2023.09.13 19:00
2023.09.13 19:00
ジャズやクラシックをバックボーンに持ち、セッションギタリストとしても活躍していた経歴を持つロンドン発のシンガーソングライター、ブルーノ・メジャー。甘美な歌声と洗練されたサウンド・プロダクションで、FKJやトム・ミッシュらと並ぶ新世代アーティストとして耳の肥えたリスナーを魅了している。
そんな彼が3rdアルバム『Columbo』リリース後のタイミングで来日公演を敢行。パンデミックによって2020年のツアーがキャンセルになって以来の待望のツアーで、ここ東京でのライブはアジアツアーのスターターとして、待ち侘びたファンを心酔させたことは記憶に新しい。今回は以前からブルーノの音楽を愛聴し、対談前日には来日公演に足を運んだKroiの内田怜央との対談をセッティング。両者ともソングライターでギタリストという共通点があることから、ギター、曲作り、また音楽性のルーツについて短時間ながら興味深い対話が展開した。
寿司をテイクアウトして現れたブルーノ
内田 昨晩のライブがもう本当に素晴らしくて、すごいピースな環境だったなと思うんですけど、ライブをするときの空気感っていうのは普段のバンドのメンバーとの雰囲気でやってらっしゃるんですか?
ブルーノ 見てくれてありがとう。雰囲気とか空気感っていうのはどこでプレイするかによって完全に左右されると思うんだけど、日本のいいところはちゃんとこっちに対する尊重があるということとか……。(と、答えながら買ってきたお寿司のパックを開ける)
(一同笑)
ブルーノ あとは礼儀正しくて、曲が終わったら拍手をちゃんとしてくれるし、曲と曲の間で余計なおしゃべりをしないというところとかがすごく好きで。僕のやる音楽そのものをちゃんと受け止めてくれるっていうところがとても良かった。(お寿司を内田に勧める)
内田 サンキュー(笑)。
ブルーノ あと曲を始める前にシーンって静かになる瞬間っていうのがとても好きで。アトランタとかで演奏するともう人々がFワードを叫ぶみたいな感じなので、日本のこの雰囲気はすごく好きだな。
内田 なるほど。自分たちのバンドもかなりその場面に合わせたライブの質感でやったりするんですけど、本当に昨日は日本のお客さんとすごいピースな空気感が作れてて、素晴らしい空間だったなと本当に思います。
ブルーノ 空間を読むっていうのはパフォーマンスの一つでもあるよね。僕は演奏するときに誰かひとりに対して話をしているような気分でお客さんに語りかけてるというか、実際には会場全体に語りかけてるんだけど、感覚としては一対一で話してるところはあるかな。怜央は日本以外の場所で演奏したことある?
内田 ついこの間台湾でライブをしてきたんですけど、もう本当にそれが初めてで。言語が伝わらないところでやるライブってどうなるのかわからなかったんですけど、みんな音楽のパワーでしっかり踊ってくれたりして素晴らしい時間でした。
ブルーノ 日本でやるのと違う感じだった?
内田 それはもちろんありますね。日本でやるよりもより音楽というか音を重視して演奏をするというか。やっぱ日本だと歌詞があるからメッセージをより重視するっていうのがあるんですよね。海外でももちろんあるけど、よりしっかり音で伝えるっていうことを重視したかな。
ブルーノ うんうん、そうだろうね。
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