2023.06.22 15:00
「NANA MIZUKI LIVE HEROES 2023」DAY2より(photo:kamiiisaka)
2023.06.22 15:00
基本の部分は1stライブから変わってない
──初日の「LIGHTNING MODE」を現地で拝見したのですが、これを1日やるだけでもとんでもないことなのに、それを2日間異なる趣向で行うとなると、かなりエネルギーを使うことだろうなと圧倒されました。
久しぶりのさいたまスーパーアリーナ・スタジアムモードだからスペシャルなライブにしたい!という気合いも満点だったので、ここでしかできないことをやりたかったんですよね。でもシングル曲が多いということは、ハードでパワフルな曲が多いということで……これを万全の状態で表現しきらなくてはならないという緊張感もありました。それはわたしだけではなくて、ライブに関わってくださったバンドメンバーやスタッフの皆さんも同じで。バンドメンバーからは「2日連続のライブでここまで内容が変わるの水樹さんくらいですよ」と言われたりもして(笑)。長く一緒にやってきたチームだからこそやれることだと思います。改めて本当に心から感謝しています。
──水樹さんの出し惜しみをしないサービス精神は、いつ頃から生まれたものなのでしょうか?
初めて水樹奈々としてステージに立ったときからそうだった気がします。1stライブでは誰も知らないオリジナル演歌を歌ったり、CDドラマアフレコパートがあったり(笑)。「これが最初で最後になるかもしれないから、絶対に後悔しないステージを作りたい。今持てるすべてを皆さんに観ていただいて、楽しんでもらいたい!」と思った結果、とんでもなくカオスなライブになりました(笑)。だからきっと基本の部分は1stライブから変わってなくて。毎回今持てる全てを出し切りたいと思っていて。
──それに加えて「もっとこういうことがしたい」という高いプロ意識があるから、ライブが進化していくということですね。
険しい山があればあるほど燃えるというか……ちょっとドMなところがあるのかも(笑)。大変なことはありますが「嫌だなとか、やりたくないな」と思ったことは1度もなくて。「これをクリアしたらめっちゃ進化するかも!やってやろうじゃないか!」と、素敵なものが完成する未来が何よりも輝いて見えるので、そこに至るまでの過程の大変さはまったく気にならないんです。ライブは子供の頃から大好きな「歌」を皆さんに聴いていただける特別な機会ですし、好きなことだからこそわたしにしかできないことを追求していきたくて。だからやりたいことがどんどん浮かんでくるし、常にチャレンジし続けられるんです。
──好きなことだから頑張れると同時に、好きなことだからこそ打ちのめされることもあると思うんです。ポジティブな水樹さんも、やっぱりそういうこともおありですよね。
もちろんわたしも心が折れることはあります(笑)。自分が思っていたパフォーマンスやお芝居ができなかったときや、皆さんが求めるものをすぐに出せなかったときに落ち込んで泣いたり、「私なんて!」と悔しさに胃がきりきり痛んだり。収録からの帰り道、上手くいかなかったセリフをつぶやきながら帰ったことが何度もあります(笑)。なんであの時にこれが言えなかったんだろう、こういうふうにできなかったんだろう、すぐにそのアイデアが浮かばなかったんだろう……とずっとぐるぐる考えたり。あとは理不尽なことも世の中にあるじゃないですか。
──そうですね。自分ではどうしようもない、もらい事故のようなことが起きたり。
そういうときは考えるだけ考えて、しっかり涙を流して自分自身を浄化して、美味しいもの食べてしっかり寝ることで「よし、明日から頑張ろう!」というモードに切り替えています。その時はきつくても徹底的に向き合うことでスッキリすることもあるし、心を許せる友人に愚痴らせてもらうこともよくあって、そこで話しているうちに解決策を見つけたり。
──でもそれをほとんど表に出さないのは、水樹奈々のプロ意識なんだろうなと思います。
とんでもないです(笑)。やっぱり笑っている人の前だと、人は自然と笑顔になりますよね。だから自分もそうでありたくて。わたしが不安そうな顔、悲しそうな顔してると、みんなにすごく心配をかけてしまうから、それはしたくないんです。過ぎた後に「実はあの時すっごく大変だったんだよー!」とカラッと笑って話せるようになるまで、自分の心の中にしまっておくようにしていますね。ネガティブなモードに入っていると、ネガティブな出来事が連鎖して起こるような気がしていて。1回リセットすると、流れが切り替わる気がしているので、いつもそれを心がけています。
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