主宰演劇ユニット「ピンク・リバティ」新作が6月14日に開幕
山西竜矢が森田想、岡本夏美と描く素直な人間模様 『点滅する女』で目指す“中間”の表現世界
2023.06.11 12:00
2023.06.11 12:00
映像や演劇の分野で多才に活動する山西竜矢が脚本・演出をつとめる演劇ユニット「ピンク・リバティ」の新作公演『点滅する女』が6月14日から東京・シアターイーストにて上演される。
本作は、5年前に長女・千鶴を失い、喪失に苦しむある家族に訪れた幻想的な夏の一幕を描いた家族劇。ダブル主演として姉妹役を演じるのは、本作が舞台初挑戦となる森田想と、かねてからピンク・リバティへの出演を熱望していたという岡本夏美。そんな2人に本作への意気込みを聞くとともに、主宰の山西竜矢にも参加してもらい、和やかなカンパニーの様子なども聞いた。
脚本が日常だけど日常過ぎない(森田想)
──森田さん、岡本さんは山西さんの作品に初出演となりますが、山西さんはお二人に対してどのような印象を持っていたのでしょうか?
山西竜矢(以下、山西) キャスティングするときは、出演されている作品を見たり、ワークショップに来てもらったりして、生でお芝居に接して決めることが多いのですが、その時の印象がとても素敵かつ、自分の舞台とマッチするのではないかと思いました。あとは……2人とも気が強そうだなって(笑)。
岡本夏美(以下、岡本) いや、もう弱くてしょうがないですよ(笑)。
山西 あはは(笑)。自分も俳優をやっていたのでとてもよくわかるのですが、やっぱり俳優さんって、演出家に対して、自分の意見やお芝居をちゃんと提示できないとやっていけないと思うんですよ。それに、僕自身がそういう芯がある人と一緒にやるのが楽しいから。2人は、実際に稽古をしてみてもやっぱり気が強かった(笑)。そういった点も含めて、2人の相性が、人間的にもお芝居的にもよかったので、そんな2人が姉妹役をやるというのはとてもよかったなと思っています。
──森田さん、岡本さんは山西さんやピンク・リバティに対してどういった印象がありましたか?
森田想(以下、森田) 友達がピンク・リバティの作品に関わっていたのでもちろん知ってはいたのですが、どなたが主宰なのかとかまでは知らなくて。去年の夏にワークショップに参加させてもらったのが、ピンク・リバティとの最初の関わりでした。私は舞台のワークショップに参加させてもらったことがほとんどなかったので、ワークショップの最初からすごく新鮮で楽しくて。その印象のまま実際に出演させていただくことになったので、「舞台に出る」ということに対しては気負いがありましたが、ピンク・リバティさんで、山西さんの演出でということに対して楽しみな気持ちでした。稽古もすごく楽しいです。夏美ちゃん含めて山西さんが集めた出演者の方がすごく魅力的。たくさん学ばせてもらっています。
岡本 私は以前にもお話をいただいたことがあったのですが、そのときは諸事情で作品自体がなくなってしまって。そのあとずっと「ピンク・リバティに出たい」と思っていたので、念願のピンク・リバティ出演でした。私は山西さんの脚本の中でも、セリフの掛け合いが好きで。いろいろな脚本家さんがいて、いろいろな台詞回しがあると思うのですが、私は山西さんの脚本の、単刀直入ではなく、回りくどく本質を伝えるみたいなセリフの掛け合いに惹かれるんですよね。だからご一緒したいと思っていました。
──実際に“山西節”の掛け合いを体験してみていかがですか? 難しさなどは感じますか?
岡本 私は体に合っているなと感じます。「あ、うん」とか「えっ、うん」とか、日常生活で本当はみんなが使っている言葉たちって、台本だと結構カットされちゃうことが多いんです。クリアに見せるために。だけど山西さんの脚本にはそういう言葉の中に本当に伝えたいことが入っている気がして。そのセリフのリズムも私の体に合っているし、ストレスなくやらせていただいています。
──森田さんは、山西さんの脚本にはどのような印象を持ちましたか?
森田 日常っぽいんですけど、日常過ぎないというか。劇中で起こっている出来事もそうですし、台詞回しもそう。台本の通りに読むだけで面白い。すごく素敵な台本だなと思っています。
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