初ミュージカル制作は「バンドを始めた時と一緒」
ポルノグラフィティ新藤晴一が夢を形に ミュージカル『ヴァグラント』出演者と意気込み語る
2023.08.02 17:00
2023.08.02 17:00
書き下ろし曲にはポルノ魂を燃やした曲も
今作は完全オリジナルの新作ミュージカル。オリジナル作品を作るにあたって意識したことを尋ねられた新藤は「僕は本当にやりたいと思ったことを、器の大きいこの方々にぶつけて作ってもらったという感じで。バンドをやっている人たちを見て『カッコいいな、自分もやってみたいな』と思って始めた感覚に近い形でミュージカル作りもスタートしたので、このミュージカルがオリジナルであるというのは完全に後付けです。せっかくなので意味も持たせたいですけど」とミュージカルを手がけるに至った想いを説明。
新藤の前のめりな姿に感化されたという板垣は「稽古中も、こんなに楽しそうに関係者が稽古を見てることはもうないだろうなと思うぐらい楽しそうに、時には踊ったりもしています」と明かした。また脚本を手がけるにあたり、新藤をきっかけに観劇に来る人の中にはミュージカルを見慣れていない人もいる可能性もあるのでなるべく入りやすい作りにしていること、逆にミュージカルを見慣れている人にとっては新藤の手がける歌詞により、普段のミュージカルとは違うニュアンスを感じられる部分も生まれていると、今作の見どころについて説明した。
新藤が手がける楽曲の魅力を聞かれたキャスト陣。平間は「僕たちみんな、夢から始まっているのに、仕事になっていつしか好きがどんどん減っていったり『やらなきゃいけないこと』になってしまったりしている中で、晴一さんは『舞台を作りたい』という想い……子供心といったら失礼かもしれないですが、子供心のようなものを持っている。そうやっていつまでも夢を見続けているからこそ、全曲素敵なんだなと思いました」と魅力を語り、廣野も「新藤さんが本当に1曲1曲に愛を注いで作ってくださっていて。その楽曲が持っている熱量って、作り込めば作り込むほど伝わるものなんですよね。まず僕らがそれをキャッチして、僕らのイコライザーで増幅させて、変換して出して、お客さんがそれを受け取ってまた変換して口コミで伝えて、その愛が広がって……っていろんな化学変化を起こしていくんだと思います」と熱弁した。
また小南は「お稽古している中ですごく感じるのは……元気を与えるフレーズがたくさんあって、お客さんにももちろん伝えたいんだけど、歌いこんでいるうちに私たちもすごくパワーをもらえます」、山口は「歌詞がとても美しい。私のソロ曲『私を見ないで』の中に“砂時計から落ちてくる時間を拾い上げてる”みたいな歌詞があるんですけど、そこがすごく好きです。“過去をずっと生きている”というのをこうやって表現しているのが素敵だなって。そんなふうに刺さってくる言葉が多くてすごく助けられていますし、感動しています」とそれぞれ想いを語った。
最後に平間が「この作品は、物語とかそういうことよりも、人の心に刺さる作品だと思っております。自分も演じながら、自分の心に訴えかけられて『どうやって生きていこう?』とか『ああ、自分ってこうやって笑ってたな』『ありのままで生きるって何なんだろう』とかいろいろなことを考えさせられながら演じています。受け取り方は自由ですが、観終わったあとには心がどこかしらで動いていると思うのでぜひ劇場に来てください」、廣野が「主演とは言っているんですけど、主演って一番いろんな共演者に支えられるポジションで。その中で僕が感じた佐之助を、心のままに演じて、さらに僕もアシストできたらいいなと思います。僕らがそれぞれのキャラクターの人間としてのパワーを皆さんに伝えて、皆さんが何か感じていただくものがあって、それを日々の生活に生かしていただけたらと思います。本当に後悔させないんで! 後悔するくらいだったら金返すんで来てください!」と公開初日に向けての意気込みを語り、会見は締めくくられた。
会見後の公開稽古では、4つの場面の稽古を実施。1場面ずつ、演じたあとに板垣と新藤が楽曲や場面の説明を行うという形で進められた。本作に20曲以上を書き下ろした新藤。これらの楽曲について「ミュージカル魂を燃やして書いた曲もあれば、ポルノ魂を燃やして書いた曲もありますし、ミュージカルマナーに則って作った曲などいろいろな曲があります。1曲1曲を楽しく聞いていただけるように全力を尽くしたらこんな感じになりました」と解説した。
作品の幕開けを告げるM0「オーバーチュア」は新藤のギターが炸裂した楽曲。「僕は舞台には出ないですけど、僕も挨拶したいなと思いまして」とその想いを説明。またM6「桃風の啖呵売」では、美弥が軽快な口上をラップで表現し、平間は華麗なアクロバットで魅せた。M7「月の裏側」は小南、水田航生、上口耕平がしっとりと歌い上げるバラード。同曲の場面について新藤は「この作品には『僕がこういうミュージカルが好きだ』と思うシーンが各所にあって、これはそれの一つ。僕がこういうミュージカルを見たい!」とうれしそうに口にした。また1幕のラストで歌われるM17「ヴァグラント・シンフォニー」は本作中で使われている楽曲群を再構築し、1つにまとめたナンバー。キャスト陣はシリアスな芝居と共に同曲を披露した。同場面のあとには新藤が「ミュージカルならではのリプライズっていう考えがあるじゃないですか。同じメロディなんだけど場面によって違うように聞こえるっていう。これはミュージカルのすごく面白い手法だと思いました。ポップス脳では追いつかないような手法だなと」とミュージカル音楽ならではの面白さを語った。
a new musical『ヴァグラント』は8月19日から31日まで東京・明治座、9月15日から18日まで大阪・新歌舞伎座にて上演される。