前夜祭から乗り込んだ庄村聡泰が観たライブを凝縮して解説
フジロック総括1万5000字レポート(前編) 体がいくつあっても足りなかった初日〜2日目夜
2023.09.06 17:30
THE STROKES(Photo : Taio Konishi)
2023.09.06 17:30
そのままFIELD OF HEAVENに居座りGOGO PENGUINで技巧派インストバンドのコンボをキメることとした。筆者が彼らを観るのは2016年に行われたBlue Note JAZZ FESTIVAL in JAPAN以来となるので、7年ぶり。ジャズの基本形であるピアノトリオを起点としながらもそれ以外のジャンルへ果敢にアプローチを続ける彼ら。可愛い名前とは裏腹のシャープなプレイの応酬とダンスを誘うリズム。来年1月からは単独ツアーも決定しており、めちゃくちゃ行きたいと思っております。
WHITE STAGE、純白に衣装に身を包んで現れたCAROLINE POLACHEKは炎天下に訪れた白昼夢といったところか。澄み切ったハイトーンが青空にどこまでも突き抜けていくようであったし、楽曲それぞれに合わせたシアトリカルな動きで持ってフジロッカーたちを魅了していく。MCでは日本での初めてのショウに来てくれて本当にありがとう(2016年にChairlift名義での来日はあるもののソロとなってからは初)と感極まって涙ぐむ姿も。曲中での浮世離れした立ち居振る舞いとのギャップがますます魅力的だ。中盤にはRED MARQUEEで出番を終えたばかりのWAYES BLOODがゲストとして登場しこの日ならではのコラボも披露。この日のこの時間帯はなぜか客席頭上を飛び交うトンボの数がやたらと多く、何度も彼女のマイクや彼女自身の手などに止まる一幕が見られ、そのトンボを愛おしく見つめながら歌う彼女の表情がスクリーンに映し出されるたび“人間のみならず昆虫まで魅了してやがる……”と、本当のこの世ならざるものを観ている気分となったのは筆者だけではあるまい。
GREEN STAGEではELLEGARDENでそらもう、ドッカンドッカンに盛り上がっていた。特に中盤「Fire Cracker」「Salamander」「Missing」の3連発とかマジですごかった。生形真一(Gt)の切れ味凄まじいリフワークと流麗なアルペジオ。高橋宏貴(Dr)はフルスイングでスネアをバッシバシにブッ叩いており、高田雄一(Ba)が力強いストロークでリズムにさらなるうねりを加えていく。細美武士(Vo,Gt)の歌声は朗々と伸びやかで、「Missing」の時なんて筆者の隣でライブを観ていた男子は拳をギュッと握りしめてシンガロングしながら号泣していた。めちゃくちゃいい顔してたよ。MCで細見は“昔からずっと大好きだったALANIS MORISSETTEとFOO FIGHTERSに挟まれるだなんて!”とキッズ心を爆発させ、メンバー4人とも本当に楽しそう。ラストは激速2ビートの「Make A Wish」からの「Strawberry Margarita」でシメ。笑顔満開のGREEN STAGE、圧巻の一言。
……と、既にとんでもない情報量の私的フジロック2023、前編はここまで。後編は2日目ヘッドライナー、GREEN STAGEへの帰還を果たしたFOO FIGHTERSのライブの模様から引き続きの情報量にてお届けします!
(後編に続く)