の人間として尊敬と憧れを持って僕に接してくれます。
僕はここで音楽を作ろうと思いました。それは新しい挑戦の始まりです。
今作は自分の子供時代、ジュブナイルと向き合った作品です、世界の大きなことは歌いません。子供の時のように毎日違う人間に変わってゆくような刹那と、挫折と悔しさと、無力感と、新しいことができるようになった喜びと、内に秘めたキラキラした思いをこめて、ロットの得意な大きなサウンド、壮大なストリングスは鳴りを潜め、歪んだドラム、自由なリズム、ギターが強烈に掻き鳴らされます。これほどエレクトリックギターが楽しかったことは人生でありませんでした。ドイツでお気に入りの公園の真ん中に座ってギターを爪弾きながら作りました。タイから吹いた強烈な南国の風と向き合い、僕がベルリンで出会った才能あるミュージシャンとロットを支えてくれる仲間たちとバンドサウンドに立ち返った今までのロットをぶち壊す作品です。
8、八、eight、アハト、それは永遠の象徴であり、日本では末広がりの幸福を、ヨーロッパでは少し縁起の悪い響きを持つようです。その二つの意味を持つチグハグさが好きでした、まるで異国に移り住んだ輪っかを回り続ける僕自身のようです。パンデミックで焼け野原になった景色の中、8の形のように同じことをループしてるようにも見えるし、それは末広がりの希望なのかもしれない。この先は誰にもわかりません。でもそんなことと関係な、子供時代の僕も今の僕らも勝手に成長します。その勝手気ままさがこのタイトルを象徴するものかもしれません。僕はこれから日本だけにとどまらず世界での活動を本格化させます。8枚目のこの作品と共に僕の人生、ロットの新しい扉が開きます。この作品が今の時代を生きる皆さんの心のどこかに響いてくれたら嬉しいです。
2023年8月28日 三船 雅也